国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
津嘉山酒造所施設
ふりがな
:
つかやましゅぞうしょしせつ
棟名
:
主屋
棟名ふりがな
:
しゅおく
津嘉山酒造所施設 主屋
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員数
:
1棟
種別
:
近代/産業・交通・土木
時代
:
昭和
年代
:
昭和3
西暦
:
1928
構造及び形式等
:
木造、建築面積三三〇・四九平方メートル、寄棟造、本瓦葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02545
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2009.06.30(平成21.06.30)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(三)歴史的価値の高いもの
重文指定基準2
:
(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの
所在都道府県
:
沖縄県
所在地
:
沖縄県名護市大中1丁目14番6号
保管施設の名称
:
所有者名
:
合資会社津嘉山酒造
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
津嘉山酒造所施設 主屋
解説文:
詳細解説
津嘉山酒造所施設は,名護市街に所在する現役の泡盛醸造所施設である。主屋と麹屋は島袋純一の設計により昭和3年頃に建てられ,この頃から泡盛の生産を始めたとみられる。
主屋は,泡盛醸造のための施設と居住部分を一体とした形式で,麹屋とともに昭和初期の酒造施設の形態を良くとどめており,貴重である。
また主屋居住部は,沖縄地方の伝統的な住宅平面を受け継ぎながら,近代的な展開も示しており,沖縄の近代住宅を理解する上で重要である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
添付ファイル
なし
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津嘉山酒造所施設 主屋
津嘉山酒造所施設
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津嘉山酒造所施設 主屋
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津嘉山酒造所施設
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解説文
津嘉山酒造所施設は,名護市街に所在する現役の泡盛醸造所施設である。主屋と麹屋は島袋純一の設計により昭和3年頃に建てられ,この頃から泡盛の生産を始めたとみられる。 主屋は,泡盛醸造のための施設と居住部分を一体とした形式で,麹屋とともに昭和初期の酒造施設の形態を良くとどめており,貴重である。 また主屋居住部は,沖縄地方の伝統的な住宅平面を受け継ぎながら,近代的な展開も示しており,沖縄の近代住宅を理解する上で重要である。
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詳細解説
津嘉山酒造所施設 二棟 主屋、麹屋、土地 津嘉山酒造所施設は、名護市内の西南に位置する旧名護町の市街地に所在する。敷地はほぼ矩形で、通りに南面し、中央南寄りに主屋、その北に麹屋を配し、周囲に塀を廻らし、南辺中央に正門を構える。主屋南面中央から南北に内塀と門を設け、主屋東方に庭園をつくる。主屋、麹屋、正門及び外塀、門及び内塀、南井戸は、平成一八年三月二日付で登録有形文化財(建造物)に登録された。 津嘉山酒造所は昭和二年から三年にかけて施設を現在地に建設し、泡盛の生産をはじめたとみられる。主屋と麹屋は昭和三年頃の建築で、主屋は板札から設計者島袋純一、施工者金城徳三郎が判明する。正門や外塀等も同時期に整備されたとみられる。 主屋は、東西棟の主体部の北面西寄りに、南北棟の突出部を付けるL字形の屋根で、主体部の東南角に玄関、東北角に離れや便所を付設する。屋根は寄棟造、本瓦葺で、突出部を落棟とし越屋根を設け、玄関と離れを入母屋造、便所を切妻造とする複雑な構成をなす。全体で東西一五・九メートル、南北一八・七メートルの規模とし、主体部が梁間一一・二メートル、突出部が梁間七・五メートル、玄関は桁行二・五メートル、梁間二・九メートル、離れは桁行六・七メートル、梁間五・七メートルとする。 主体部の東半部は田の字型に四室を配し、南側を東から一番座と二番座、北側を一番裏座と二番裏座とし、南・東・北に縁をまわし、南・東面に雨端(あまはじ)を設ける。一番座には床を構え、床脇には天袋を作り、二番座には神棚や壇を構える。玄関は板敷の一室で、北面に出窓を設けるが、当初は南半部を土間としていた。離れは一番裏座の東北に位置する。北面に床と床脇等を構える六畳の一室で、東・南・西に縁をまわし、南面から東面に雨端を設ける。西面の縁が北へ延び、大・小便所を付設する。居室には棹縁天井、縁に吹寄の棹縁天井を張る。各室には内法長押をまわし、表座や離れの小壁を漆喰壁とする。 西半部は台所や事務室等であり、二番座西に八畳大の部屋、その北に六畳大の板間を配する。西端を土間とし、その西南の一角を間仕切り、板間西方に竈を作る。 突出部は一室の広い醸造作業場とし、煉瓦造の煙突や冷却用の水槽、洗場等を残し、西面に検査室等を付設する。床は土間で、小屋組をあらわす。 麹屋は、桁行一二・一メートル、梁間七・九メートル、寄棟造、本瓦葺とする。内部は一室で、一間ごとに柱をたてる。土間で、周囲一間通を垂木下端に、中央梁間二間通は梁下端に板を張り、天井とする。 津嘉山酒造所施設は、泡盛醸造のための施設と居住部分を一体とした独特の構成をもつ主屋と、麹屋からなる、昭和初期に整えられた酒造施設の形態を良好にとどめ、伝統的な泡盛の製造工程を知ることができ、価値が高い。居住部においては伝統的な平面構成を受け継ぎながら、離れや玄関を構え、上質な座敷飾を設けるなど、随所に近代的な展開を示しており、沖縄における住宅の歴史を知る上で重要である。敷地内には、正門や門、外塀、内塀、南井戸の工作物や、庭園などがよく残されており、往時の姿を伝える宅地も併せて保存を図る。 【参考文献】 『沖縄県近代和風建築総合調査報告書』(沖縄県教育委員会 二〇〇二年) 『沖縄県近代化遺産(建造物)総合調査報告書』(沖縄県教育委員会 二〇〇四年)