国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要有形民俗文化財
主情報
名称
:
内子及び周辺地域の製蝋用具
ふりがな
:
うちこおよびしゅうへんちいきのせいろうようぐ
内子及び周辺地域の製蝋用具
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員数
:
1,444点
種別
:
生産、生業に用いられるもの
年代
:
その他参考となるべき事項
:
内訳:材料採集・運搬用具61点 蝋搾り用具169点 蝋晒し用具430点 白蝋づくり用具79点 蝋燭づくり用具39点 製品46点 交易用具73点 仕事着84点 飲食用具82点 家具・調度61点 信仰・儀礼用具115点 その他205点
指定番号
:
00190
指定年月日
:
1991.04.19(平成3.04.19)
追加年月日
:
指定基準1
:
(二)生産、生業に用いられるもの 例えば、農具、漁猟具、工匠用具、紡織用具、作業場等
指定基準2
:
(三)地域的特色を示すもの
指定基準3
:
(六)職能の様相を示すもの
所在都道府県
:
愛媛県
所在地
:
喜多郡内子町内子2696
保管施設の名称
:
木蝋資料館上芳我邸
所有者名
:
内子町
管理団体・管理責任者名
:
内子及び周辺地域の製蝋用具
解説文:
詳細解説
伊予は、庄内・仙台・会津の漆蝋、松江・安芸・薩摩の櫨蝋と並び、全国的に著名な蝋産地の一つであった。中でも内子とその周辺地域は、櫨の木の成育に適した自然条件にめぐまれ、蝋晒し法の創意工夫なども相まって、中心的産地として明治30年代から大正初期には全盛時代を迎えた。
この資料は、内子町が町内を中心に、その周辺地域も含めて、製蝋に関する用具類を広く収集したものである。製蝋用具は蝋搾り用具、蝋晒し用具、白蝋づくり用具と大別され、さらに関係資料として材料採集・運搬用具、蝋燭づくり用具、製品、交易用具、仕事着、飲食用具、家具・調度、信仰・儀礼用具なども含んでいる。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
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内子及び周辺地域の製蝋用具
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解説文
伊予は、庄内・仙台・会津の漆蝋、松江・安芸・薩摩の櫨蝋と並び、全国的に著名な蝋産地の一つであった。中でも内子とその周辺地域は、櫨の木の成育に適した自然条件にめぐまれ、蝋晒し法の創意工夫なども相まって、中心的産地として明治30年代から大正初期には全盛時代を迎えた。 この資料は、内子町が町内を中心に、その周辺地域も含めて、製蝋に関する用具類を広く収集したものである。製蝋用具は蝋搾り用具、蝋晒し用具、白蝋づくり用具と大別され、さらに関係資料として材料採集・運搬用具、蝋燭づくり用具、製品、交易用具、仕事着、飲食用具、家具・調度、信仰・儀礼用具なども含んでいる。
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詳細解説
『農家益』(大蔵永常著、享和2年〈1802〉)、『積塵邦語』(佐々木源三兵衛著、文政4年〈1821〉)に見えるように、伊予の蝋は、庄内・仙台・会津の漆蝋、松江・安芸・薩摩の櫨蝋と並んで、全国的に著名な蝋産地の一つとして世に知られていた。中でもその中心地は小田川(肱川の支流)沿いに開ける内子とその周辺地域で、櫨の木の成育に適した自然条件にめぐまれ、蝋晒し法の創意工夫などと相まって、明治30年代から大正初期には全盛時代を迎えた。その後は電灯の普及に伴う生活様式の変化やパラフィン蝋(洋蝋)の輸入による需要の激減などにより、昭和初期頃を境にこの地域の製蝋産業は幕を閉じた。 この資料は、内子町が約30年間の歳月を費やし、内子町内を中心に、その周辺の一市六町一村内から広く収集したものである。それらは、かつて手広く蝋晒し業を営んだ本芳我家・上芳我家(家屋はいずれも内子町大字内子に所在し、平成2年9月11日重要文化財指定)に伝わるものを中心に、その他の用具が補われて構成されている。 この資料は、製蝋用具として蝋搾り用具、蝋晒し用具、白蝋づくり用具と工程順に大別するとともに、関係資料として材料採集・運搬用具、蝋燭づくり用具、製品、交易用具を配し、製蝋に携わる人々の生活を知る上で不可欠な仕事着、飲食用具、家具・調度及び信仰・儀礼用具なども含めて整理されている。それらが一体となって製蝋をめぐる民俗の特色を物語る内容となっている。 この製蝋用具の中には、注目すべきものが数多く含まれている。例えば、蝋搾り用具では、オオヌキ(大貫。締め木)・スラシギ(詰め木。スラシともいう)・ヤ(木楔)・ツナ(綱)・シュモク(撞木)・テツナベ(鉄鍋)など立木式搾り締めの用具一式が完全に収集されており、広く西日本を見渡しても類例をみない。 また、蝋晒し用具では、早晒し法から蝋花箱晒し法へと改良された経緯を踏まえて、それぞれの晒し方に応じた用具が収められている。蝋花箱晒し法は内子で開発された方法である。それを裏付けるロウガマ(蝋釜)、サバキオケ(捌き桶)などの蝋花づくり用具、四隅に工夫を凝らしたロウブタ(蝋蓋)や晒し場に設けられた蝋棚用のミズウチオケ(水打ち桶)・ミズウチハケ(水打ち刷毛)・ロウバシ(蝋箸。蝋返し川)などの箱晒し用具などは、蝋花の溶解を防ぎつつも、天日晒しの効果を高め、いかに均質なものを能率よく量産したかの証となる。蝋晒し用具は、質量ともに充実している。 さらに、白蝋づくり用具は、中煮の蝋花を晒すのに用いられたもので、上質の蝋をつくる努力の跡を物語る。 関係の材料採集・運搬用具に収められているハゼトリカギ(櫨採り鉤)は、小枝を絞り末端の実まで採ろうと考案されたもので、大変珍しい。 交易用具では、商品としての生蝋・白蝋の卸し売りや荷づくり用のものなどを、蝋燭づくり用具では、手作りの工程を示すものを各々収めている。 仕事着・飲食用具では、職能に応じ、作業の現場で用いられたものを集めており、蝋採りや蝋晒しに携わる者のハラアテ(腹当て)や蝋燭づくり職人のヒザカケ(膝掛け)などが注目される。 家具・調度では、上芳我家のものを中心にまとめ、卸し売り業者としての繁盛振りがうかがえるものとなっている。 信仰儀礼用具では、ハゼノキ(櫨の木)祭り・タチキ(立木)祭りなどに用いられたものを収めている。その他、櫨蝋の卸し売り業者の関係文書の含まれていることも見過ごせない。 この資料は、内子及び周辺地域の製蝋に関する一括資料として貴重であるにとどまらず、西日本における櫨蝋生産資料の典型的なものとしても重要である。またそれは、東日本の漆蝋との比較資料としても有益である。