記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
 主情報
名称 太田八坂神社のエンヤーホー
ふりがな おおたやさかじんじゃのえんやーほー
太田八坂神社のエンヤーホー
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種別1 民俗芸能
種別2 渡来芸・舞台芸
その他参考となるべき事項
選択番号 1
選択年月日 1999.12.03(平成11.12.03)
追加年月日
選択基準1
選択基準2
選択基準3
所在都道府県 千葉県
所在地
保護団体名 太田八坂神社氏子会
太田八坂神社のエンヤーホー
写真一覧
解説文:
 太田八坂神社のエンヤーホーは、七月二十六日・二十七日に行われる八坂神社の祭礼において、二十七日の夜に奉納される芸能である。エンヤーホーとは、無言劇とツクバシラ(つく柱)上で演じられる軽業の総称であり、軽業は無言劇の最終演目として演じられる。
 太田八坂神社のエンヤーホーの起源は定かではないが、その起源にまつわる伝承が残されている。それによると、軽業は、はじめ隣村の十日市場で行われていたが、ある年、大水が出たときにつく柱が川の流れに逆行して太田宿に流れ着き、それより以後、当地において、それが行われるようになったのだという。
 エンヤーホーは八坂神社の氏子によって受け継がれてきた。「祝頭【わどう】」を中心とする当番町によって一年を通じて祭礼の準備は進められる。祭礼は、みちきり行事である六月三十日のお注連縄おろしに始まるとされており、祭りの翌朝に、注連縄は外される。
 エンヤーホーは、八坂神社境内に二段組の二間四方の舞台を組み、かたわらに長さ九間のつく柱を立てて行われる。まず、「赤獅子」「青獅子」「かまきり」「おかめ」「ひょっとこ」等の張り子製の面をつけた演じ手が舞台上で無言劇を演ずる。
 軽業は無言劇の最後の一演目である。土地では、「つく柱から落ちたら生き埋め」といわれていたそうであり、演じ手は約一月間、精進の生活をするという。演じ手は、無言劇の赤獅子の面を被り、「昇【のぼ】り獅子【じし】」と称される。つく柱の上部から下がった縄二本のみで体を柱に固定し、逆さになって両手両足を広げたり、つく柱を揺らす所作を演ずる。また、柱上から五色の紙を撒き散らす。この紙は安産のお守りであるとか、地面に落ちる前に拾うと病気にならないといって、見物の人びとに拾われていく。最後は縄二本のみで体を支えて、両手を広げたまま、頭から滑り降りる。これら一連の軽業の姿は、室町から近世初頭に見世物として流行した「蜘蛛舞【くもまい】」という曲芸に近似しており、それらが祇園祭礼と結びついて伝承されたことをうかがわせる。
 以上のように太田八坂神社のエンヤーホーは、かつて流行した曲芸が地元の祭礼と結びついて伝承されてきた伝承であり、芸能の変遷の過程を知るうえで重要である。
関連情報
    (情報の有無)
  添付ファイル なし