国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
別所温泉の岳の幟行事
ふりがな
:
べっしょおんせんのたけののぼりぎょうじ
別所温泉の岳の幟行事
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
祭礼(信仰)
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年7月15日前後の日曜日(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
記録:『岳の幟の祭礼調査報告書』(上田市教育委員会・昭和57年3月)
映像:『別所温泉の岳の幟行事』(記録編・普及編)(企画文化庁・製作毎日映画社・平成29年3月)
選択番号
:
1
選択年月日
:
1997.12.04(平成9.12.04)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県
:
長野県
所在地
:
保護団体名
:
岳の幟保存会
別所温泉の岳の幟行事
解説文:
詳細解説
この行事は、夏の旱魃を契機に始まったと伝えられるもので、別所温泉の大湯・院内・上手・分去の4地区が1年交代で当番になって実施する。夜明け前に当番地区が、夫神岳に反物を持って登り、神社に雨乞いを祈願する。次いで竹竿の先に反物を結びつけた幟を担いで下山する。別所温泉に着くと、出迎えの獅子舞とささら踊りが踊られ、翌年の当番地区が幟を引き継ぐ。次いで幟の行列が町を練り歩き、途中、牛頭天王の神輿と合流して別所神社に向かう。別所神社に着くと、当番地区が幟を社殿横に立てかける。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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別所温泉の岳の幟行事
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別所温泉の岳の幟行事
解説文
この行事は、夏の旱魃を契機に始まったと伝えられるもので、別所温泉の大湯・院内・上手・分去の4地区が1年交代で当番になって実施する。夜明け前に当番地区が、夫神岳に反物を持って登り、神社に雨乞いを祈願する。次いで竹竿の先に反物を結びつけた幟を担いで下山する。別所温泉に着くと、出迎えの獅子舞とささら踊りが踊られ、翌年の当番地区が幟を引き継ぐ。次いで幟の行列が町を練り歩き、途中、牛頭天王の神輿と合流して別所神社に向かう。別所神社に着くと、当番地区が幟を社殿横に立てかける。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
別所温泉は、上田市西方の塩田平の西にそびえる夫神【おがみ】岳(標高1250㍍)東麓の温泉町である。塩田平は、雨量の少ない地方で、たびたび旱魃に苦しめられてきた。夫神岳の山頂には水神の九頭竜権現が祀られており、岳の幟という雨乞いの行事が行われる。 この行事は、別所温泉の大湯・院内・上手・分去の4地区が1年交代で当番になって実施している。 岳の幟行事は、永正元年(1504)の夏の旱魃を契機に始まったと伝えており、昔は旧暦6月15日に行われていたが、現在は7月15日に近い日曜日に実施されている。 前日に天王おろしといって、牛頭天王を別所神社から安楽寺入口の御旅所に遷座する。本来、岳の幟と祇園祭りは別の行事であったが、昭和9年に祭日の近い両者を同日に実施して、1つの行事として行うようになった。 当日の夜明け前、4地区のうち、当番地区の人びとが、夫神岳に反物を持って登り、夜明けに九頭竜権現社に御神酒とともに供えて、雨乞いの祈願をする。途中で葉のついた竹竿の先に反物を結びつけて幟を作り、1人1本の幟を担いで下山する。幟の数は数10本になる。幟には浴衣地や布団地などのさまざまな反物を用い、これで着物や布団を作ると、無病息災で暮らせるという。 午前8時頃、別所温泉の町入口に到着すると、石湯(共同浴場)近くで待ち受けた来年の当番地区の人たちが幟を引き継ぎ、出迎えの獅子舞とささら踊りが路上で踊られる。 獅子舞は、雄獅子2頭と雌1頭が登場する三匹獅子で、「道行き」「ふり込み」「まい込み」「まいの部」「かじり」「岡崎」「ほねなし」という7演目に分かれる。まい込みは田植獅子とも呼ばれ、かじりでは雄獅子2頭が雌獅子をめぐって争う所作をする。ほねなしだけは別所神社だけで踊る演目である。獅子はタッツケをはいて手甲をつけ、足袋にワラジを履く。腰に太鼓をつけて、両手にバチを持つ。囃子は笛と太鼓である。笛の人数はとくに決まりはないが、太鼓はシメ(締)2人に打ち手2人である。 ささら踊りでは、小学校高学年の少女30人ほどが、太鼓と笛の囃子とささら踊りの唄に合わせて踊る。「ご門の脇」の唄で輪になり、「まわれまわれまわれきて」でささらを摺りながら踊る。「羽をやすめろ」で膝をつきささらを頭上で回し、「パッとたちそろ」で立ち上がる。ささら踊りの踊り子と唄い手は、浴衣に浅黄色の襷を掛け、黄色い手甲と脚絆をつけ、背に幣をつけ、花笠を被る。ささらは摺りざさらで、柄に紙の房をつける。 獅子舞とささら踊りは本来は祇園祭りに演じられる芸能であった。 幟の行列は町中を練り歩き、共同浴場の大湯と相染閣の前で獅子舞とささら踊りを披露する。途中、御旅所に寄って、牛頭天王の神輿を先頭に別所神社に向かう。別所神社で当番地区の人たちに幟が引き渡され、社殿横に立てかけられる。ここで獅子舞とささら踊りが奉納されて、岳の幟行事は終了する。 この行事は、豊作を祈る地域社会の雨乞い行事として今なお行われており、疫病除けの祇園祭りと融合した地域的特色のある行事として貴重であることから、早急に記録を作成する必要がある。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)