国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
尊經閣文庫
ふりがな
:
そんけいかくぶんこ
棟名
:
図書閲覧所
棟名ふりがな
:
としょえつらんじょ
尊經閣文庫図書閲覧所 南面外観
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員数
:
1棟
種別
:
近代/文化施設
時代
:
昭和
年代
:
昭和3年
西暦
:
1928
構造及び形式等
:
鉄筋コンクリート造一部木造及び鉄骨造、建築面積188.50㎡、二階建、塔屋付、一部銅板葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02596
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2013.08.07(平成25.08.07)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(三)歴史的価値の高いもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
東京都目黒区駒場四丁目861番
保管施設の名称
:
所有者名
:
公益財団法人前田育徳会
所有者種別
:
法人
管理団体・管理責任者名
:
尊經閣文庫図書閲覧所 南面外観
解説文:
詳細解説
尊經閣文庫は、旧加賀藩主前田家所蔵の古書籍、古文書、美術品などを収蔵、公開するための施設である。名称は前田家5代綱紀が収集した「尊經閣蔵書」にちなむ。大正15年に管理と運営のために公益法人育徳財団を設立し、本邸の駒場移転に合わせて、敷地の一郭に昭和3年に施設が建設された。北側道路に面して、本邸正門とは別に門を開き、中央に図書閲覧所、南側に防火を考慮した鉄筋コンクリート造三階建の書庫と貴重庫が並ぶ。尊經閣文庫は、旧大名家による文化施設の先駆例として歴史的に高い価値が認められる。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
添付ファイル
なし
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尊經閣文庫図書閲覧所 南面外観
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尊經閣文庫図書閲覧所 南面外観
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解説文
尊經閣文庫は、旧加賀藩主前田家所蔵の古書籍、古文書、美術品などを収蔵、公開するための施設である。名称は前田家5代綱紀が収集した「尊經閣蔵書」にちなむ。大正15年に管理と運営のために公益法人育徳財団を設立し、本邸の駒場移転に合わせて、敷地の一郭に昭和3年に施設が建設された。北側道路に面して、本邸正門とは別に門を開き、中央に図書閲覧所、南側に防火を考慮した鉄筋コンクリート造三階建の書庫と貴重庫が並ぶ。尊經閣文庫は、旧大名家による文化施設の先駆例として歴史的に高い価値が認められる。
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詳細解説
尊經閣文庫 四棟 図書閲覧所、書庫、貴重庫、門及び塀、土地 尊經閣文庫は、目黒区の北端、駒場の台地上に位置する旧前田家本邸敷地の一郭に所在する。旧加賀藩主前田家は、本邸の駒場移転に際し、同家所蔵の古典籍、古文書や美術品の複製を作製、頒布することで保存を図りつつ、研究者に公開するための施設を建設することとし、大正一五年二月に公益法人育徳財団を設立して所蔵品の管理と施設の運営を行わせた。文庫名は五代綱(つな)紀(のり)収集の古書籍「尊經閣蔵書」、財団名は本郷邸の庭園「育徳園」にちなむ。 北側道路側に門を開き、敷地の北と西は外周道路から二〇メートル程内側に外周塀を廻らせる。敷地中央に図書閲覧所が北面して建ち、南方西側に書庫、東側に貴重庫を配す。 基本計画は塚本靖により、大正一五年一月に建設を決定、昭和二年一月までに設計を完了し、翌三年四月に竣工した。設計は本邸洋館を担当した高橋貞太郎で、施工は竹中工務店が請け負った。昭和八年には図書閲覧所二階に写場と暗室を増築した。昭和一二年以降、建物と土地、収蔵品が順次、財団所有に移された。戦後、本邸は進駐軍に接収されたが、尊經閣文庫は公益法人が所有するものとして接収を免れ、収蔵品と建物を現在に伝えている。尊經閣文庫の建物は、前田育徳会事務棟(図書閲覧所)ほか三件として平成一二年二月一五日付けで登録有形文化財に登録されている。 図書閲覧所は、鉄筋コンクリート造、一部木造及び鉄骨造の二階建塔屋付で、建築面積は一八八・五〇平方メートルである。外壁はスクラッチ・タイル張で、基礎を安山岩張、パラペット、胴蛇腹と出入口庇を砂岩張として外観を引き締める。二階増築部は銅板葺とする。 平面は、北面西端に玄関ポーチを設け、玄関南の階段室から西へ廊下を延ばす。廊下南側に東から応接室、事務室、大閲覧室を並べ、大閲覧室の北が小閲覧室である。大閲覧室には二つのニッチを設けて本郷本邸から彫像を移設した。廊下北側は宿直室、湯沸所、便所を配す。東面の階段室は半円形に張り出す。二階は広間と編輯室で、西側旧屋上に写場と暗室を木造及び鉄骨造で増築している。 書庫と貴重庫は、鉄筋コンクリート造、三階建で、建築面積は書庫が一四三・一六平方メートル、貴重庫が一〇二・七〇平方メートルで、北面中央に玄関ポーチを設ける。外壁はモルタル塗で、一階腰部を安山岩張、二階と三階の腰部と軒下をスクラッチ・タイル張とし、上下にモルタル塗の蛇腹がつく。玄関ポーチとパラペットは幾何学彫刻の砂岩張とする。 平面は、いずれも入口右手に階段を設け、各階の中央を南北通路として東西に棚を設置する。内壁は木造二重壁で防火ボード張とする。窓は上下窓で外に鉄製シャッターがつく。 門は、旧前田家本邸門衛所の西に開く。門柱は鉄筋コンクリート造、門柱間三・九メートルで、門柱は凝灰岩張、基礎は安山岩張とする。上部は角形に造り、縦格子形の装飾を施す。塀は、鉄筋コンクリート造で、門から東へ本邸門衛所まで、門から北へ延び、屈曲して北側道路まで達する延長二三・四メートルで、中間部は高さを低めて変化を与えている。壁体はスクラッチ・タイル張で屈曲部に凝灰岩をあしらい、基礎を安山岩張、笠石を凝灰岩とする。 尊經閣文庫は、旧加賀藩主前田家が所蔵品の収蔵と公開を目的とした財団のために建設したもので、旧大名家による文化施設の先駆的事例として歴史的に価値が高い。敷地形状も良好に維持されており、併せて保存を図る。 【参考文献】 『前田利為』(前田利為公伝記編纂委員会 一九八六年) 『前田利為(軍人編)』(同 一九九二年)