国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造天蓋(所在法華堂)
ふりがな
:
もくぞうてんがい(しょざいほっけどう)
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員数
:
3面
種別
:
彫刻
国
:
時代
:
奈良、鎌倉
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
3580
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2011.06.27(平成23.06.27)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
奈良県
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
東大寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
東大寺法華堂の母屋三間各中央に付けられる天蓋。東西の間分の二面は堂創建の頃の製作で、奈良時代文書にみえる「倒蓮華」の現存唯一の例である。中の間分は鎌倉時代に、東西間のものに倣って補作されたもの。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
東大寺法華堂の母屋三間各中央に付けられる天蓋。東西の間分の二面は堂創建の頃の製作で、奈良時代文書にみえる「倒蓮華」の現存唯一の例である。中の間分は鎌倉時代に、東西間のものに倣って補作されたもの。
詳細解説▶
詳細解説
東大寺法華堂正堂母屋三間の天井中央に取付けられる天蓋である。三面ともほぼ同形式で、大型の蓮華を中心に周囲八方に小蓮華を配し、空隙に葉をあしらい全体を宝相華【ほうそうげ】のように構成する大円板となっている。各蓮華中央には銅鏡を嵌め、大蓮華中心より光条が放たれる放射光となる。 いずれも木造で光条および蓮弁縁を漆箔とするほかは彩色仕上げとする。東西の天蓋は大蓮華が前後二材、小蓮華および葉は各一材製で、小蓮華は茎を共木彫出し、大蓮華裏面を欠込み差込む。中の間分は大蓮華が主材一材製で正面背面側に一材を足し、小蓮華および葉各一材製で別材の茎で大小の蓮華を繋ぐ構造になる。表面は繧繝【うんげん】彩色による華麗な文様が描かれる。 中の間の天蓋は東西分に比べ小振りになり、構造等からも製作年代の異なることが明らかである。具体的な年代は明らかにしがたいが、彫り口や彩色の状態から鎌倉時代の製作とみなされる。東西分の天蓋は、蓮葉の緩やかに伸びるさまや張りのある蓮弁等に奈良時代盛期の特徴が顕著である。 正倉院文書によれば、法華寺の天井には「倒蓮華【とうれんげ】」と称する乾漆造の「天井花」一九房が取付けられていたことが知られる。本品の形状もこの「倒蓮華」に当たろう。天井に立体的な蓮華を表す遺例は中国南北朝時代にまで遡り、雲崗石窟【うんこうせっくつ】等に多くの作例が知られている。本品はこの種の天蓋の飛鳥奈良時代における唯一の遺品として極めて貴重である。降って平等院鳳凰堂天蓋中の円蓋は中心蓮華に鏡を付ける点で本品に類し、本品はこうしたものの祖型とみなすことができる。 なお、中の間には本来不空羂索観音像を納める宝殿が設けられていたため、当初は天蓋がなく、宝殿の軸部以上が撤去された後に取付けられたとみられる。執金剛神【しつこんごうしん】像の厨子が鎌倉時代に新造されたことと併せ法華堂内諸尊像に関して鎌倉時代に何らかの移動等改変があったことが想像され、時代は降るものの法華堂や堂内諸尊像の歴史を後付けるのに重要な遺品とみなされる。