国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
絹本著色星曼荼羅図
ふりがな
:
けんぽんちゃくしょくほしまんだらず
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員数
:
1幅
種別
:
絵画
国
:
日本
時代
:
平安
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
02011
枝番
:
0
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2004.06.08(平成16.06.08)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
奈良県
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
法隆寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
画面中央に四重同心円からなる四重院の曼荼羅を画面いっぱいに表している。
第一院は、中央やや上寄りの水平線で虚空(白)と海中(青)に二分し、円相いっぱいに海中から突き出す須弥山上に坐す釈迦金輪を表す。須弥山には人頭蛇身の二龍王が交叉して巻き付くが、向かって右龍王に「難陀」、左龍王に「跋難」の墨書がある。
釈迦金輪は右足を前に結跏趺坐する。両手を腹前に置き定印を結ぶが、持物は不明。偏袒右肩に着した大衣は朱色で青色の縁を付け白線で輪郭する。朱地には白線で円文を描き、中に青と緑の破線を並べて簡単な花文とする。青地部分は白群地に群青で丸文を埋める。引目風の目で、唇の両端に窪みの墨線を入れている。身光部には車輪文を截金で置く。
第二院は上半に北斗七星、下半に九曜を配している。群青地に格子と斜め格子を重ね、辻に点を入れた截金による地紋を施している。
金輪の向かって左より反時計回りに、日曜、金曜、羅〓、火曜、土曜、計都、木曜、月曜、水曜を順次表し、それぞれの脇に名称の頭字を墨書している。
日曜は五頭の白馬に駕し、紫衣に朱の条帛、緑色の鰭袖、朱色の袖の付いた〓襠衣を着け、天衣をまとう。拱手した両手で銀珠を捧げ持つ。
金曜は女性形、頭上に鶏を載せ、琵琶を持つ。日曜と同様の〓襠衣、天衣は緑色。朱地に青い四点の文様のある裳を着け、〓〓座に坐す。
羅〓星は三面四臂で、龍に乗る。持物は、左垂下している手に人頭を下げる以外は不詳。
火曜は岩上に交脚して坐し、朱の炎髪上には驢馬【ろば】の頭らしきものあり。三眼。四臂で左右第一手で弓矢、右後手に剣、左後手に三叉戟を持つ。朱の裳、丹の条帛には簡略な文様あり。〓〓座。右側に横向きで朱の上衣を着けた眷属一体がある。
土曜は牛頭冠を戴き、水牛に乗る。右手に香炉、左手に杖を持つとみられる。老婆羅門形。前方に牛飼いのような丹色の衣を着けた童子がいる。
計都星は三面三目四臂、炎髪で牛にまたがる。条帛と裳を着けるが、持物は不詳。後方に侍者らしき女性形一体が拱手して立つ。
木曜は官人形で顎髭を生やす。紫の衣の上に緑色の鰭袖と朱地に青色の四弁花を散らした布地の袖と裾をもつ〓襠衣を着る。右手に華盤、左手に笏のようなものを持つ。頭上には猪冠(か)を被る。〓〓座。
月曜は三羽の鵞鳥に乗り、木曜と同様の〓襠衣装。拱手し、金輪を捧げる。白色の天衣をまとう。
水曜は女性形で、頭上に猿面あり。右手に帳面、左手に筆を持つ。木曜と同様の文様のある〓襠衣を着る。
北斗七星は、柄杓の先を向かって右上とし、反時計回りに七星を並べる。損傷のため四星のみを残す。いずれも白色の円相中に表している。
貪狼星は白袴に朱の水干、三山形の〓頭。笏を持つ。四周に四神を廻らす。前方に朱雀、右に白虎、左に青龍とするが、後方は玄武ではなく狐形である。
巨文星(「臣」字あり)は頭部を欠く。緑色の水干で拱手して笏を持つ。両脇に二玉女が跪坐する。
武曲星は〓襠衣装で三山形の〓頭。拱手して笏を持つ。両肩に近く、雲上の蓮華座上の日月を表す。
破軍星(「禄」字あり)は丹色の水干、羅状の〓頭、拱手して笏を持つ。左右二人の俗形の兵士が跪座し、手に鉾を持っている。
第三院は緑地に七宝繋ぎ文を截金であしらう。白色の円相内に表した十二宮を廻らしている。最下方に宝瓶宮、以下時計回りに双魚宮、羊宮、牛宮、夫婦宮、蟹宮(獅子宮、双子宮は欠)、秤宮、蠍宮、弓宮、摩蝎宮を廻らす。いずれも〓〓座上に標識を表している。墨書は「宝瓶宮」「雙魚」「羊」「青牛」「男女」「□蟹」「秤量」「蝎□」「人弓」「磨蝎」である。
第四院は青色地(無紋)に二十八宿を廻らす。宝瓶下に虚宿、以下時計回りに配列する。各尊は〓〓座に坐し、菩薩形の者は条帛と裳にそれぞれ朱と丹を交互に用い、簡単な五弁花文を散らしている。
星曼荼羅は北斗曼荼羅とも称され、密教北斗法の本尊画像である。星曼荼羅の図像には大きく二系統あり、一つは一〇世紀半ばころ東密の寛空によって創案されたものと考えられる、方形の三重院に諸尊を配した構成を採る。もう一つは一〇世紀末に台密の慶円によって案出されたといわれる円形の曼荼羅で、四重院からなる。いずれも日本で成立したものと考えられており、前者の代表作として大阪・久米田寺蔵本(昭和二十四年二月十八日指定)、後者の代表的な遺品として法隆寺蔵本(明治三十五年四月十七日指定)が重要文化財に指定されている。以上の二本はともに平安時代の遺品であるが、星曼荼羅としては他に「終南山曼荼羅」と呼ぶべき特殊な図像による道隆寺本(明治三十四年三月二十七日指定、重文)および松尾寺本(平成十五年五月二十九日指定、重文)が指定されているのみである。…全文は添付ファイルを参
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
解説文
画面中央に四重同心円からなる四重院の曼荼羅を画面いっぱいに表している。 第一院は、中央やや上寄りの水平線で虚空(白)と海中(青)に二分し、円相いっぱいに海中から突き出す須弥山上に坐す釈迦金輪を表す。須弥山には人頭蛇身の二龍王が交叉して巻き付くが、向かって右龍王に「難陀」、左龍王に「跋難」の墨書がある。 釈迦金輪は右足を前に結跏趺坐する。両手を腹前に置き定印を結ぶが、持物は不明。偏袒右肩に着した大衣は朱色で青色の縁を付け白線で輪郭する。朱地には白線で円文を描き、中に青と緑の破線を並べて簡単な花文とする。青地部分は白群地に群青で丸文を埋める。引目風の目で、唇の両端に窪みの墨線を入れている。身光部には車輪文を截金で置く。 第二院は上半に北斗七星、下半に九曜を配している。群青地に格子と斜め格子を重ね、辻に点を入れた截金による地紋を施している。 金輪の向かって左より反時計回りに、日曜、金曜、羅〓、火曜、土曜、計都、木曜、月曜、水曜を順次表し、それぞれの脇に名称の頭字を墨書している。 日曜は五頭の白馬に駕し、紫衣に朱の条帛、緑色の鰭袖、朱色の袖の付いた〓襠衣を着け、天衣をまとう。拱手した両手で銀珠を捧げ持つ。 金曜は女性形、頭上に鶏を載せ、琵琶を持つ。日曜と同様の〓襠衣、天衣は緑色。朱地に青い四点の文様のある裳を着け、〓〓座に坐す。 羅〓星は三面四臂で、龍に乗る。持物は、左垂下している手に人頭を下げる以外は不詳。 火曜は岩上に交脚して坐し、朱の炎髪上には驢馬【ろば】の頭らしきものあり。三眼。四臂で左右第一手で弓矢、右後手に剣、左後手に三叉戟を持つ。朱の裳、丹の条帛には簡略な文様あり。〓〓座。右側に横向きで朱の上衣を着けた眷属一体がある。 土曜は牛頭冠を戴き、水牛に乗る。右手に香炉、左手に杖を持つとみられる。老婆羅門形。前方に牛飼いのような丹色の衣を着けた童子がいる。 計都星は三面三目四臂、炎髪で牛にまたがる。条帛と裳を着けるが、持物は不詳。後方に侍者らしき女性形一体が拱手して立つ。 木曜は官人形で顎髭を生やす。紫の衣の上に緑色の鰭袖と朱地に青色の四弁花を散らした布地の袖と裾をもつ〓襠衣を着る。右手に華盤、左手に笏のようなものを持つ。頭上には猪冠(か)を被る。〓〓座。 月曜は三羽の鵞鳥に乗り、木曜と同様の〓襠衣装。拱手し、金輪を捧げる。白色の天衣をまとう。 水曜は女性形で、頭上に猿面あり。右手に帳面、左手に筆を持つ。木曜と同様の文様のある〓襠衣を着る。 北斗七星は、柄杓の先を向かって右上とし、反時計回りに七星を並べる。損傷のため四星のみを残す。いずれも白色の円相中に表している。 貪狼星は白袴に朱の水干、三山形の〓頭。笏を持つ。四周に四神を廻らす。前方に朱雀、右に白虎、左に青龍とするが、後方は玄武ではなく狐形である。 巨文星(「臣」字あり)は頭部を欠く。緑色の水干で拱手して笏を持つ。両脇に二玉女が跪坐する。 武曲星は〓襠衣装で三山形の〓頭。拱手して笏を持つ。両肩に近く、雲上の蓮華座上の日月を表す。 破軍星(「禄」字あり)は丹色の水干、羅状の〓頭、拱手して笏を持つ。左右二人の俗形の兵士が跪座し、手に鉾を持っている。 第三院は緑地に七宝繋ぎ文を截金であしらう。白色の円相内に表した十二宮を廻らしている。最下方に宝瓶宮、以下時計回りに双魚宮、羊宮、牛宮、夫婦宮、蟹宮(獅子宮、双子宮は欠)、秤宮、蠍宮、弓宮、摩蝎宮を廻らす。いずれも〓〓座上に標識を表している。墨書は「宝瓶宮」「雙魚」「羊」「青牛」「男女」「□蟹」「秤量」「蝎□」「人弓」「磨蝎」である。 第四院は青色地(無紋)に二十八宿を廻らす。宝瓶下に虚宿、以下時計回りに配列する。各尊は〓〓座に坐し、菩薩形の者は条帛と裳にそれぞれ朱と丹を交互に用い、簡単な五弁花文を散らしている。 星曼荼羅は北斗曼荼羅とも称され、密教北斗法の本尊画像である。星曼荼羅の図像には大きく二系統あり、一つは一〇世紀半ばころ東密の寛空によって創案されたものと考えられる、方形の三重院に諸尊を配した構成を採る。もう一つは一〇世紀末に台密の慶円によって案出されたといわれる円形の曼荼羅で、四重院からなる。いずれも日本で成立したものと考えられており、前者の代表作として大阪・久米田寺蔵本(昭和二十四年二月十八日指定)、後者の代表的な遺品として法隆寺蔵本(明治三十五年四月十七日指定)が重要文化財に指定されている。以上の二本はともに平安時代の遺品であるが、星曼荼羅としては他に「終南山曼荼羅」と呼ぶべき特殊な図像による道隆寺本(明治三十四年三月二十七日指定、重文)および松尾寺本(平成十五年五月二十九日指定、重文)が指定されているのみである。…全文は添付ファイルを参
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