国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
静岡県中部地方の神楽
ふりがな
:
しずおかちゅうぶちほうのかぐら
解説表示▶
種別1
:
民俗芸能
種別2
:
神楽
その他参考となるべき事項
:
公開日:各地区の神社祭礼(選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
選択番号
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選択年月日
:
2014.03.10(平成26.03.10)
追加年月日
:
選択基準1
:
(二)芸能の変遷の過程を示すもの
選択基準2
:
(三)地域的特色を示すもの
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
静岡県
所在地
:
保護団体名
:
特定せず
解説文:
詳細解説
静岡県中部地方の神楽は、安倍川、瀬戸川、大井川流域の山間部において、かつては50か所以上、現在では約30か所で行われているとされ、各地区の神社祭礼で演じられている。いずれも神社の拝殿や公民館などに設けた約2間4方を舞処【まいど】とし、その天井には飾りを施すところが多い。
神楽の構成は「神迎え」「奉納舞」「神返し」の流れをとっている。演目は幣束や扇、鈴、弓矢、太刀、5色の切り紙が入った筒などを手にしての直面【ひためん】の採物舞【とりものまい】と仮面を着けての舞に分けられる。多くは1人から5人ほどの舞手による採物舞で、舞処の4辺あるいは4隅と中央に向かって同じ所作を繰り返してゆく。採物舞の間には「大助【おおすけ】の舞」や「恵比寿の舞」などの仮面の舞が演じられていく。
採物舞は、導入部にあたる「おろし」、5方を意識した舞が展開する「大拍子【だいびょうし】」、テンポが速くなり複雑な所作を組み合わせつつ5方に舞う「くずし」、最後に再び「おろし」で納める構成を基本としている。
伴奏楽器は鋲留【びょうどめ】太鼓と笛である。
このような共通する要素に加え、舞処近くの外庭に湯釜を設けての湯立、星型
に敷いた晒木綿【さらしもめん】の上を踏み歩く「ヘンバイ」、「ミサキ舞」「ミサキ狩り神事」などの特色ある次第を伝える地区もある。
本件は、静岡県中部を流れる安倍川、瀬戸川、大井川流域の山間部に伝承されてきた神楽であり、神楽全体の構成や演目、演目ごとの構成や所作【しょさ】、音楽などに共通する特色を持つものである。これらの神楽の実態把握と周辺の諸神楽との比較検討は、広く神楽の伝播【でんぱ】や芸能の変遷の過程を考える上で重要である。
(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
解説文
静岡県中部地方の神楽は、安倍川、瀬戸川、大井川流域の山間部において、かつては50か所以上、現在では約30か所で行われているとされ、各地区の神社祭礼で演じられている。いずれも神社の拝殿や公民館などに設けた約2間4方を舞処【まいど】とし、その天井には飾りを施すところが多い。 神楽の構成は「神迎え」「奉納舞」「神返し」の流れをとっている。演目は幣束や扇、鈴、弓矢、太刀、5色の切り紙が入った筒などを手にしての直面【ひためん】の採物舞【とりものまい】と仮面を着けての舞に分けられる。多くは1人から5人ほどの舞手による採物舞で、舞処の4辺あるいは4隅と中央に向かって同じ所作を繰り返してゆく。採物舞の間には「大助【おおすけ】の舞」や「恵比寿の舞」などの仮面の舞が演じられていく。 採物舞は、導入部にあたる「おろし」、5方を意識した舞が展開する「大拍子【だいびょうし】」、テンポが速くなり複雑な所作を組み合わせつつ5方に舞う「くずし」、最後に再び「おろし」で納める構成を基本としている。 伴奏楽器は鋲留【びょうどめ】太鼓と笛である。 このような共通する要素に加え、舞処近くの外庭に湯釜を設けての湯立、星型 に敷いた晒木綿【さらしもめん】の上を踏み歩く「ヘンバイ」、「ミサキ舞」「ミサキ狩り神事」などの特色ある次第を伝える地区もある。 本件は、静岡県中部を流れる安倍川、瀬戸川、大井川流域の山間部に伝承されてきた神楽であり、神楽全体の構成や演目、演目ごとの構成や所作【しょさ】、音楽などに共通する特色を持つものである。これらの神楽の実態把握と周辺の諸神楽との比較検討は、広く神楽の伝播【でんぱ】や芸能の変遷の過程を考える上で重要である。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
静岡県中部地方の神楽は、静岡県中部を流れる安倍川、瀬戸川、大井川流域の山間部に伝承されてきた神楽である。これらは神楽全体の構成や演目、演目ごとの構成や所作、音楽などに共通する特色を持っている。かつては50箇所以上、現在では静岡市、藤枝市、島田市、川根本町の約30箇所で行われているとされ、各地区の神社祭礼で演じられている。 この地方の神楽に関しては、静岡市葵区井川の大井神社の棟札に、元和3(1617)年、神社再興にともなって神楽を奉納した旨、記されているのが古い。また、同区八草に伝存したとされる寛永12(1635)年の「藁科於四ヶ郷ノ内神楽役之作法」には、神楽役の作法として「神迎え」「座なおり」「鈴の舞」「湯花」「へんばい」などとあり、17世紀にはこの地方で神楽が行われていたことが確認できる。 静岡県中部地方の神楽は、演じる時期は地区により異なるが、各地区の神社祭礼で奉納されている。静岡市葵区清沢では、10月中旬から下旬にかけて、地区内の神社祭礼で順次神楽が奉納され、同区有東木(うとうぎ)では、鎮守の白鬚神社の春秋の祭礼で神楽が演じられている。いずれも神社の拝殿や公民館などに約二間四方の舞処を設けて演じられる。舞処の天井には飾りを施すところが多く、清沢では縦横九本ずつの注連縄(しめなわ)で64の升目を作り、注連縄に五色のシデを吊るし、さらに東西南北中央にそれぞれ色を違えた五色の紙を人形に切り抜いたヒイナを吊す。 神楽は舞手と楽人で構成され、楽器は鋲留太鼓と笛である。神楽の構成は「神迎え」「奉納舞」「神返し」の流れをとる。清沢では演じ手全員による神歌と順の舞から成る「神楽式(座揃え)」で神迎えとし、続いて奉納舞を演じ、「米の舞」「ヒイナ下ろし」「しめ切り」「大弓の舞」で神返しとする。全部で二四演目を伝えている。有東木では、「神迎いの読みうた」を歌い上げたのち、「神迎えの舞」と続け、最後は「神帰しの舞」を舞う。現在、16演目を伝えている。 演目は幣束や扇や鈴、弓矢、太刀、五色の切り紙が入った筒などを手にしての直面(ひためん)の採物舞と仮面を着けての舞に分けられる。多くは1人から5人の舞手による採物舞で、舞処の四辺あるいは四隅と中央に向かって同じ所作を繰り返す。採物舞の間には「大助(おおすけ)の舞」や「恵比寿の舞」などの仮面の舞が演じられる。地区により演目名はさまざまであるが、共通する内容の演目を多く伝えている。 それぞれの採物舞は、導入部にあたる「おろし」、五方を意識した舞が展開する「大拍子(だいびょうし)」、テンポが速くなり複雑な所作を組み合わせつつ五方に舞う「くずし」、最後に再び「おろし」で納める構成を基本とする。地区によって各部の呼称が異なったり、最後の「おろし」の後に「大拍子」の演奏を加えるところもあるが、基本構成は共通している。 このような共通する要素に加え、安倍川の支流である藁科川、瀬戸川、大井川流域では、舞処の近くの外庭に湯釜を設けて湯立を行うところがみられる。また、星型に敷いた晒木綿の上を踏み歩く「ヘンバイ」を伝える地区や、「ミサキ舞」「ミサキ狩り神事」を大祭の時に行うところもある。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)