国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
忠谷家住宅
ふりがな
:
ちゅうやけじゅうたく
棟名
:
主屋
棟名ふりがな
:
しゅおく
忠谷家住宅 主屋(内部:オエ)
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員数
:
1棟
種別
:
近世以前/民家
時代
:
江戸末期
年代
:
西暦
:
構造及び形式等
:
桁行一九・五メートル、梁間一一・三メートル、一部二階、切妻造、桟瓦葺、東面及び西面下屋附属、鉄板葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02541
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2009.06.30(平成21.06.30)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
石川県
所在地
:
石川県加賀市橋立町ウ159番地1
保管施設の名称
:
所有者名
:
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
忠谷家住宅 主屋(内部:オエ)
解説文:
詳細解説
忠谷家住宅は,加賀市加賀橋立伝統的建造物群保存地区に所在する北前船の船主の住宅で,天保年間(1830~1843)に建てられたとみられる主屋の周囲に,新座敷や土蔵が建つ。
忠谷家住宅の主屋は,橋立集落における住居形態の展開を知る上で重要な住宅である。
また新座敷などの附属屋も良好に保存されており,船主住宅の屋敷構えをよく伝える点においても,価値が高い。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
忠谷家住宅 主屋(内部:オエ)
忠谷家住宅 主屋
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忠谷家住宅 主屋(内部:オエ)
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忠谷家住宅 主屋
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解説文
忠谷家住宅は,加賀市加賀橋立伝統的建造物群保存地区に所在する北前船の船主の住宅で,天保年間(1830~1843)に建てられたとみられる主屋の周囲に,新座敷や土蔵が建つ。 忠谷家住宅の主屋は,橋立集落における住居形態の展開を知る上で重要な住宅である。 また新座敷などの附属屋も良好に保存されており,船主住宅の屋敷構えをよく伝える点においても,価値が高い。
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詳細解説
忠谷家住宅 四棟 主屋、新座敷、背戸蔵、新蔵、土地 忠谷家は、加賀市北西沿岸部の加賀市加賀橋立伝統的建造物群保存地区のほぼ中央に所在する。北前船の船主集落である同地区は、平成一七年一二月二七日付で重要伝統的建造物群保存地区に選定された。一九世紀初頭には、地区内に五〇軒ほどの船主住宅が所在していたとみられている。 忠谷家住宅は、敷地中央に主屋を南面して構え、東側に新座敷を並べ、また正面の東西に新蔵と背戸蔵を建て、宅地の周囲を低い石垣で囲う。これらの建築物は、平成一九年一月二三日付で加賀市指定有形文化財に指定された。 忠谷家の初代久五郎は、はじめ北前船の船頭を務め、天保年間(一八三〇~一八四三)に独立して船主になるとともに当地に居宅を構えたと伝え、主屋と背戸蔵もその頃に建築されたとみられる。その後大正初期に東隣の宅地を取得し、同四年に新座敷と新蔵を建てた。 主屋は、木造平屋建一部二階建、桁行一九・五メートル、梁間一一・三メートル、切妻造妻入、桟瓦葺である。 一階内部は、正面二間通りのうち西半の土間を大戸で玄関とニワに間仕切り、東半をチャノマとダイドコロとする。床上部は、手前を梁行の広いオエとし、後方に二列七室の座敷部を配しており、加賀地方に広く分布した妻入で広間型の間取をもつ。またオエ西側に板縁、座敷部西側に切目縁を設ける。座敷部の西列は、手前より、クチノデイ、ナカノデイ、オクノデイ(仏間)とし、東列は手前より、クチナンド及び板間、ナカナンド、カギノマとする。ナカノデイの東面に床と違棚、オクノデイの西面に付書院、カギノマ北面に床と違棚を備える。オクノデイには冬仏壇と夏仏壇と呼ばれる大小二基の仏壇を置く。これは主人が自宅にいる冬期には大型の冬仏壇を使用し、北前船に乗船して留守となる夏期には小型の夏仏壇を使用したもので、船主集落である当地域の特色である。 二階は八畳と物置で、八畳の東面に窓を開き、西面に床・床脇を備える。 軸部は、笏谷石の布基礎に土台を伏せて柱を立て、土間部とオエでは差物で柱を固め、オエ上部では梁を縦横に組んで広い空間を確保し、簀の子天井を張る。小屋は和小屋を組む。 座敷部西列の三室とカギノマは、長押を廻らし、西列の各室境に欄間を入れ、天井は棹縁天井を張り、東列の手前三室は根太天井とする。 軸部材は漆塗仕上で、特にオエの梁等は褐色を帯びた色調で、重厚な趣を呈する。 外壁は竪板張で、屋根には赤色瓦を葺き、棟石を置く。 新座敷は、主屋の東側に廊下を介して建つ。木造平屋建、桁行四・六メートル、梁間六・五メートル、切妻造で、北面廊下を下屋に造り、桟瓦を葺く。内部は、八畳の主室西側に控の間を配し、主室東面に床と床脇を設け、床脇には袋棚をつけ、丸窓を穿つ。天井は棹縁天井で、軸部を漆塗とする。 背戸蔵は、土蔵造二階建、桁行五・五メートル、梁間三・六メートル、切妻造、桟瓦葺で、北面に蔵前を附属する。布石積基礎に建ち、外壁に竪板を張る。内部は上下階とも一室で横板張とする。 新蔵は、土蔵造二階建、桁行七・三メートル、梁間四・五メートル、切妻造、桟瓦葺で、北面の蔵前を介して新座敷に接続する。布石積基礎に建ち、外壁下部を石張、上部を竪板張とする。 忠谷家住宅の主屋は、加賀市加賀橋立伝統的建造物群保存地区の中で最古に類する北前船船主住宅であり、規模も大きく、加賀地方に特徴的な民家平面を基本として発達した橋立集落における住居形態の展開を知る上で重要である。また新座敷や土蔵等の附属屋の保存も良好で、北前船船主住宅の屋敷構えをよく伝えており、価値が高い。 【参考文献】 『加賀市橋立の町並み』(加賀市教育委員会 二〇〇四年)