国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
天之図(星図)
ふりがな
:
てんのず〈せいず〉
解説表示▶
員数
:
1幅
種別
:
歴史資料
国
:
日本
時代
:
室町
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
00050
枝番
:
0
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
1989.06.12(平成1.06.12)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
福井県
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
瀧谷寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
福井県三国町の瀧谷寺に伝来した中世の天文星図である。瀧谷寺は永徳元年(一三八一)に睿憲【えいけん】によって開山されたと伝える真言宗の名刹である。
この図は、上段に二十八宿等の星座を七言の詩に詠んだ歩天歌【ほてんか】が記され、下段には天球の図が円図として描かれている。歩天歌は首に「周天三百六十五度四分度之一、二十八舎圖、丹元子【たんげんし】歩天歌」と内題があり、続いて本文が一行四五字、五七行にわたって書かれているが、字の脱落もままみられる。下段の星宿【せいしゆく】図は、中心に中元紫微宮【ちゆうげんしびきゆう】を描き、その外側に十二次の記載があり、さらにそれと同心円で赤道を朱線によって表わし、中心から放射線上に延びた直線によって三六五度四分の一に分けられている。図全体には星座を描き、星にも各々番号や星名が付けられ、朱色、黒色、白抜で区別されている。さらに一番外の同心円の外側には反時計回りで角宿【かくしゆく】以下二十八宿とその宿度、その外には上を午、下を子として方位が記されている。星座名と星名については、土御門【つちみかど】家に伝来して戦災で焼失した中世の星宿図である『格子月進図【こうしげつしんず】』とほぼ一致し、二十八宿の宿度は、応永二十一年(一四一四)賀茂在方によって撰述された『暦林問答集【れきりんもんどうしゆう】』記載のものと一致する。しかし、星座の位置、十二次記載の数値、各宿内の星の位置等正確さを欠いている点も多い。
本図は、その収納箱の墨書によって元禄十六年(一七〇三)にはすでに「天之図」と呼ばれていたことが判明する。また、天文十六年(一五四七)の頼中法印寄進の校割帳【こうかつちよう】には「星圖一幅」と記されるが、おそらくは本図を指すのであろう。歩天歌の書風や料紙の紙質等よりみても本図は天文年間以前に作成されたものと考えられる。
本図は星座の位置等に正確でない点がみられるが、室町時代中期に遡る星図の現存唯一の遺品として貴重である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
福井県三国町の瀧谷寺に伝来した中世の天文星図である。瀧谷寺は永徳元年(一三八一)に睿憲【えいけん】によって開山されたと伝える真言宗の名刹である。 この図は、上段に二十八宿等の星座を七言の詩に詠んだ歩天歌【ほてんか】が記され、下段には天球の図が円図として描かれている。歩天歌は首に「周天三百六十五度四分度之一、二十八舎圖、丹元子【たんげんし】歩天歌」と内題があり、続いて本文が一行四五字、五七行にわたって書かれているが、字の脱落もままみられる。下段の星宿【せいしゆく】図は、中心に中元紫微宮【ちゆうげんしびきゆう】を描き、その外側に十二次の記載があり、さらにそれと同心円で赤道を朱線によって表わし、中心から放射線上に延びた直線によって三六五度四分の一に分けられている。図全体には星座を描き、星にも各々番号や星名が付けられ、朱色、黒色、白抜で区別されている。さらに一番外の同心円の外側には反時計回りで角宿【かくしゆく】以下二十八宿とその宿度、その外には上を午、下を子として方位が記されている。星座名と星名については、土御門【つちみかど】家に伝来して戦災で焼失した中世の星宿図である『格子月進図【こうしげつしんず】』とほぼ一致し、二十八宿の宿度は、応永二十一年(一四一四)賀茂在方によって撰述された『暦林問答集【れきりんもんどうしゆう】』記載のものと一致する。しかし、星座の位置、十二次記載の数値、各宿内の星の位置等正確さを欠いている点も多い。 本図は、その収納箱の墨書によって元禄十六年(一七〇三)にはすでに「天之図」と呼ばれていたことが判明する。また、天文十六年(一五四七)の頼中法印寄進の校割帳【こうかつちよう】には「星圖一幅」と記されるが、おそらくは本図を指すのであろう。歩天歌の書風や料紙の紙質等よりみても本図は天文年間以前に作成されたものと考えられる。 本図は星座の位置等に正確でない点がみられるが、室町時代中期に遡る星図の現存唯一の遺品として貴重である。