国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
万葉集巻第二、第四残巻(金沢本)〈藤原定信筆/彩牋〉
附 浦景蒔絵冊子箱
桐冊子箱
宝永丁亥仲春望日前田綱紀箱書
ふりがな
:
まんようしゅうまきのだいに、だいよん ざんかん かなざわぼん ふじわらのさだのぶひつ さいせん
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員数
:
2帖
種別
:
書跡・典籍
国
:
日本
時代
:
平安時代院政期
年代
:
西暦
:
作者
:
藤原定信
寸法・重量
:
各 縦21.7 横13.6
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
284
枝番
:
国宝・重文区分
:
国宝
重文指定年月日
:
国宝指定年月日
:
2023.06.27(令和5.06.27)
追加年月日
:
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
東京都千代田区千代田
保管施設の名称
:
皇居三の丸尚蔵館
所有者名
:
国(文化庁保管)
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
平安時代の『万葉集』の古写本で、金沢藩主前田家に伝来したことから「金沢本万葉集」と呼ばれている。『万葉集』巻第二と巻第四の残巻二帖であり、粘葉装の冊子本である。伝本の分類上、次点本に属し、仙覚(一二〇三~?)が校訂した新点本以前の古写本として重要な価値を有する。
筆者は世尊寺家第五世の藤原定信(一〇八八~?)で、壮年期の筆と推定されている。定信書の特徴がよく表れ、速筆で全体の流れや流動感による美しさを追求した完成度の高い筆跡であり、和製唐紙(彩牋)を用いた美麗な料紙とよく調和し、書道史上においても高く評価されている。
また、附の桐冊子箱には五代藩主前田綱紀(一六四三~一七二四)の箱書きがあり、綱紀の祖父三代藩主利常(一五九三~一六五八)の蔵書であったことが知られる。
本帖は、「五大万葉」として知られる平安時代の『万葉集』の古写本の一つとして、我が国の文化史上において極めて高い価値を有する。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
平安時代の『万葉集』の古写本で、金沢藩主前田家に伝来したことから「金沢本万葉集」と呼ばれている。『万葉集』巻第二と巻第四の残巻二帖であり、粘葉装の冊子本である。伝本の分類上、次点本に属し、仙覚(一二〇三~?)が校訂した新点本以前の古写本として重要な価値を有する。 筆者は世尊寺家第五世の藤原定信(一〇八八~?)で、壮年期の筆と推定されている。定信書の特徴がよく表れ、速筆で全体の流れや流動感による美しさを追求した完成度の高い筆跡であり、和製唐紙(彩牋)を用いた美麗な料紙とよく調和し、書道史上においても高く評価されている。 また、附の桐冊子箱には五代藩主前田綱紀(一六四三~一七二四)の箱書きがあり、綱紀の祖父三代藩主利常(一五九三~一六五八)の蔵書であったことが知られる。 本帖は、「五大万葉」として知られる平安時代の『万葉集』の古写本の一つとして、我が国の文化史上において極めて高い価値を有する。
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詳細解説
本帖は、金沢藩主前田家に伝来したことから「金沢本万葉集」と呼ばれている。平安時代の『万葉集』の古写本であり、最古写本の「桂本(桂宮本)」と「藍紙本」に次いで古く、「天治本」、「元暦校本」と合わせて「五大万葉」と総称されている。 当初は巻第三、巻第六の残巻とともに装丁されていたが、明治四十三年に外されて前田家から皇室へと献上された。前田家に残された巻第三と巻第六は一帖に仕立てられ、「萬葉集巻第三、第六残巻〈(金沢萬葉)/(彩牋)〉」として昭和三十年に国宝指定された。 本帖は、『万葉集』巻第二と巻第四の残巻二帖であり、粘葉装の冊子本である。献上当初は一帖であったが、保存修理により巻ごとに分冊して各一帖に仕立てられた。料紙には和製唐紙が用いられ、表裏ともに白・黄・緑の具引地に、類型化した一八種類の型文様が雲母刷りされている。また、伝本の分類上、次点本に属し、本文と訓みは「元暦校本」と「紀州本」に近いとされ、仙覚(一二〇三~?)が校訂した新点本以前の古写本として『万葉集』の校勘の上でも重要な価値を有する。 筆者は、筆跡比較による考証から藤原定信(一〇八八~?)の真筆とされている。定信は、藤原行成(九七二~一〇二七)を祖とする能書の世尊寺家第五世である。本帖は定信の壮年期の筆と推定され、速筆で一字一字の字形にとらわれず全体の流れや流動感による美しさを追求した完成度の高い筆跡で、美麗な料紙とよく調和している。 附の浦景冊子箱は江戸時代の加賀蒔絵にみられる特徴を有し、桐冊子箱の第五代藩主前田綱紀(一六四三~一七二四)の箱書からは、本書が綱紀の祖父第三代藩主利常(一五九三~一六五八)の蔵書であったことが知られる。 本帖は平安時代の「五大万葉」の一つであり、『万葉集』及び国文学研究上において重要である。美麗な和製唐紙の料紙(彩牋)を用いた世尊寺家第五世藤原定信の真跡として書道史上の評価も高く、我が国の文化史上において極めて高い価値を有する。