国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要無形民俗文化財
主情報
名称
:
東湖八坂神社のトウニン(統人)行事
ふりがな
:
とうこやさかじんじゃのとうにんぎょうじ
東湖八坂神社のトウニン(統人)行事
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
祭礼(信仰)
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年1月6日、3月24・25日、6月20・24~28日、7月1~8日、12月7日、毎月1日の朝参り(※指定当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などへご確認ください)
指定証書番号
:
1
指定年月日
:
1986.01.14(昭和61.01.14)
追加年月日
:
指定基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
指定基準2
:
指定基準3
:
所在都道府県、地域
:
秋田県
所在地
:
保護団体名
:
東湖八坂神社崇敬会
船越町内連合会
東湖八坂神社のトウニン(統人)行事
解説文:
詳細解説
東湖八坂神社のトウニン(統人)行事は、八郎潟に近い旧南秋田郡天王町天王に鎮座する東湖八坂神社で行われる、トウニンと称する制度を背景とした行事である。トウニン制は、イチバントウとニバントウから構成され、協力して行事を行う。トウニンは、毎月1日の朝参りのほか、年末(12月7日)・年始(1月6日)の夜籠りなど各種の行事を行う。7月7日の本祭りでは、神輿の渡御に合わせてでる牛乗りやチョマンに付き従う。牛乗りは、昏睡状態となっており、チョマンはチョマイ(蝶舞)を演ずる。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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東湖八坂神社のトウニン(統人)行事
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東湖八坂神社のトウニン(統人)行事
解説文
東湖八坂神社のトウニン(統人)行事は、八郎潟に近い旧南秋田郡天王町天王に鎮座する東湖八坂神社で行われる、トウニンと称する制度を背景とした行事である。トウニン制は、イチバントウとニバントウから構成され、協力して行事を行う。トウニンは、毎月1日の朝参りのほか、年末(12月7日)・年始(1月6日)の夜籠りなど各種の行事を行う。7月7日の本祭りでは、神輿の渡御に合わせてでる牛乗りやチョマンに付き従う。牛乗りは、昏睡状態となっており、チョマンはチョマイ(蝶舞)を演ずる。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
東湖八坂神社のトウニン(統人)行事は、八郎潟に近い旧南秋田郡天王町天王に鎮座する東湖八坂神社で行われる、トウニンと称する制度を背景とした行事である。 トウニン(統人。頭屋を意味する)制は、天王町と船越のそれぞれにみられる。トウニンは、イチバントウ(一番統)とニバントウ(二番統)から構成されており、協力して行事が行われる。また、その構成は、イチバントウ・ニバントウともトウニン1人、警護役3人の計4人からなる。 天王町では、イチバントウには天王(本郷)の者が就き、主として供物の諸準備や行事の執行などに釆配をふるい、ニバントウには天王の近辺6地区の者が就き、お竹迎え(7月6日)や牛引き迎えの役割などを担当する。 船越では、イチバントウが主役を、ニバントウがその補佐役を務める。 現在では、それぞれの地区でのトウニン制は1年交代制で、お竹納め(頭渡し)は7月8日に行われる。行事は、これらのトウニンを中心に役割分担による準備が慣例であり、毎月1日の朝参り、年末(12月7日)・年始(1月6日)の夜籠り行事のほか、年間を通じて特色ある行事が展開される。 特に注目されるのは、神社に供物として奉納される味噌に関わる味噌煮、味噌埋め、味噌あげの行事、そしてヒエモノ(豆もやし、そばもやし)に関わるもやし蒔き行事、供物を安置するサカベヤ建ての行事、供物に添える箸を調える箸削りの行事、供物をのせる木の葉を調える柏迎えの行事などである。 7月になると朝参りが祭りの当日まで連日行われる。味噌埋めには聖なる場所があてられ、ヒエモノ作り小屋、サカベヤはガツギ(真菰)で囲われ、決まりの者以外の出入りは固く禁じられている。朝参りには、神前への供物(神酒・むし米・味噌・身がきにしん・そばもやし・大豆もやし・みず)がツリオケと呼ばれる曲物の容器に入れられ、正装のトウニンによって奉納される。 7月7日の本祭り当日は、両地区から神輿が渡御して途中で合流する。これに従う形で、天王町からは牛乗りが、船越からはチョマン(蝶舞を演じる者)が登場する。 牛乗りは、サカベヤに籠って昏睡状態となり、決まりの牛引き役及び統人達に助けられ湖岸へ出発し、馬場目川(船越水道)に浮かぶ船上でチョマンがチョマイ(蝶舞)を演ずる頃合いを計って矢を放った。現在は矢を放つ部分はない。チョマンは、船にしつらえられた部屋の前後に2本のジャバシラ(角柱)を固定させ、これに張り渡した大綱にまたがりチョマンケリ(トンボ返り)を3度演ずる。牛乗りは、祭神の素戔嗚尊を、チョマンは、櫛稲田姫を意味するとの伝承がある。 この行事は、鈴木重孝『絹篩』や菅江真澄『おがのあきかぜ』(19世紀)にも記述されており、祭神にまつわる「八岐の大蛇退治」の故事と八郎潟渕の農漁民の間に伝わる水神信仰とが習合しており、お竹迎えに象徴される厳格なトウニン制を継承しながら、神饌をめぐる儀礼内容にも特色があり、神懸りや年占の名残りもよくとどめるものであり重要である。 (※解説は指定当時のものをもとにしています)