国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
今村天主堂
ふりがな
:
いまむらてんしゅどう
棟名
:
棟名ふりがな
:
今村天主堂 外観(南東から)
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員数
:
1棟
種別
:
近代/宗教
時代
:
大正
年代
:
大正2
西暦
:
1913
構造及び形式等
:
三廊式教会堂、煉瓦造及び木造、建築面積582.15㎡、一部二階建、正面塔屋二基及び両側面出入口付、桟瓦葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
2633
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2015.07.08(平成27.07.08)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
福岡県
所在地
:
福岡県三井郡大刀洗町大字今七〇七番地
保管施設の名称
:
所有者名
:
カトリック福岡司教区
所有者種別
:
その他
管理団体・管理責任者名
:
今村天主堂 外観(南東から)
解説文:
詳細解説
今村天主堂は,筑後川中流域の田園地帯,近世以来キリスト教信仰を守り続けたと伝わる今村という小集落に位置している。現在の天主堂は,数多くの教会堂を手掛けた鉄川与助により,大正2年に完成した。外観はロマネスクを基調として煉瓦積を表し,正面に八角形平面の双塔を据えている。内部は本格的な三層構成で,高いリブヴォールト天井とステンドグラスにより壮麗な内部空間を演出している。今村天主堂は,北九州地域に数多く作られた煉瓦造教会堂で,平面規模,高さとも最大の規模を有し,類例の少ない双塔を聳えさせた壮観な正面構成,内部の本格的な三層構成,精緻な細部装飾など,優れた意匠を示している。鉄川与助による煉瓦造教会堂の最も充実したもののひとつに位置づけられ,高い価値を有している。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
写真一覧
今村天主堂 外観(南東から)
今村天主堂 外観(正面)
今村天主堂 内部(東から見る)
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今村天主堂 外観(南東から)
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今村天主堂 外観(正面)
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今村天主堂 内部(東から見る)
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解説文
今村天主堂は,筑後川中流域の田園地帯,近世以来キリスト教信仰を守り続けたと伝わる今村という小集落に位置している。現在の天主堂は,数多くの教会堂を手掛けた鉄川与助により,大正2年に完成した。外観はロマネスクを基調として煉瓦積を表し,正面に八角形平面の双塔を据えている。内部は本格的な三層構成で,高いリブヴォールト天井とステンドグラスにより壮麗な内部空間を演出している。今村天主堂は,北九州地域に数多く作られた煉瓦造教会堂で,平面規模,高さとも最大の規模を有し,類例の少ない双塔を聳えさせた壮観な正面構成,内部の本格的な三層構成,精緻な細部装飾など,優れた意匠を示している。鉄川与助による煉瓦造教会堂の最も充実したもののひとつに位置づけられ,高い価値を有している。
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詳細解説
今村天主堂は、福岡県中部、筑後川中流域の田園地帯にある今村という小集落の西端にそびえ立つカトリック教会堂である。 今村は近世以来キリスト教の信仰を密かに守り続けていたと伝えられている。明治一二年、フランス人宣教師コール神父が今村に着任し、明治一四年に教会を設立、はじめて教会堂を建築した。その後、明治四一年に本田保神父は教会堂が手狭となったため新築を計画し、大工棟梁鉄川与助(一八七九~一九七六)に建築を依頼した。鉄川与助は、明治一二年一月一三日、長崎県南松浦郡上五島町丸尾郷に生まれ、ド・ロ神父に西洋建築の指導を受けた後、明治後期から長崎県を中心に五〇を超える教会堂建築の設計施工を請け負った。建築工事は明治四五年二月に開始、大正二年に竣工、一二月九日に献堂式が行われた。門柱及び煉瓦塀もやや遅れて大正年間には建てられたとみられる。 天主堂は敷地中央に東面して建ち、正面から東に参道を延ばし、参道の両端に門柱を建てる。参道の両脇及び敷地東面から北面、西面にかけて煉瓦塀で囲む。今村天主堂は、平成一八年三月三日付けで福岡県指定文化財となっている。 天主堂は桁行37.1m、梁間14.6m、重層構成の教会堂で、外周及び双塔、アプス廻りを煉瓦造、内部を木造とする。小屋組は木造キングポストトラスで桟瓦葺とし、身廊は正面が切妻造、背面が隅を落とした寄棟造で、側背面に下屋を廻す。正面には高さ約20mで八角形平面の双塔を据え、塔の屋根は銅板葺のドーム屋根とし、頂部に避雷針を立てる。 平面は、会堂部は三廊式バシリカ型の長方形平面で、身廊と両側廊をアーケードで区画する。奥の内陣部は中央を半八角形に張り出してアプスとし、中央に祭壇を構える。会堂部と内陣部境は精緻な透かし彫りの聖体拝領台で仕切り、内陣部背後は香部屋とする。身廊南の二階には楽廊を設け、トリフォリウムを廊下とする。会堂部正面にはナルテックスを設け、双塔内部への階段出入口を設ける。双塔のうち南塔は鐘楼とし周囲を連子窓とするが、北塔は何も設けずに煉瓦壁の窓とする。会堂部南北面中央にはそれぞれ出入口を張り出す。 外観はロマネスクを基調とし、布石積の基礎の上にイギリス積の煉瓦壁を築き、窓台、屋根庇持送り、バットレス上部には石材、帯飾りには石材や焼過煉瓦を用いてアクセントをつける。正面は双塔を構えてロンバルド帯を三段廻し、アーチ窓、丸窓を随所に設ける。正面切妻上部及び側面出入口切妻上部には煉瓦によるバラ窓状の丸飾りを付け、妻壁頂部に石製の十字架を据える。 内部身廊部の立面はアーケード、トリフォリウム、クリアストーリーからなる本格的な三層構成とする。アーケードの列柱はコリント式の柱頭飾りを持つ丸柱で、上部に丸柱三本をまとめた蔟柱を立て、柱頭飾りを受けて板張の四分割リブヴォールト天井を支持する。トリフォリウムは柱間に小柱を三本立て三葉アーチで壁面を飾る。クリアストーリーには丸窓、側廊部壁面は縦長の半円アーチ窓二連及び上部の丸窓を設けそれぞれステンドグラスを嵌め、壮麗な内部空間を演出する。 門柱は、参道の東端と西端に建つ。東端の門柱は間口5.0m、高さ2.2mの花崗岩で、表面を江戸切仕上げとし、頂部を礎盤風に削り出す。西端の門柱は間口5.5m、高さ3.1mの花崗岩で、基礎と本柱、柱頭よりなり、柱頭には繰形を施す。 煉瓦塀は、半枚厚長手積の煉瓦塀で、参道の両脇。参道西端の門柱の南と北、さらに敷地北面西方の計五基に分かれており、総延長157.9mである。高さ約1.6mで要所に柱形を設け、軒廻りを鋸歯状の蛇腹とし傘石状に煉瓦を積みモルタル塗で仕上げる。 今村天主堂は、北九州地域に数多く作られた煉瓦造教会堂で、平面規模、高さとも最大の規模を有する。類例の少ない双塔をそびえさせた壮観な正面構成、内部の本格的三層構成の立面とリブヴォールト天井、精緻な細部装飾など、意匠的に優れている。鉄川与助による煉瓦造教会堂として最も充実したもののひとつであり価値が高い。 【参考文献】 佐久間巌、山本輝雄「所謂「かくれた切支丹」の里、今村カトリック教会に就いて」(日本建築学会九州支部研究報告第一六号 一九六七年) 『福岡県の近代化遺産』(福岡県教育委員会 一九九三年) 『福岡県指定文化財今村教会堂建築的調査建築史的調査報告書』(大刀洗町教育委員会 二〇一二年
関連情報
附指定
門柱
煉瓦塀
関連情報
附指定
附名称
:
門柱
附員数
:
二所
関連情報
附指定
附名称
:
煉瓦塀
附員数
:
五基