国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造閻魔王坐像
ふりがな
:
もくぞうえんまおうざぞう
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員数
:
1躯
種別
:
彫刻
国
:
時代
:
鎌倉
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
3546
枝番
:
1
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2007.06.08(平成19.06.08)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
奈良県
所在地
:
奈良県奈良市登大路50
保管施設の名称
:
奈良国立博物館
所有者名
:
東大寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
各寄木造、彩色仕上。東大寺念仏堂地蔵菩薩像(重要文化財)の脇侍として伝来した一対像。力強い作風に鎌倉時代慶派仏師の特色を示す。泰山府君像は作風と構造が地蔵像と共通し、同像と同じく嘉禎三年(1237)、仏師康清(運慶の孫か)作とみられる。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
各寄木造、彩色仕上。東大寺念仏堂地蔵菩薩像(重要文化財)の脇侍として伝来した一対像。力強い作風に鎌倉時代慶派仏師の特色を示す。泰山府君像は作風と構造が地蔵像と共通し、同像と同じく嘉禎三年(1237)、仏師康清(運慶の孫か)作とみられる。
詳細解説▶
詳細解説
東大寺念仏堂の本尊、地蔵菩薩像(重要文化財)は像内銘により嘉禎三年(一二三七)に仏師康清が製作したことが知られるが、その眷属として伝来した閻魔王・泰山府君像である。ともに檜(か)材の寄木造で玉眼嵌入、彩色仕上になる。像高をほぼ同じくするが、閻魔王はより大振りの冠帽を戴くため顔の位置がやや低い。 泰山府君像は頭部を形成する中心材の前後左右に細い材を並べ矧いで像容を彫出している。鎬を立てない柔らかな彫り口で大づかみに各部を刻み出す造形は地蔵菩薩像と共通する。その構造技法も細かな木寄や、主材と両肩外側部材の正面下端を彫り残して枘で繋げる仕口などよく似ており、同じく康清の手になるとみてよいであろう。上躰をやや後傾させ、前に出した左腕との間に大きな空間をとる構えには悠然たる趣があり、そのできばえは地蔵菩薩像にまさるものがある。康清は地蔵菩薩像の銘文に「法橋康勝尊霊」と記すことから運慶四男康勝の子と推定され、同じく康勝の子である運慶三代目を代表する仏師、康円の弟にあたるかとみられる。本像は地蔵菩薩像とともにこの世代の慶派正系仏師による最初の基準作例として重要である。 閻魔王は泰山府君と異なり頭躰幹部を通して前後矧を基本とする簡明な木寄になり、線条的で硬めの彫り口も異質である。その造形はいささか破綻も認められるものの、鼻先に力の集中する忿怒相にうかがえる迫力にやはり鎌倉盛期の慶派仏師の特色が示されており、上げ底式に底板を刳り残す構造にも同じことがいえる。文様に描線盛上の技法を用いることからみればやや製作時期が降る可能性も考慮すべきかと思われるが、両者にさほど時間差をみる必要はなかろう。 このように両者は作風や構造技法を異にし、その一具としての成立には複雑な経緯も想定されるが、ともに冥官【めいかん】彫像の初期遺品として注目される。