国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
大野教会堂
ふりがな
:
おおのきょうかいどう
棟名
:
棟名ふりがな
:
大野教会堂
写真一覧▶
地図表示▶
解説表示▶
員数
:
1棟
種別
:
近代/宗教
時代
:
明治
年代
:
明治26
西暦
:
1893
構造及び形式等
:
石造及び木造、建築面積一二七・四九平方メートル、一階建、桟瓦葺
宅地 五一八・八四平方メートル
二六一九番地
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02530
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2008.06.09(平成20.06.09)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(三)歴史的価値の高いもの
重文指定基準2
:
(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの
所在都道府県
:
長崎県
所在地
:
長崎県長崎市下大野町2619番地
保管施設の名称
:
所有者名
:
カトリック長崎大司教区
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
大野教会堂
解説文:
詳細解説
大野教会堂は、大浦天主堂から外海地区の主任司祭として赴任したマルク・マリ・ド・ロ神父が、明治26年に建設した巡回教会である。教会堂は、会堂部と司祭室部からなり、会堂部の周囲に、割石を漆喰で固めた「ド・ロ壁」と呼ばれる壁体を築き、小屋は木造キングポストトラスとする。
大野教会堂は、数少ない巡回教会の遺構例であり、巡回教会の規模、会堂構成を知るうえで高い歴史的価値が認められる。 また、「ド・ロ壁」、キングポストトラスなど、ド・ロ神父の建築技法が典型的に示されており、重要である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
大野教会堂
大野教会堂(内部)
写真一覧
大野教会堂
写真一覧
大野教会堂(内部)
Loading
Zeom Level
Zoom Mode
解説文
大野教会堂は、大浦天主堂から外海地区の主任司祭として赴任したマルク・マリ・ド・ロ神父が、明治26年に建設した巡回教会である。教会堂は、会堂部と司祭室部からなり、会堂部の周囲に、割石を漆喰で固めた「ド・ロ壁」と呼ばれる壁体を築き、小屋は木造キングポストトラスとする。 大野教会堂は、数少ない巡回教会の遺構例であり、巡回教会の規模、会堂構成を知るうえで高い歴史的価値が認められる。 また、「ド・ロ壁」、キングポストトラスなど、ド・ロ神父の建築技法が典型的に示されており、重要である。
詳細解説▶
詳細解説
大野教会堂 一棟 土地 大野教会堂は、長崎県西彼杵半島のほぼ中央、西岸近くに位置する。西に角力灘を臨む標高三五○メートル程の大野岳の中腹を造成し、周囲に玄武岩の石垣を築いて画定した南北に細長い敷地の北寄りに北を正面として建つ。明治一二年に大浦天主堂から外海地区(出津教会区)の主任司祭として赴任したマルク・マリ・ド・ロ神父が、巡回教会として大野地区周辺の二六戸の信徒のために建設したのが大野教会堂である。建設は明治二六年、南半の増改築は大正一五年とされる。 ド・ロ神父は、一八四○年、北フランスの貴族の家系に生まれ、慶応四年(一八六八)パリ外国宣教会から長崎に派遣された。明治一二年外海地区に赴任し、同四四年病気療養のため長崎に移るまで外海地区で布教に当たるとともに、福祉活動や慈善事業に尽力し、大正三年一一月七日長崎市で没した。 ド・ロ神父の指導による建造物としては、旧羅典神学校(明治八年 重要文化財)、旧出津救助院(明治一六年頃 重要文化財)などがある。 大野教会堂は、北半の会堂部と南半の司祭室部から成る。会堂部は、桁行一一・八メートル梁間六・一メートル規模で、北及び東西両面に玄武岩の割石を天川漆喰で固めた石造壁、いわゆる「ド・ロ壁」を築き、木造キングポストトラスを架ける。屋根は、北側を変則的な寄棟造、南側を切妻造とし、桟瓦を葺く。正面になる北妻側の石造壁には開口部がなく、内側に東西に通り抜けができる風除室を設ける特徴ある玄関構成をとる。開口部は一枚厚の煉瓦造アーチとし、側面の窓には外側に片引きの板戸、内側に片引きの腰付きガラス戸、ファンライトに嵌め殺しのガラス窓を設える。創建時の内部は、天井を張らず、タタキの土間床であったと考えられる。 司祭室部は、桁行七・○メートル梁間八・○メートル規模、会堂部より棟を落とした寄棟造、桟瓦葺の木造平屋建で、南妻面に「ド・ロ壁」を築く。平面は、会堂部寄りに縁廊下付きの司祭室を東西に並べ、南側は土間及び物置とする。 大野教会堂は、数少ない巡回教会の遺構例であり、巡回教会の規模、会堂構成を知るうえで歴史的価値が高い。また、ド・ロ神父の指導による教会堂建築のひとつであり、「ド・ロ壁」、キングポストトラスの使用等、ド・ロ神父の建築技法が典型的に示されており、重要である。巡回教会の立地と、敷地造成の様子を留める土地と併せて保存を図る。 【参考文献】 『長崎県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書』(長崎県教育委員会 一九九八年) 『長崎県指定文化財 大野教会保存修理工事報告書』(宗教法人カトリック長崎大司教区 二○○六年) 「長崎の教会建築史」(川上秀人 『大いなる遺産 長崎の教会』 二○○○年)