国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要有形民俗文化財
主情報
名称
:
津軽海峡及び周辺地域のムダマハギ型漁船コレクション
ふりがな
:
つがるかいきょうおよびしゅうへんちいきのむだまはぎがたぎょせんこれくしょん
津軽海峡及び周辺地域のムダマハギ型漁船コレクション
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員数
:
67隻
種別
:
交通・運輸・通信に用いられるもの
年代
:
その他参考となるべき事項
:
内訳:丸木舟2隻、ムダマハギ型漁船43隻、四枚接ぎ型漁船22隻
※ムダマハギ型漁船を製作する技術は、平成18年3月15日に「津軽海峡及び周辺地域における和船製作技術」として重要無形民俗文化財に指定されている。
指定番号
:
00202
指定年月日
:
1997.12.15(平成9.12.15)
追加年月日
:
指定基準1
:
(三)交通、運輸、通信に用いられるもの 例えば、運搬具、舟車、飛脚用具、関所等
指定基準2
:
(三)地域的特色を示すもの
指定基準3
:
所在都道府県
:
青森県
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
青森市
管理団体・管理責任者名
:
津軽海峡及び周辺地域のムダマハギ型漁船コレクション
解説文:
詳細解説
津軽海峡を中心に秋田県北部、岩手県北部から青森県・北海道一円にかけての地域には、かつては、ムダマハギと呼ばれる形式の木造漁船が分布し、漁船の名称・構造・使用方法などに多くの共通点がみられた。
ムダマハギとは、船底に刳り抜き材を2枚使用し、平らな船底にタナイタをつけ、アバラと呼ぶ補強材をつけた独特の構造の船である。
ムダマハギ型の漁船は、主にアワビやウニの採取、昆布やワカメなど海藻類の採取、カレイなどを対象とする刺網漁や釣漁などの、この地方で磯まわり漁と呼ばれる漁撈に、丈夫な船として用いられてきた。
このコレクションは、みちのく銀行が建設したみちのく北方漁船博物館が所有する木造漁船など110隻余のなかから、ムダマハギ技法により製作された漁船とその先行形態である丸木舟、およびムダマハギ型漁船を継承し、船形等にその影響を色濃く残す、四枚接ぎ(シマイハギ)と呼ばれる構造船をとりまとめたものである。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
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津軽海峡及び周辺地域のムダマハギ型漁船コレクション
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解説文
津軽海峡を中心に秋田県北部、岩手県北部から青森県・北海道一円にかけての地域には、かつては、ムダマハギと呼ばれる形式の木造漁船が分布し、漁船の名称・構造・使用方法などに多くの共通点がみられた。 ムダマハギとは、船底に刳り抜き材を2枚使用し、平らな船底にタナイタをつけ、アバラと呼ぶ補強材をつけた独特の構造の船である。 ムダマハギ型の漁船は、主にアワビやウニの採取、昆布やワカメなど海藻類の採取、カレイなどを対象とする刺網漁や釣漁などの、この地方で磯まわり漁と呼ばれる漁撈に、丈夫な船として用いられてきた。 このコレクションは、みちのく銀行が建設したみちのく北方漁船博物館が所有する木造漁船など110隻余のなかから、ムダマハギ技法により製作された漁船とその先行形態である丸木舟、およびムダマハギ型漁船を継承し、船形等にその影響を色濃く残す、四枚接ぎ(シマイハギ)と呼ばれる構造船をとりまとめたものである。
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詳細解説
津軽海峡を中心とした、秋田県北部、岩手県北部から青森県・北海道一円にかけての地域には、かつては、ムダマハギと呼ばれる形式の木造漁船が広く分布し、漁船の名称・構造・使用方法などに多くの共通点がみられた。 この地域にはその数は少なくなったものの、現在も各地にムダマハギ型漁船やその痕跡を残す木造漁船が使用されている。 ムダマハギとは、船底にカツラやブナ・ヒバ・スギなどの刳り抜き材を2枚使用し、平らな船底にタナイタ(カイグともいう)をつけ、アバラと呼ぶ補強材をつけた独特の構造をもつ船である。この形式は、オモキ造りと呼ばれる造船技術に連なるもので、秋田県下では能代市付近を境に南にはオモキ造り、北にはムダマハギ造りの漁船が分布している。 また、北海道一帯にかつて広く分布していたムダマハギ型漁船は、ニシン漁の関係で北に広がっていったものであるが、津軽海峡に面した渡島半島南部地域を除いてほとんどが消滅しており、現在は礼文島・利尻島以外の地域にはみられなくなっている。 この地域のムダマハギ型漁船は、主にアワビやウニの採取、昆布やワカメなど海藻類の採取、カレイなどを対象とする刺網漁や釣漁などの、この地方で磯まわり漁と呼ばれる漁撈に用いられてきた。 本コレクションは、みちのく銀行が合併20周年を記念して建設したみちのく北方漁船博物館が所有する木造漁船など110隻余のなかから、ムダマハギ造りによる漁船とその先行形態である丸木舟、およびムダマハギ型漁船を継承し、船形等にその影響を色濃く残す、四枚接ぎ(シマイハギ)と呼ばれる構造船を選んでとりまとめたものである。 この地域のムダマハギ型漁船に共通してみられることは、 ○ムダマ・タナイタ・アバラを基本的構造とすること ○操船のためにクルマガイを用いること ○ムダマの材料は、カツラ材を最良とするが数が少なく、ブ ナは重く腐りやすい欠点が指摘されるものの入手しやすい ために広く使用されており、ほかにクリ・トチ・スギ・ヒ バなどが用いられていること ○ムダマは、昔は一枚ものを基本にしたと考えられるが、材 料の制約から二~三の部材を接ぎ合わせることが多く、そ の方法には「チョウアワセ」という二枚の材料を合わせる 方式、チョウアワセの中にさらに一枚加えて三枚とする 「ナカチョウ」の方式、船底の両端の角の立ち上がりの部 分に補助材を接合する「コスギ・ツケギ」の方式などがみ られること ○ムダマの接ぎ合わせには、古くは、接着剤として漆が用い られること ○ムダマの継ぎ合わせ技法としては、古くは接合部に彫り込 みをいれ、ここに「タタラ」という板を差し込んで接ぎ目 から割れるのを防ぎ、「リュウゴ」と呼ぶ鼓型の楔(チキ リとも呼ぶ)で材が離れないように固定する方法が用いら れたこと ○ムダマとタナイタの接合は縫い釘によって行うこと などがあげられる。なお、ムダマの接ぎ合わせにタタラとリュウゴを併用する方法は、現在では秋田県に残るものの、青森県下では早くから鉄釘の普及が進み、鉄の「落し釘」と「鉄鎹【てつかすがい】」の併用ないしは「落し釘」のみで接合する方法に変化している。 こうした操船の方法や構造上の共通性を念頭において、さらに細部の構造や外形上の特色に着目すると、今回の収集地域は概ね以下の地域に分けることができる。 ○秋田県北部・青森県西海岸地方 この地方のマルキと呼ばれる船は、ムダマの接合にタタラとリュウゴを使用し、舳先が幅広に作られており、丸木舟の形態を色濃く残している。舳先の尖った形態のムダマハギ型の漁船はマルキが変化したもので、ホッツと呼ばれており、ホッツにはさらに四枚接ぎの技法で作られたものがある。この地域のムダマはスギが用いられるのが特徴である。 ○青森県 この地方では、早い時期にムダマから四枚接ぎの技法を取り入れたイソブネに変化したが、技法的には四枚接ぎに属するもののシキとシタダナは平底に接合されており、シキの部分にムダマハギの名残となる彫り込みを残し、これをムダマとも呼んでいることから、完全な四枚接ぎの構造船に移行する過渡的段階の船形といえる。また、この地方で使用される推進具は、クルマガイとともに、櫓・サッカイ・ネリガイも併用している点に特徴がある。 この資料は、丸木舟に続く我が国の造船技術の段階をよく示すものであり、また伝統的なムダマハギ技法の地域的展開と変遷過程をよく示しているものでもある。我が国の木造船の発達過程を理解する上で重要なものである。