国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
聖徳記念絵画館
ふりがな
:
せいとくきねんかいがかん
棟名
:
棟名ふりがな
:
聖徳記念絵画館
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員数
:
1棟
種別
:
近代/文化施設
時代
:
大正
年代
:
大正15年
西暦
:
1926
構造及び形式等
:
鉄筋コンクリート造、建築面積2348.52平方メートル、地下1階、銅板葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02570
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2011.06.20(平成23.06.20)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
(二)技術的に優秀なもの
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
東京都新宿区霞ヶ丘町1番1号
保管施設の名称
:
所有者名
:
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
聖徳記念絵画館
解説文:
詳細解説
聖徳記念絵画館は明治神宮外苑の中心施設で、明治天皇の事績を描いた絵画を展示する美術館である。明治神宮造営局の実施計画により大正15年に竣工した。
建物の中央に、ドーム屋根を戴く吹抜の大広間をおいて左右に絵画室を配置した構成で、外観は花崗岩による重厚な仕上げとし、内部は大理石やモザイクタイルで壮麗に飾る。
聖徳記念絵画館は、わが国最初期の美術館建築で、直線を強調した造形表現により、記念性の高い重厚な外観意匠を実現しており、高い価値が認められる。またドームのシェル構造や絵画室の採光などに先駆的な技術が取り入れられており、わが国の建築技術の発展を知る上でも重要である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
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聖徳記念絵画館
聖徳記念絵画館 内部(ホール)
聖徳記念絵画館 内部(画室)
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聖徳記念絵画館
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聖徳記念絵画館 内部(ホール)
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聖徳記念絵画館 内部(画室)
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解説文
聖徳記念絵画館は明治神宮外苑の中心施設で、明治天皇の事績を描いた絵画を展示する美術館である。明治神宮造営局の実施計画により大正15年に竣工した。 建物の中央に、ドーム屋根を戴く吹抜の大広間をおいて左右に絵画室を配置した構成で、外観は花崗岩による重厚な仕上げとし、内部は大理石やモザイクタイルで壮麗に飾る。 聖徳記念絵画館は、わが国最初期の美術館建築で、直線を強調した造形表現により、記念性の高い重厚な外観意匠を実現しており、高い価値が認められる。またドームのシェル構造や絵画室の採光などに先駆的な技術が取り入れられており、わが国の建築技術の発展を知る上でも重要である。
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詳細解説
聖徳記念絵画館 一棟 聖徳記念絵画館は、明治神宮の東方に位置し、東を赤坂御用地に接する明治神宮外苑の北端に建つ。外苑の敷地は約三〇万平方メートルにおよび、明治天皇大喪の葬場殿趾と青山通りを結ぶ南北軸を中心にして苑地が構成される。苑地の中央部は角丸長方形の広大な広場とし、この北半に北から葬場殿趾、聖徳記念絵画館、角池を並べ、南辺中央に丸池(まるいけ)を配する。 聖徳記念絵画館は外苑の中心施設で、明治天皇と昭憲皇太后の事績を描いた絵画を展示する美術館として計画され、大正八年三月に着工、大正一五年一〇月に竣工した。設計は、大正七年に実施された設計競技の一等当選案(小林正紹案)を原案とし、明治神宮造営局において佐野利器指導のもと、高橋貞太郎、小林政一が実施設計を行った。施工は主に大倉土木(現大成建設)が担当した。 一等当選の小林正紹は明治四二年工手学校卒業、大蔵省の建築職員として活躍し、枢密院(大正一〇年)、帝国議会議事堂(昭和一一年、現国会議事堂)などの設計に携わった。高橋は大正五年に東京帝国大学工科大学建築学科を卒業、明治神宮造営局、宮内省内匠寮などを経て建築事務所を開設し、前田公爵邸(昭和二年)、日本生命館(昭和八年、現髙島屋東京店 重要文化財)などの設計を手がけた。小林政一は大正五年に東京帝国大学工科大学建築学科を卒業、大蔵省臨時建築部から明治神宮造営局に転じて聖徳記念絵画館他、外苑工事の一切を担当した後、東京高等工業学校(現東京工業大学)教授、千葉大学教授(後に学長)を歴任した。 聖徳記念絵画館の建物は、平成一五年度に東京都景観条例の都選定歴史的建造物に選定されている。 平面規模は東西一一三・三メートル、南北二六・四メートル、鉄筋コンクリート造、建築面積二、三四八・五二平方メートル、平屋建地下一階である。ドームを戴いた中央棟の前面に大階段を付し、東西に絵画室である翼廊、翼屋を延ばす。屋根は、絵画室は鉄骨トラス架構の小屋組に銅板葺、中央棟は鉄筋コンクリート造、陸屋根とし、ドームは鉄筋コンクリートシェル構造である。 平面は中央棟の一階中央に吹抜の大広間、前後に表広間、裏広間を配し、大広間から向かって右手(東)に日本画、左手(西)に西洋画の絵画室を二室ずつ並べる。地階は事務室、会議室などにあてる。 外装はセセッション風のシンプルなデザインで、全体に装飾を抑えるが、花崗岩(万成石)を張り巡らし、中央にドームを戴くなど、重厚かつ記念性の高いデザインとする。中央棟正背面に半円アーチの縦長の開口を三連並べ、無窓の翼廊外壁は、装飾を廃した付柱を並べる。両脇の翼屋は翼廊から前後に張出し、無窓の正背面壁中央に半円アーチの縦長の窓を飾る。 室内意匠もセセッションを基調とし、特に大広間は、幾何学モチーフの柱頭飾りを備えた付柱、扉建具枠、及びその上部などに特色ある装飾を様々な大理石で構成し、床は大理石とモザイクタイルを組み合わせ、ドーム天井には石膏彫刻を施すなど、充実した内装を持つ。一方、各絵画室は開口周りの額縁飾りの他は装飾を抑え、両壁の全面に絵画を並べ、床を寄木張、天井をヴォールトとしトップライトを設ける。 鉄筋コンクリート造の建物として建設当時最大規模を誇り、技術的にも最新のものが導入された。特に中央棟頂部のドームは、当時として最大級のスパン一五メートルの鉄筋コンクリート造ドーム型シェルである。設備面でも、絵画の木製裏板と躯体壁の間に空間を確保して温湿度調整に配慮し、絵画室の採光では屋根とガラス天井の間に遮光調整幕を配するなどの工夫が認められる。 聖徳記念絵画館前の角池は、東西五八・二メートル、南北二七・三メートル、水深〇・六メートル、鉄筋コンクリート造万成石張で、蛇口計五基を壁面に備える。 苑内中央広場前に設けられた丸池は、直径一九・四メートル、周壁の高さ〇・七メートル、鉄筋コンクリート造万成石張で、中央に蛇口五基を備え、噴水とする。周囲に腰掛四台を配する。 葬場殿趾は、聖徳記念絵画館の中央北約七二メートルの位置にあり、直径一四・五メートル、高さ〇・九メートル、鉄筋コンクリート造万成石張の円壇を築き、壇上に芝を張り、中央に楠を植える。 聖徳記念絵画館は、我が国最初期の美術館建築である。西欧の様式建築の手法を基調としながら、幾何学形態を強調した新しい造形表現をみせており、意匠的に価値が高い。またドームのシェル構造や絵画室の採光などに最新の技術を導入するなど、技術史的にも意義が認められる。苑内の葬場殿趾円壇、角池、丸池と併せて保存を図る。 【参考文献】 『明治神宮外苑七十年誌』(明治神宮外苑 一九九八年) 『明治聖徳記念学会紀要』「明治神宮の建築(上)(下)」(藤岡洋保 二〇〇一年) 『東京都の近代和風建築』(東京都教育委員会 二〇一〇年)
関連情報
附指定
葬場殿趾円壇
角池
丸池
関連情報
附指定
附名称
:
葬場殿趾円壇
附員数
:
1所
関連情報
附指定
附名称
:
角池
附員数
:
1所
関連情報
附指定
附名称
:
丸池
附員数
:
1所