国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
紙本著色浅間山図〈亜欧堂田善筆/六曲屏風〉
ふりがな
:
しほんちゃくしょくあさまやまず
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員数
:
一双
種別
:
絵画
国
:
日本
時代
:
江戸
年代
:
西暦
:
作者
:
亜欧堂田善
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
2038
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2010.06.29(平成22.06.29)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
東京都台東区上野公園13-9
保管施設の名称
:
東京国立博物館
所有者名
:
独立行政法人国立文化財機構
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
本図は、西洋絵画の描法を学んで、日本の風景である浅間山を雄大に描き出した亜欧堂田善(1748~1822)の代表作である。近年下絵が発見されて製作過程の図様の改変が知られるようになり、西洋絵画の空間表現と屏風絵の伝統的な画面構成を融合しようとする画家の試みがより明らかとなった。
本図は江戸時代後期の洋風画における屈指の大作であり、屏風絵形式の希な遺例としても著名な作品である
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
本図は、西洋絵画の描法を学んで、日本の風景である浅間山を雄大に描き出した亜欧堂田善(1748~1822)の代表作である。近年下絵が発見されて製作過程の図様の改変が知られるようになり、西洋絵画の空間表現と屏風絵の伝統的な画面構成を融合しようとする画家の試みがより明らかとなった。 本図は江戸時代後期の洋風画における屈指の大作であり、屏風絵形式の希な遺例としても著名な作品である
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詳細解説
江戸時代後期洋風画の劈頭には佐竹曙山(一七四八~八五)、小田野直武(一七五〇~八〇)らによる秋田蘭画があり、次に、司馬江漢(一七四七~一八一八)がより本格的な西洋画法を取り入れる。江漢はまた、日本最初の銅版画を天明三年(一七八三)に創製した。 亜欧堂田善は江漢に続く時期に活躍している。寛政六年(一七九四)に白河藩主であった松平定信に見いだされ、定信に禄仕した森島中良等蘭学者の協力を得て、江漢より高い銅版画の技術を身につけ、肉筆画においても、より洗練された洋風画を描いた。本図は亜欧堂田善の肉筆画における代表作の一つであり、江戸時代後期の洋風画における屈指の大作であり、屏風絵形式の稀な遺例としても名高い作品である。 六曲屏風に大きく浅間山の山容を描く構成は、谷文晁の「名山図譜」冒頭の浅間山図に取材したとされるが、大画面に描かれた景観は、各扇を構図の単位として図様を布置する屏風絵独特の構図が尊重され、通常田善画にみる透視遠近法を用いていない。近景は画面左端から右方へと後退し、遠景は右の浅間山から左方の遠山へ後退する遠近表現に変貌している。 銅版画においては精密な透視遠近法を縦横に駆使する田善が、洋風画の写実的な画面構成と、屈曲する横長の画面が調度として座を演出する伝統的な画面形式との間で格闘している。その結果の本図には、日本の絵画の側に立って西洋絵画の摂取を試みるという、近代の先駆けとしての大きな意義が認められる。 平成三年に須賀川の旧家で本図の画稿が発見されて、下絵段階では近景に炭焼きに従事するふたりの人物が描かれていたことが判明した。制作過程の画家の葛藤がうかがえる重要な資料である。 また、洋風画の技法としては雲の表現が注目され、絵の具を厚く塗り、筆触を生かした描法が効果的である。画面左側の人の営みを示す黒い煙と画面右上の浅間山の白い噴煙が呼応するように描かれ、荒涼とした火山の風景に唯一生き生きとした動きを与えている。