国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
旧魚梁瀬森林鉄道施設
ふりがな
:
きゅうやなせしんりんてつどうしせつ
棟名
:
エヤ隧道
棟名ふりがな
:
えやずいどう
旧魚梁瀬森林鉄道施設 エヤ隧道
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員数
:
1所
種別
:
近代/産業・交通・土木
時代
:
明治
年代
:
明治44
西暦
:
1911
構造及び形式等
:
石造隧道、延長三三・二メートル、東坑門翼壁附属
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02544
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2009.06.30(平成21.06.30)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(三)歴史的価値の高いもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
高知県
所在地
:
高知県安芸郡安田町別所
保管施設の名称
:
所有者名
:
高知県、奈半利町、田野町、安田町、北川村、馬路村、八幡宮
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
旧魚梁瀬森林鉄道施設 エヤ隧道
解説文:
詳細解説
魚梁瀬森林鉄道は,高知県東部の魚梁瀬地区からの伐採木搬出のため,明治44年から昭和17年にかけて農商務省の直轄事業により建設された森林鉄道施設である。
わが国最初期の森林鉄道施設の一つであり,通常の鉄道構造物とは異なる構法や規模で建設された橋梁や隧道が,旧態を良好に保持しながらまとまって残り,林業技術史上,貴重である。
また,二股橋と堀ヶ生橋はそれぞれ無筋コンクリート造及び充腹式鉄筋コンクリート造橋梁として,近代における最大級の径間を実現した構造物であり,コンクリート技術史上,高い価値がある。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
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旧魚梁瀬森林鉄道施設 エヤ隧道
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旧魚梁瀬森林鉄道施設 エヤ隧道
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解説文
魚梁瀬森林鉄道は,高知県東部の魚梁瀬地区からの伐採木搬出のため,明治44年から昭和17年にかけて農商務省の直轄事業により建設された森林鉄道施設である。 わが国最初期の森林鉄道施設の一つであり,通常の鉄道構造物とは異なる構法や規模で建設された橋梁や隧道が,旧態を良好に保持しながらまとまって残り,林業技術史上,貴重である。 また,二股橋と堀ヶ生橋はそれぞれ無筋コンクリート造及び充腹式鉄筋コンクリート造橋梁として,近代における最大級の径間を実現した構造物であり,コンクリート技術史上,高い価値がある。
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詳細解説
旧魚梁瀬森林鉄道施設 九基、五所 エヤ隧道、バンダ島隧道、オオムカエ隧道、明神口橋、釜ヶ谷桟道、釜ヶ谷橋、平瀬隧道、落合橋、河口隧道、犬吠橋、井ノ谷橋、小島橋、二股橋、堀ヶ生橋 旧魚梁瀬森林鉄道施設は、高知県東部を南北に貫流する安田川及び奈半利川にほぼ平行して建設された森林鉄道施設である。 魚梁瀬森林鉄道は、国有林野特別経営事業の一環として、千本山国有林等を含む魚梁瀬地区からの伐採木の増大に対応するために農商務省の直轄事業により建設された。山林技師田中鷹太郎を中心として計画され、主に安田川沿いに敷設された明治四四年竣工の田野・馬路間、大正四年竣工の馬路・魚梁瀬間及び同六年竣工の魚梁瀬・石仙間の路線、奈半利川沿いに敷設された昭和七年竣工の田野・二タ又間、同八年竣工の立岡・奈半利間及び同一七年竣工の二タ又・釈迦ヶ生間の路線よりなる(着工及び竣工年代は「魚梁瀬森林鉄道の成る日まで 三」(吉岡幸馬 『高知林友』 昭和一九年 二七九・二八〇号)による。)。建設後、高知県東部の主要運材機関として利用されたが、奈半利川上流における魚梁瀬ダムの建設等に伴い、昭和三八年に全線が廃止された。 旧魚梁瀬森林鉄道施設は、安田川の下流から上流に向かい田野・馬路間に現存するエヤ隧道、バンダ島隧道、オオムカエ隧道、明神口橋、釜ヶ谷桟道、釜ヶ谷橋及び平瀬隧道、馬路・魚梁瀬間の落合橋、河口隧道、犬吠橋及び井ノ谷橋、奈半利川の下流から上流に向かい田野・二タ又間に現存する小島橋、二タ又・釈迦ヶ生間の二股橋、堀ヶ生橋よりなる。 エヤ隧道、バンダ島隧道、オオムカエ隧道、平瀬隧道及び河口隧道は、いずれも切石砂岩の空積で築いた幅員約三メートルの石造隧道で、延長はそれぞれ三三・二メートル、三七・五メートル、七・〇メートル、七〇・六メートル及び八九・九メートルとし、エヤ隧道東坑門、バンダ島隧道西坑門、平瀬隧道西坑門には石造翼壁を附属する。いずれもほぼ直方体の石材を半円アーチ形に積み上げたもので、坑口アーチ頂部には五角形の要石を付ける。 明神口橋は、安田川に架かる橋長四三・二メートル、単線仕様、下路式の鋼製単トラス桁橋で、床桁中央に〇・九一メートル間隔でⅠ形の縦桁を付ける。トラスは株式会社横河橋梁製作所大阪工場製のプラットトラスとし、端柱に付けられた銘板より昭和四年二月の製作が判明する。 釜ヶ谷桟道は、安田川に張り出す岩盤上に架かる橋長一二・三メートル、半円アーチ形の石造単アーチ橋である。親柱には「釜可谷桟道 昭和二年四月改修」と記された銘板を嵌め込む 釜ヶ谷橋及び落合橋は、それぞれ安田川水系釜ヶ谷谷川及び安田川に架かる橋長一二・三メートル及び三七・〇メートル、単線仕様、上路式の鋼製単Ⅰ形桁橋及び鋼製二連桁橋で、縦桁の間隔はいずれも〇・九一メートルとする。落合橋の桁は、株式会社横河橋梁製作所大阪工場製のプレートガーダーとする。釜ヶ谷橋は橋台に「釜可谷橋 大正拾五年五月竣功」と陰刻された銘板を嵌め込み、橋の南北には石造擁壁を築く。落合橋の桁一連あたりの全長は一八・四メートルで、桁側面に「大正十四年 株式会社横河橋梁製作所大阪工場製作」の銘板を付ける。 犬吠橋及び井ノ谷橋は、それぞれ奈半利川水系犬吠谷川及び奈半利川水系笹ヶ瀬谷川に架かる橋長四一・〇メートル及び五四・五メートル、単線仕様、上路式の鋼製橋梁で、いずれも単トラス桁の主径間とⅠ形桁の側径間から構成される。主径間はいずれもプラットトラスで、床桁中央に〇・九一メートル間隔でⅠ形の縦桁を付ける。井ノ谷橋は大正一三年三月竣工(「鉄道写真集」(『高知林友』 昭和一〇年一月 一七四号)による。)で、犬吠橋についても井ノ谷橋の近傍に位置し形式も類似していることから、同時期の建設と考えられる。 小島橋は、奈半利川に架かる橋長一四三・〇メートル、単線仕様の鋼製橋梁で、下路式二連トラス桁の主径間と上路式五連Ⅰ形桁の側径間から構成される(「工事報告」(『高知林友』昭和一八年二六四号に所収)によると昭和七年一月竣工。)。主径間はプラットトラスで、床桁中央に〇・九一メートル間隔でⅠ形の縦桁を付け、側径間には「昭和六年七月 松尾鉄骨橋梁株式会社製作」の銘板を付ける。 二股橋及び堀ヶ生橋は、奈半利川水系小川川及び奈半利川に架かる橋長四六・五メートル及び四六・九メートルの無筋コンクリート造二連アーチ橋及び鉄筋コンクリート造単アーチ橋で、いずれも充腹式とし、径間は二〇・〇メートル及び四三・〇メートルとする(「橋梁台帳」によると、二股橋は昭和一四年七月着工、一五年七月竣工、堀ヶ生橋は昭和一五年五月着工、一六年三月竣工である)。 旧魚梁瀬森林鉄道施設は、国有林経営の拡大と合理化を実現するために農商務省が建設した、わが国最初期の森林鉄道施設の一つであるばかりでなく、山林技師により通常の鉄道構造物とは異なる構法又は規模で建設された橋梁及び隧道が、旧態を良好に保持しながらまとめて残る、林業技術史上、貴重な土木施設である。また二股橋と堀ヶ生橋は、それぞれ無筋コンクリート造及び充腹式鉄筋コンクリート造橋梁として近代における最大級の径間を実現した構造物であり、コンクリート技術史上、価値が高い。 【参考文献】 『高知県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書』(高知県教育委員会 二〇〇二年) 『日本の近代土木遺産[改訂版]』(土木学会 二〇〇五年) 『高知県中芸地区森林鉄道遺産調査報告書』(中芸地区森林鉄道遺産を保存・活用する会 二〇〇八年)
関連情報
附指定
五味隧道
立岡二号桟道
法恩寺跨線橋
八幡山跨線橋
関連情報
附指定
附名称
:
五味隧道
附員数
:
1所
関連情報
附指定
附名称
:
立岡二号桟道
附員数
:
1基
関連情報
附指定
附名称
:
法恩寺跨線橋
附員数
:
1基
関連情報
附指定
附名称
:
八幡山跨線橋
附員数
:
1基