選定保存技術
 主情報
名称 金唐紙製作
ふりがな きんからかみせいさく
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種別(有形、無形、有形・無形) 有形
その他参考となるべき事項
認定区分 個人
選定年月日 2005.08.30(平成17.08.30)
選定基準1
選定基準2
選定基準3

解説文:
 金唐紙は、明治時代から昭和中期に流行し、主に洋風建築で使用された壁紙の一種で、金唐革紙【かわかみ】、擬製【ぎせい】金革紙、擬革紙【ぎかわし】などと呼ばれた。元来は、当時ヨーロッパから日本にもたらされて調度品や武具などの装飾材として珍重されていた金革紙を模して開発された装飾和紙である。近世ヨーロッパにおいては、皮革を型付けして塗装した金唐革を、壁装材や椅子張りとして使用していた。
 金唐紙は、紋様の陰刻された円筒状の版木に和紙を密着させ、刷毛で丁寧に叩いて表面に紋様を浮き出させ、彩色して仕上げるものである。その際、和紙の表面に錫箔【すずはく】を押した上でワニスを塗ると、金色に輝き華麗な仕上がりとなる。金唐紙製作にあたっては、和紙を傷めぬようにしながら、立体的かつ繊細な紋様を加減よく叩き出し、発色よく丁寧に彩色せねばならず、高度な熟練を要する。
 金唐紙は明治時代の洋風建築の流行に伴い全国に普及し、同時にヨーロッパでも高い評価を受け、大正時代にかけて輸出量も増加した。しかしその後は、印刷された洋紙壁紙の普及により金唐紙は退潮し、一般建築から姿を消した。
 重要文化財建築物においては、近代洋風建築の壁や天井、和風建築の襖紙などに金唐紙が使用されているが、一般建築でこれを使用する機会がないことから、その製作技術を有する技能者がわずかとなっている。
関連情報
    (情報の有無)
  保持者情報(保持者/芸名・雅号)
  保持団体(関係技芸者の団体) なし
  添付ファイル なし