国宝・重要文化財(美術工芸品)
 主情報
名称 木造行道面
ふりがな
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員数 13面
種別 彫刻
日本
時代 平安
年代
西暦
作者
寸法・重量
品質・形状
ト書
画賛・奥書・銘文等
伝来・その他参考となるべき事項
指定番号(登録番号) 03503
枝番 0
国宝・重文区分 重要文化財
重文指定年月日 2002.06.26(平成14.06.26)
国宝指定年月日
追加年月日
所在都道府県 広島県
所在地
保管施設の名称
所有者名 御調八幡宮
管理団体・管理責任者名

解説文:
 御調八幡宮に伝えられる一六面の仮面類で、如来、菩薩および比丘面計一一面、獅子頭・馬頭各一面、それに附指定の朽損著しい菩薩面三面よりなる。
 如来、菩薩および比丘は一組の阿弥陀聖衆として、いわゆる来迎会において用いられたとみられる。このうち菩薩および比丘はいずれもトチかとみられる広葉樹材を用い、すべて同一の作風を示している。丸みを帯びた顔の輪郭や天冠台の形式、耳の形などに藤原風をとどめながら、明快な表情や頬の締まった肉取りに新時代の風が顕著である。その製作は鎌倉時代の早いころ、一二世紀末から一三世紀初めにかけてが想定されよう。比丘は地蔵および龍樹とみられ、この種の面として最も古い。それに対して如来はクス材製になり、その目鼻立ちは菩薩や比丘に通じる点もあるものの、表情はいささか生彩に欠ける。面長の顔の輪郭や正面髪際を湾曲させる形などからみれば、室町時代頃にそれらに倣って補作されたものかと思われるが、やはり同種の面の中では最古の遺品として貴重である。
 獅子頭と馬頭はともにヒノキ材製でほぼ同大に造られ、一具とみてよいかと思われる。獅子頭の抑揚が強く雄偉な造形は明らかに鎌倉時代の作例と一線を画すものがあるが、全体に低平で鼻先が上向きに突き出す概形と、下顎部と頭部を上下に重ねて装着する仕口は、むしろ鎌倉後期以降に類例が見出され、本面をそれらの源流として位置づけることができよう。獅子頭の系譜を考えるうえで興味深い。馬頭は正倉院や法隆寺に伝わるものと異なり、下顎部(亡失)を別製の可動式とし、目の周囲の花形や後方になびく毛の表現に霊獣としての性格が強調されている。これらの製作年代を特定することは困難であるが、馬頭の各部にみられる勁い彫り口から、平安後期もあまり降らぬ時期とみられる。
 附指定の菩薩面は花形の宝冠や頬の豊かに張った顔立ちなど、応徳三年(一〇八六)修理銘のある教王護国寺旧蔵十二天面(京都国立博物館保管、重文)を思わせ、鎌倉菩薩面の前身面であったかとも考えられる。平安時代の菩薩面として貴重な作例であるが、原容をうかがうのが困難なほど損傷が進行していることが惜しまれる。
関連情報
    (情報の有無)
  附指定
  一つ書
  添付ファイル なし