国宝・重要文化財(美術工芸品)
 主情報
名称 紙本著色山王霊験記
ふりがな
解説表示▶
員数 1巻
種別 絵画
日本
時代 室町
年代
西暦
作者
寸法・重量
品質・形状
ト書
画賛・奥書・銘文等
伝来・その他参考となるべき事項
指定番号(登録番号) 01927
枝番 00
国宝・重文区分 重要文化財
重文指定年月日 1994.06.28(平成6.06.28)
国宝指定年月日
追加年月日
所在都道府県 京都府
所在地
保管施設の名称
所有者名
管理団体・管理責任者名

解説文:
 山王霊験記は、最終段が、正和三年(一三一四)の西園寺公衡の願文で終わっていることから、鎌倉時代末期に成立したものと考えられている。十五巻からなる原本はすでに失われて現存しないが、本巻のほかに、延暦寺本(旧生源寺本 巻第十四)、和泉市久保惣記念美術館本(旧蓮華寺本 巻第三、第十四)、穎川美術館本(旧井上家本 巻第五)の四巻の室町時代の作品が最古写本として知られ、いずれも重要文化財に指定されている。本巻は巻第十二に相当するものである。
 現状は錯簡がはなはだしいが、本来の第一段の詞の冒頭の一部と、第二段の詞の末尾三字を欠くほかは、巻第十二の詞六段、絵六段全部が残されている点は貴重である。
 本図の伝来は明らかではないが、山王霊験記は比叡山との縁がふかく、本図の詞とほとんど一致する詞のみの妙法院本『山王絵詞』は、寛正六年(一四六五)まで比叡山に伝来していた源運本絵巻を原本にしたという。ただし、源運本は料紙に美麗な装飾を施していたといい、料紙に装飾のない本図とは異なるものである。『山科言継卿記』の天文十九年(一五五〇)の記事には比叡山の月蔵坊に十五巻の「山王縁起」があったとあるが、これと現存本との関係はあきらかではない。本巻の箱蓋裏には江戸時代の延宝五年(一六七七)十月の長円なる僧による墨書があり、先年まで数巻あったものが散乱し、残紙を取り集めて修理した旨が記されている。長円についてはあきらかでないが、以上のようなことからみて、比叡山の僧である可能性が高い。
 絵は段によって画風を異にするところがあり、すべて同一ではないが、宋から経典がもたらされる場面を描く第四段などは描写も緻密で風俗もよく描かれており、室町時代中期のやまと絵の典型を示す作品として注目されよう。
関連情報
    (情報の有無)
  附指定 なし
  一つ書 なし
  添付ファイル なし