国宝・重要文化財(美術工芸品)
 主情報
名称 絹本著色釈迦八相図
ふりがな けんぽんちゃくしょくしゃかはっそうず
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員数 3幅
種別 絵画
日本
時代 鎌倉
年代
西暦
作者
寸法・重量
品質・形状
ト書
画賛・奥書・銘文等
伝来・その他参考となるべき事項
指定番号(登録番号) 01905
枝番 00
国宝・重文区分 重要文化財
重文指定年月日 1991.06.21(平成3.06.21)
国宝指定年月日
追加年月日
所在都道府県 山梨県
所在地
保管施設の名称
所有者名 久遠寺
管理団体・管理責任者名

解説文:
 釈迦の生涯は、そのなかの八つの重要なできごとを中心として把えられることから、その一生を順次描いた絵画作品は、釈迦八相図の呼称で古くから呼ばれている。
 本図は、釈迦八相図の一部をなす三幅で、第一幅には王子時代の試芸、遊楽、そして出家を、第二幅には悟りを開いた後の四天王の捧鉢、初転法輪、祗園精舎の起こり等を、第三幅には、頻毘沙羅【ビンビサーラ】王の帰依、〓利天【とうりてん】に昇った釈迦が再び地上へ戻る場面等を描いている。
 他の釈迦八相図の作例の構成から推測すると、この三幅の他に、托胎、誕生、苦行、降魔【ごうま】、涅槃の場面をそれぞれ中心とする画幅があったことが考えられるが、そのなかで、すでに重要文化財に指定されている根津美術館蔵の釈迦八相図一幅が、この久遠寺本三幅と一具のものであるとする見解が早くから出されてきた。根津美術館本は、釈迦の苦行を中心として落飾から尼連禅【ナイランジヤナ】河での沐浴に至る場面を描いた一幅で、寸法がこの久遠寺本三幅とほぼ等しく、また説話内容の構成上、久遠寺本第一幅のあとに過不足なく続く。さらに、両者は人物や建築物の描写形態、樹木や岩の表現法、筆致や裏彩色を多用する技法などに共通する点が多く、画絹も同じものとみられる。保存状態に違いはあるが、従来指摘されてきたとおり、両者は一具であったものと考えられよう。
 この久遠寺本三幅は、基本的にはやまと絵の画風によって、破綻のない構図のなかで、細部にいたるまで正確な筆遣いでそれぞれの場面が描き出されており、優れた画技をみることができる。岩や樹木などの描法は、鎌倉時代後期のやまと絵の作品にみられるものであるが、本図にはなお柔軟な描写がみられ、制作期は十三世紀後半頃に置かれるであろう。
 釈迦八相図は、平安時代から多数制作されていたことが文献史料によってわかるが、現存するものは、八相涅槃図を除けば、鎌倉時代以降の作品数点が知られるに過ぎない。本図はこの数少ない釈迦八相図のなかで制作のすぐれた一例として重要な作品であり、また保存状態がよく、当初の鮮やかな彩色をよく留めている点も貴重である。
関連情報
    (情報の有無)
  附指定 なし
  一つ書 なし
  添付ファイル なし