国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
重要有形民俗文化財
主情報
名称
:
南部七戸小田子不動堂奉納絵馬
ふりがな
:
なんぶしちのへこだっこふどうどうほうのうえま
南部七戸小田子不動堂奉納絵馬
写真一覧▶
地図表示▶
解説表示▶
員数
:
108点
種別
:
信仰に用いられるもの
年代
:
その他参考となるべき事項
:
内訳:絵馬108点
指定番号
:
00184
指定年月日
:
1990.03.29(平成2.03.29)
追加年月日
:
指定基準1
:
(六)信仰に用いられるもの 例えば、祭祀(し)具、法会具、奉納物、偶像類、呪(じゆ)術用具、社祠(し)等
指定基準2
:
(二)時代的特色を示すもの
指定基準3
:
(三)地域的特色を示すもの
所在都道府県
:
青森県
所在地
:
上北郡七戸町字荒熊内67-94
保管施設の名称
:
七戸町立鷹山宇一記念美術館
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
七戸町
南部七戸小田子不動堂奉納絵馬
解説文:
詳細解説
我が国には、古くから、大絵馬・小絵馬などを有名社寺や身近の社寺に奉納し、神仏の加護にすがって、生業の繁昌や人生の無事息災などを全うしようとする習俗が全国的に見られる。
南部七戸小田子不動堂は、七戸町中心部近くに位置する。南部政光により見町観音堂と同時代頃に創建されたと信じられており、縁日である正月3日は、参詣者で賑わいをみせたという。
この不動堂に奉納された、現存する絵馬は108点である。そのうち、紀年銘の確認できる絵馬が91点あり、大部分が17世紀中葉から19世紀中葉までの江戸時代に奉納されたものであることがわかる。図柄は馬を描いたものが多く、馬を左向きに見返り風に描いた、いわゆる「藤右衛門の小絵馬」として知られる一定形式の小絵馬が多い。奉納者は、七戸に集中し、所給人が8割以上を占める。奉納には、縁日の正月3日に因む月日が記されたものが多い。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
南部七戸小田子不動堂奉納絵馬
参考:不動堂
写真一覧
南部七戸小田子不動堂奉納絵馬
写真一覧
参考:不動堂
Loading
Zeom Level
Zoom Mode
解説文
我が国には、古くから、大絵馬・小絵馬などを有名社寺や身近の社寺に奉納し、神仏の加護にすがって、生業の繁昌や人生の無事息災などを全うしようとする習俗が全国的に見られる。 南部七戸小田子不動堂は、七戸町中心部近くに位置する。南部政光により見町観音堂と同時代頃に創建されたと信じられており、縁日である正月3日は、参詣者で賑わいをみせたという。 この不動堂に奉納された、現存する絵馬は108点である。そのうち、紀年銘の確認できる絵馬が91点あり、大部分が17世紀中葉から19世紀中葉までの江戸時代に奉納されたものであることがわかる。図柄は馬を描いたものが多く、馬を左向きに見返り風に描いた、いわゆる「藤右衛門の小絵馬」として知られる一定形式の小絵馬が多い。奉納者は、七戸に集中し、所給人が8割以上を占める。奉納には、縁日の正月3日に因む月日が記されたものが多い。
詳細解説▶
詳細解説
我が国には、古くから、大絵馬・小絵馬などを有名社寺や身近の社寺に奉納し、神仏の加護にすがって、生業の繁昌や人生の無事息災などを全うしようとする習俗が全国的に見られる。この習俗は現在も継承されており、社寺に参拝して絵馬を買い、思い思いの祈願をこめて奉納することが行われている。 絵馬奉納の対象ともなってきた南部七戸小田子不動堂は、七戸町中心部近くに位置する。南部政光により見町観音堂と同時代ごろに創建されたものと信じられている。本尊は運慶作の不動明王像と伝えられている。明治初期頃までは、この不動明王の取子【とりこ】にして身体の弱い幼児を育てる習俗があった。その縁日である正月3日は、参詣の人々によって賑わいをみせたという。 この不動堂に奉納された現存する絵馬は、108点である。そのうち、紀年銘の確認できる絵馬が91点ある。その大部分が17世紀中葉から19世紀中葉までの江戸時代に奉納されたものであることが確認できる。絵馬の図柄は馬を描いたものが最も多く、92点ある。粗略な板の上に墨、胡粉、丹、朱、黄土、白緑、群青などを用いて描かれている。馬は、単色で黒馬か赤馬を彩ったものの点数が多く、白馬や白黒馬のものは比較的少ない。構図は、馬を左向きに見返り風に描き、山形の板の左右両端に縦線を引いて柱に見立て、下方の一端に斜線を入れて床板を表わし、上方の隅の2本の斜線で梁を描くなど、いわゆる「藤右衛門の小絵馬」として知られるつなぎ馬・飾り馬など一定形式の小絵馬が多い。馬以外の図柄には、本尊である不動明王の持ち物を象徴する宝剣や、安産や幼児の健やかな成長を祈願する武者・鳩・鶏などを描いたものがある。奉納者は、現在の上北地方の政治・文化の中心地であった七戸に集中し、その内訳は、所給人が8割以上を占める。しかも、その奉納には、縁日の正月3日に因む月日が記されたものが多く、絵馬の裏面に「叶【かのう】」の一字が大書されているものが全体の約4割を占めている。 本資料は、南部七戸小田子不動堂をめぐる庶民信仰の実態と推移を理解する上で貴重であるばかりでなく、南部七戸見町観音堂に奉納された庶民信仰資料とも相まって良馬の産地として古くから著名だった南部地方における江戸時代の絵馬奉納の特色をよく示している。また量・質ともに優れており、東北地方の奉納絵馬の代表的なものとして重要である。