国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
旧三河島汚水処分場喞筒場施設
ふりがな
:
みかわじまおすいしょぶんじょうぽんぷじょうしせつ
棟名
:
阻水扉室(東)
棟名ふりがな
:
そすいひしつ
旧三河島汚水処分場喞筒場施設 阻水扉室
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員数
:
1所
種別
:
近代/産業・交通・土木
時代
:
大正
年代
:
大正10
西暦
:
1921
構造及び形式等
:
東西阻水扉室よりなる
各鉄筋コンクリート造、面積3.76平方メートル、東西流入渠附属、東西鉄筋コンクリート造上屋付
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02514
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2007.12.04(平成19.12.04)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(三)歴史的価値の高いもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
東京都荒川区荒川八丁目25番1号
保管施設の名称
:
所有者名
:
東京都
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
旧三河島汚水処分場喞筒場施設 阻水扉室
解説文:
詳細解説
旧三河島汚水処分場喞筒場施設は、隅田川中流に位置する旧下水処理場施設で、東京市区改正事業の一環として、東京市技師米元(よねもと)晋一(しんいち)を中心として建設が進められ、大正11年3月に運用を開始した。
旧三河島汚水処分場喞筒場施設は、わが国最初の近代下水処理場である旧三河島汚水処分場の代表的遺構として、高い歴史的価値が認められる。
また、阻水扉室、沈砂池などの一連の構造物が、旧態を保持しつつまとめて残る点も、近代下水処理場喞筒場施設の構成を知る上で重要である。
関連情報
(情報の有無)
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添付ファイル
なし
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旧三河島汚水処分場喞筒場施設 阻水扉室
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旧三河島汚水処分場喞筒場施設 阻水扉室
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解説文
旧三河島汚水処分場喞筒場施設は、隅田川中流に位置する旧下水処理場施設で、東京市区改正事業の一環として、東京市技師米元(よねもと)晋一(しんいち)を中心として建設が進められ、大正11年3月に運用を開始した。 旧三河島汚水処分場喞筒場施設は、わが国最初の近代下水処理場である旧三河島汚水処分場の代表的遺構として、高い歴史的価値が認められる。 また、阻水扉室、沈砂池などの一連の構造物が、旧態を保持しつつまとめて残る点も、近代下水処理場喞筒場施設の構成を知る上で重要である。
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詳細解説
旧三河島汚水処分場喞筒場施設 五所、二棟 阻水扉室、沈砂池及び濾格室、濾格室上屋、量水器室及び喞筒室暗渠、喞筒室、土地 旧三河島汚水処分場喞筒場施設は、隅田川中流右岸に位置する旧下水処理場施設である。 三河島汚水処分場は、現在の台東区のほぼ全域と千代田区の一部区域の雨水及び汚水を処理するために、東京市区改正事業の一環として実施された第一期下水道改良工事において、東京市技師米元晋一を中心として建設が進められたもので、大正三年六月に起工、同一一年三月に運用を開始した(起工年月は『第一回東京市下水道年報』(東京市臨時下水改良課 一九一五年)、運用開始年月は「三河島汚水処分場ニ就テ」(原全路 『土木学会誌』 第九巻第二号 一九二三年)による。)。その後、東京の主要下水処理場の一つとして供用を続けているが、喞筒場施設については旧態を保持しつつ、平成一一年に稼働を停止している。 旧三河島汚水処分場喞筒場施設は、市街地に埋設された管渠を自然流下してきた下水から、砂礫や浮遊物等を除去し、それを沈澱池へ揚水するために建設された施設で、阻水扉室、沈砂池及び濾格室、濾格室上屋、量水器室及び喞筒室暗渠並びに喞筒室よりなる。各構造物は、T字形平面に掘削、造成された土地の中に配される。なお、喞筒場施設の他には、大正一四年竣工(『営繕雑件 冊の三』(一九二九年 東京都公文書館所蔵)所収の「竣功調書」による。)の鉄筋コンクリート造、平屋建の門衛所が現存している。 阻水扉室は、喞筒場施設内に流入する下水を遮断するための構造物で、東西二条の管渠に接続する二所よりなる。東西三・〇メートル、南北一・二メートルの鉄製門扉付鉄筋コンクリート造構造物で、各構造物の上部には、鉄筋コンクリート造の上屋を設け、下部北面から北側には鉄筋コンクリート造、アーチ形の流入渠を接続する。上屋は、いずれも南面して建ち、間口三・八メートル、奥行五・〇メートルとし、頂部に換気筒を設ける。また、流入渠の規模は、長さ一〇・二メートル、幅二・一メートル、高さ一・八メートルで、勾配は二〇〇〇分の一とし、一枚厚の煉瓦を長手方向に敷いたインバートを付け、渠口には花崗岩の切石を用いる。 沈砂池及び濾格室は、各流入渠に南面を接続する二所よりなる。沈砂池は、長さ一九・七メートル、幅四・五メートルの鉄筋コンクリート造構造物で、側壁頂部には突桁を付ける。濾格室は、各沈砂池の北側に接続して、沈砂池と一体的につくられたもので、長さ七・六メートルとし、浮遊物を遮る鉄製濾格を備え、各々コンクリート造壁体により東西に二分される。阻水扉室、沈砂池及び濾格室は、東京市の直営工事により、大正六年二月一日に起工、同一〇年三月一〇日に竣工している(『第七回東京市下水道年報』(東京市下水課 一九二三年)による)。 濾格室上屋は、濾格により遮られた浮遊物を除去する掻揚機を収容、操作するための建築物で、桁行一八・二メートル、梁間九・七メートル、鉄筋コンクリート造、東西棟、入母屋造、スレート葺とする。表面は煉瓦タイル貼とし、四周に縦長窓を配し、東妻面に浮遊物等を運搬する土運車の出入りに使われた間口の広い開口部を設ける。濾格室上屋は、豊島為蔵の請負工事により、大正一〇年四月二三日に起工、一〇月二〇日に竣工している(前掲『第七回東京市下水道年報』による)。浚渫物等は鋼製土運車に積込まれ、濾格室東側に築かれたインクラインを通り、場内東北部の廃棄所まで運搬された。インクラインに関連する構造物としては、鉄筋コンクリート造、平屋建の土運車引揚装置用電動機室が現存しており、これは達島彌一の請負工事により大正一〇年六月一八日に起工、一一月二二日に竣工(前掲『第七回東京市下水道年報』による。)したインクライン工事の一環として建設されたと推察される。 量水器室及び喞筒室暗渠は、濾格室と喞筒井を結ぶ、東西最大四五・〇メートル、南北四五・二メートルの規模を有する「天」字形平面の鉄筋コンクリート造構造物である。量水器室は、流量計測用の鉄筋コンクリート造及び鉄製円形管の周りに、人孔付の鉄筋コンクリート造躯体を築いたもので、円形管の北側には水槽を接続する。喞筒室暗渠は、導水渠、阻水扉室、返水渠、喞筒井及び喞筒井接続暗渠よりなり、いずれも鉄筋コンクリート造とする。陶板が敷かれたアーチ形の導水渠の北側に阻水扉室が接続し、阻水扉室を中心として東西に配された円形平面の喞筒井一〇基を、南北二列の喞筒井接続暗渠が接続する。返水渠は阻水扉室東面のほぼ中央から東側に築かれる。量水器室は、中野喜三郎の請負工事により、大正八年五月一日起工、翌年一二月一八日竣工(前掲『第七回東京市下水道年報』による。)、喞筒室暗渠は、山本吉松の請負工事により、大正五年六月二六日に起工したが、請負契約解除の後、直営工事に切り替えられ、同六年五月六日に改めて工事に着手、同一〇年二月二八日に竣工した(『第八回東京市下水道年報』(東京市下水課 一九二五年)による。)。 喞筒室は、下水を喞筒井から沈澱池に揚水するための喞筒を収容、操作するための建築物で、桁行六八・三メートル、梁間一五・五メートル、鉄骨及び鉄筋コンクリート造、東西棟、寄棟造とし、両翼を南側に張り出すつくりとする。表面は煉瓦積又は煉瓦タイル貼とし、縦長窓、欠円アーチ形窓等を規則的に配し、小屋組は下弦材を湾曲させたプラットトラスとし、柱上部には天井走行型の揚重機を設ける。両翼張出部は三階建で、東張出部には事務室等、西張出部に変電室等を配す。喞筒室の設計は、三河島汚水処分場内の建築物全般の計画を担当した市嘱託の土居松市、市技手の宮内初太郎がそれを補佐したという(『建築雑誌』(四八〇号 一九二六年三月)による。)。工事請負は豊島為蔵で、農商務省製鉄所製の鉄骨及び鉄筋を用いて、大正七年六月五日に起工(『第五回東京市下水道年報』(東京市臨時下水改良課 一九二〇年)による。)、同一〇年二月五日に竣工(前掲『第八回東京市下水道年報』による。)した。この工事に先立ち、敷地の掘削及び地ならしが、武井與四郎の請負工事により、大正五年二月一七日に起工、五月二日に竣工(『第三回東京市下水道年報』(東京市臨時下水改良課 一九一六年)による。)しており、周囲東西北面に配された鉄筋コンクリート造の喞筒室周囲擁壁については、喞筒室の建設とほぼ平行して、直営工事により大正七年五月一八日に起工、同一〇年八月二三日に竣工(前掲『第七回東京市下水道年報』による。)した。揚重機は、常用最大捲揚荷重六トン半の株式会社石川島造船所製で、大正九年八月九日から同年九月三〇日にかけて設置された(前掲『第七回東京市下水道年報』による。)。また、西張出部の南側には煉瓦造、平屋建の変圧器冷却水用井戸喞筒小屋が残されており、井戸喞筒機械据付基礎工事が大正一〇年四月五日に竣工し(前掲『第七回東京市下水道年報』による。)、翌年三月現在の東京市下水課財産表にこの建築物が記載されていることから、大正一〇年頃に竣工したと推察される。 旧三河島汚水処分場喞筒場施設は、近代都市東京の礎を築いた東京市区改正事業における衛生施設整備の掉尾を飾ると共に、わが国初の近代下水処理場である旧三河島汚水処分場の代表的遺構として、歴史的に価値が高い。阻水扉室、沈砂池、濾格室、量水器室、喞筒室などの一連の構造物が、旧態を保持しつつまとめて残る点も、近代下水処理場喞筒場施設の構成を知る上で貴重であり、施設規模と管渠の深度に合わせて掘削、造成された土地と併せて保存を図る。 【参考文献】 『日本の近代土木遺産〔改訂版〕』(土木学会 二〇〇五年) 『三河島処理場旧主ポンプ室及び関連施設保存計画』(東京都下水道局 二〇〇七年)
関連情報
附指定
土運車引揚装置用電動機室
変圧器冷却水用井戸喞筒小屋
門衛所
関連情報
附指定
附名称
:
土運車引揚装置用電動機室
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
変圧器冷却水用井戸喞筒小屋
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
門衛所
附員数
:
1棟