国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
喪乱帖〈原跡王羲之/〉
ふりがな
:
そうらんじょう
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員数
:
1幅
種別
:
書跡・典籍
国
:
中国
時代
:
唐時代
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
縦26.2 横58.9
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
282
枝番
:
国宝・重文区分
:
国宝
重文指定年月日
:
国宝指定年月日
:
2023.06.27(令和5.06.27)
追加年月日
:
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
東京都千代田区千代田
保管施設の名称
:
皇居三の丸尚蔵館
所有者名
:
国(文化庁保管)
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
東晋の書聖、王羲之(三〇三?~三六一?)の書簡を唐代に双鉤塡墨の技法で写した模本である。内容は、戦乱により先祖の墓が荒らされた深い悲しみを記す。一行目に「喪乱」の字が見えることから「喪乱帖」と名付けられている。「帖」とは法帖、習字の手本のことである。王羲之の真筆は現存せず、双鉤塡墨による唐代の精巧な模本が日本に四点、中国に四点、米国に一点、計九点が現存するのみであり、古来珍重されている。
日本には奈良時代に遣唐使によってもたらされ、聖武天皇遺愛品として東大寺に献納、また「延暦勅定」の朱印が捺されていることから、桓武天皇の御覧に供したことが知られる。のち東大寺から流出、後水尾天皇から後西天皇を経て、妙法院堯恕法親王に与えられた。明治十三年(一八八〇)、妙法院から皇室に献上されている。
喪乱帖は、現存する王羲之書の精巧な模本九点のなかでも、もとの書簡を書いた年代が永和十二年(三五六)と確かであること、文章としてまとまった内容であること、模写の技法が優れていることなどにより、第一級品とされ、書道史上たいへん貴重である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
東晋の書聖、王羲之(三〇三?~三六一?)の書簡を唐代に双鉤塡墨の技法で写した模本である。内容は、戦乱により先祖の墓が荒らされた深い悲しみを記す。一行目に「喪乱」の字が見えることから「喪乱帖」と名付けられている。「帖」とは法帖、習字の手本のことである。王羲之の真筆は現存せず、双鉤塡墨による唐代の精巧な模本が日本に四点、中国に四点、米国に一点、計九点が現存するのみであり、古来珍重されている。 日本には奈良時代に遣唐使によってもたらされ、聖武天皇遺愛品として東大寺に献納、また「延暦勅定」の朱印が捺されていることから、桓武天皇の御覧に供したことが知られる。のち東大寺から流出、後水尾天皇から後西天皇を経て、妙法院堯恕法親王に与えられた。明治十三年(一八八〇)、妙法院から皇室に献上されている。 喪乱帖は、現存する王羲之書の精巧な模本九点のなかでも、もとの書簡を書いた年代が永和十二年(三五六)と確かであること、文章としてまとまった内容であること、模写の技法が優れていることなどにより、第一級品とされ、書道史上たいへん貴重である。
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詳細解説
本帖は東晋の書聖、王羲之(三〇三?~三六一?)の書簡を唐代に写した模本である。一行目に「喪乱」とあることから「喪乱帖」と名付けられている。「帖」とは法帖、習字の手本のことである。王羲之の真筆は現在存在せず、双鉤塡墨の技法による唐代の精巧な模本が日本に四点、中国に四点、米国に一点、計九点が現存するのみであり、古来珍重されている。 王羲之は晋の名族の出で、それまでの古風な伝統的書体から脱却した豊かな表情をもつ字姿による書風を完成し、書の芸術性を飛躍的に高めた。王羲之の書は早くから日本に伝わり、奈良時代以降平安時代、三筆や三蹟たちも王羲之の書法を学び、わが国の書風が形成されていく。 本帖は奈良時代に遣唐使によってもたらされ、聖武天皇遺愛品として東大寺に献納されたとする。本帖右端には桓武天皇の「延暦(印字は歴字)勅定」の朱方印が三顆捺されている。弘仁十一年(八二〇)には寺外に流出した記録がある。その後、後水尾天皇、後西天皇、妙法院堯恕法親王を経て、明治十三年(一八八〇)、妙法院から皇室に献上された。 「喪乱帖」は、戦乱が極まり先祖の墓が再び荒らされ、悲痛な思いでいること、墓は修復したがまだ駆けつけることができず、悲しみが深まっていることなどを記している。荒らされた先祖の墓を修復したと記すことから、東晋の北伐軍が旧都洛陽を奪還した永和十二年(三五六)、王羲之五四歳の頃のものと考えられている。筆法は変化に富んでおり、気勢が雄偉、しかも軽重のバランスがとれていると評価されている。 本帖は、現存する九点の王羲之書の双鉤塡墨による模本中、原跡の書かれた年代が確かであること、文章としてまとまった内容であること、模写技法が大変優れていることなどにより、第一級品とされ、書道史上たいへん貴重である。