国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
国道一号箱根湯本道路施設
ふりがな
:
こくどういちごうはこねゆもとどうろしせつ
棟名
:
函嶺洞門
棟名ふりがな
:
かんれいどうもん
国道一号箱根湯本道路施設 函嶺洞門
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員数
:
1基
種別
:
近代/産業・交通・土木
時代
:
昭和
年代
:
昭和6
西暦
:
1931
構造及び形式等
:
鉄筋コンクリート造、延長100.9m、幅員6.3m、東西石造擁壁附属
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
2628
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2015.07.08(平成27.07.08)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
(三)歴史的価値の高いもの
所在都道府県
:
神奈川県
所在地
:
神奈川県足柄下郡箱根町湯本、塔之澤
保管施設の名称
:
所有者名
:
神奈川県
所有者種別
:
都道府県
管理団体・管理責任者名
:
国道一号箱根湯本道路施設 函嶺洞門
解説文:
詳細解説
国道一号箱根湯本道路施設は,箱根山の東麓に位置する道路施設で,函嶺洞門,千歳橋,旭橋からなる。函嶺洞門は,関東大震災によって崩壊した断崖の直下に築かれた,鉄筋コンクリート造の落石防護施設で,昭和6年の竣工である。千歳橋と旭橋は,昭和5年と同8年に竣工した鉄筋コンクリート造単アーチ橋である。軟弱地盤を考慮し,基礎への負荷を軽減できるタイドアーチ形式を採用している。国道一号箱根湯本道路施設は,自動車交通に対応した我が国初期の幹線道路施設で,国道一号の険路であった箱根路の近代化を象徴する施設として,近代道路史上,価値が高い。また,高度な鉄筋コンクリート技術を駆使して建設された,我が国初期の洞門とタイドアーチ橋で,昭和初期における道路構造物の技術的達成度を示す遺構として重要である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
国道一号箱根湯本道路施設 函嶺洞門
国道一号箱根湯本道路施設 函嶺洞門 内部
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国道一号箱根湯本道路施設 函嶺洞門
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国道一号箱根湯本道路施設 函嶺洞門 内部
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解説文
国道一号箱根湯本道路施設は,箱根山の東麓に位置する道路施設で,函嶺洞門,千歳橋,旭橋からなる。函嶺洞門は,関東大震災によって崩壊した断崖の直下に築かれた,鉄筋コンクリート造の落石防護施設で,昭和6年の竣工である。千歳橋と旭橋は,昭和5年と同8年に竣工した鉄筋コンクリート造単アーチ橋である。軟弱地盤を考慮し,基礎への負荷を軽減できるタイドアーチ形式を採用している。国道一号箱根湯本道路施設は,自動車交通に対応した我が国初期の幹線道路施設で,国道一号の険路であった箱根路の近代化を象徴する施設として,近代道路史上,価値が高い。また,高度な鉄筋コンクリート技術を駆使して建設された,我が国初期の洞門とタイドアーチ橋で,昭和初期における道路構造物の技術的達成度を示す遺構として重要である。
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詳細解説
国道一号箱根湯本道路施設 三基 函嶺洞門、千歳橋、旭橋 国道一号箱根湯本道路施設は、箱根山東麓の標高約120m地点に位置する道路施設で、函嶺洞門、千歳橋、旭橋からなる。大正八年の道路法公布後、幹線道路改良の気運が全国的に高まる中、箱根路の円滑かつ安全な自動車交通等を確保するために建設された。事業主体は神奈川県で、設計は同県小田原道路改良事務所が担当し、千歳橋、函嶺洞門、旭橋の順に昭和五年、六年、八年に竣工した。建設後、国道一号の施設として引き続き利用され、補修等が行われてきたが、全体として保存状況は良好である。 函嶺洞門は、譲原組の施工により、関東大震災によって崩壊した断崖の直下に築かれた落石防護施設である。早川に平行して緩やかに湾曲する、ラーメン構造による延長100.9mの鉄筋コンクリート造構造物で、東西には石積擁壁を附属する。川側は、三径間連続ラーメンの端柱を相接させ、柱が等間隔に連なる構造をそのまま現したつくりで、外側の歩行者通路には庇を張り出す。内部は、横桁の下に上床版を打設し、山側のコンクリート壁と一体化させる。川側ラーメン構造のハンチと内部の上床版は、曲線を取り入れた丁寧なつくりとする。坑門は、柱に柱頭を設け、落石に対する緩衝層である洞門上の盛土を押さえる胸壁を、盛土面の勾配と対応させて階段状につくり、表面には花崗岩と異形タイルをあしらう。 千歳橋と旭橋は、いずれも早川にかかる下路式の鉄筋コンクリート造単アーチ橋で、橋長はそれぞれ25.5mと38.5m、幅員は11.4mと12.0mとする。軟弱地盤を考慮して、アーチの両端を繋材で連結し、アーチからの水平反力を繋材に伝達するタイドアーチ形式を採用しており、放物線状のアーチリブから垂直材を介して橋床を吊る。旭橋は、大林組の施工で、道路線形の屈曲を緩和するため斜橋としている。 国道一号箱根湯本道路施設は、自動車交通に対応した我が国初期の幹線道路施設であり、かつ、国道一号を代表する険路の一つである箱根路の近代化を象徴する施設として、近代道路史上、価値が高い。また、脆弱な断崖、軟弱地盤などの厳しい立地条件を克服するために、高度な鉄筋コンクリート技術を駆使して建設された我が国初期の洞門及びタイドアーチ橋から構成され、昭和初期における道路構造物の技術的達成度を示す遺構として重要である。 【参考文献】 『日本の近代土木遺産[改訂版]』(土木学会 二〇〇九年) 『神奈川県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書』(神奈川県教育委員会 二〇一二年)