国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
野見のシオバカリ
ふりがな
:
のみのしおばかり
野見のシオバカリ
写真一覧▶
解説表示▶
種別1
:
風俗慣習
種別2
:
年中行事
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年旧1月14日(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
選択番号
:
1
選択年月日
:
2003.02.20(平成15.02.20)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
高知県
所在地
:
保護団体名
:
野見潮はかり保存会
野見のシオバカリ
解説文:
詳細解説
この行事は、須崎市野見地区に伝承されている小正月の行事である。漁業に従事する青年たちが、木遣り唄に合わせて、五色の短冊などで飾られたシオバカリと呼ばれる大きな根付き竹で地区内を地搗きしてまわり、最後に深夜の干潮時にシオバカリを海中に立てて、1年の安全や大漁を祈願する。また、その際、シオバカリの傾き方で1年の豊凶も占う。シオバカリを海中に立てる時刻が深夜の干潮時であることから、ヨシオとも呼ばれる。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
野見のシオバカリ
野見のシオバカリ
写真一覧
野見のシオバカリ
写真一覧
野見のシオバカリ
解説文
この行事は、須崎市野見地区に伝承されている小正月の行事である。漁業に従事する青年たちが、木遣り唄に合わせて、五色の短冊などで飾られたシオバカリと呼ばれる大きな根付き竹で地区内を地搗きしてまわり、最後に深夜の干潮時にシオバカリを海中に立てて、1年の安全や大漁を祈願する。また、その際、シオバカリの傾き方で1年の豊凶も占う。シオバカリを海中に立てる時刻が深夜の干潮時であることから、ヨシオとも呼ばれる。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
野見のシオバカリは、高知県須崎市の野見地区に伝承されている小正月の行事で、漁業に従事する青年たちが、五色の短冊などで飾られたシオバカリと呼ばれる大きな根付き竹で地区内を地搗きして回り、最後にそれを海に立てて、1年の安全や大漁を祈願するとともに、その傾き方で1年の豊凶を占う行事である。シオバカリを海中に立てる時刻が深夜の干潮時であることから、ヨシオとも呼ばれている。 須崎市野見は、高知県中部の沿岸部に位置し、近世以来商港として栄えてきた須崎港の東に広がる野見湾に面した集落である。野見地区は、漁業を生業とし、現在は養殖漁業が中心となっているが、大正期までは鰯網漁が盛んに行われていた。 この行事は、こうした網漁を支えてきた漁師たちによって伝えられてきたものであり、4つの網組の各網元が交替で行事のトウヤをつとめてきた。しかし、養殖漁業の導入によって網元がしだいに衰退したため、現在では、野見潮はかり保存会が中心となって行事を伝承しており、トウヤは、地区内の東、中、西の3つの地区の家々が輪番制でつとめている。 行事は、旧暦1月14日の晩に行われ、その前日から当日の夕刻にかけて、材料となる竹の切り出しをはじめ、シオバカリやサンヤリなどの用具の製作が行われる。 行事に用いられるシオバカリは、長さ10数㍍ほどの竹を根を残したまま切り出し、上部の笹を残してそこに短冊を付けたもので、竹の中央部には藁を縄で巻き付けて、割竹に色紙を付けたヤナギと呼ばれる飾りが垂れるように差し込まれる。ヤナギは12本作られ、その数は1年12か月を意味している。サンヤリは、竹と縄を使って輪を作り、その輪から3本の竹を足として取り付けたもので、地搗きをするときに輪の中にシオバカリを通して倒れないように3方向から支える道具である。シオバカリは、完成すると地区の東側にある広場に立てておく。 当日は、夜になると行事に参加する青年たちがトウヤの家に集まり、野見地区の氏神である須賀神社の宮司からお祓いを受け、その後、祝宴となる。 そして、干潮時に海岸に着けるよう時刻を見計らって一同はトウヤの家を出て、シオバカリを立ててある広場に集まり、そこで再び宮司によるお祓いを受ける。 そして、シオバカリを倒してヤナギをはずし、地搗きを始める。地搗きは、青年たちがシオバカリを担いで、地区の西端に突き出た蛭子崎を目指して進みながら、所々でシオバカリをまっすぐに立て、古老の木遣り唄に合わせて数回にわたって地面を突くもので、最後の一突きが終わると激しく揺さぶる。地搗さをするときには、シオバカリを支える役目として、サンヤリの足を操作する竹のサンヤリ、シオバカリの上部に結びつけた縄を操る縄のサンヤリがあり、シオバカリを上下に動かす役目として、大人の目の高さのところを持つ上搗き、根元の部分を持つ根搗きなどの諸役がある。かつては、集落内の道を通ったが、現在は集落に沿って設けられている防潮堤の上を進むようになっている。この地搗きは、ジバライとも呼ばれており、悪霊を退散させるため、あるいは海神を鎮めるために行うといわれている。 このようにして地搗きをしながら一行が蛭子崎の海岸に着くころには深夜になる。蛭子崎では、大きな焚火がたかれ、地区の人びとが集まって一行を待ち受けている。 一行が到着すると、防潮堤の西端部で最後にもう1回地搗きをしてから、シオバカリに12本のヤナギを元のように差し込み、ヤナギの先端に提灯を付け、最後に亀や鶴のつくりもの、手鞠、扇などを飾り付ける。そして、青年たちは干潮となった海に飛び込み、シオバカリを海中に立てる。海中に立てられたシオバカリは、そのまま放置されるが、沖の方に倒れるとその年は豊漁になるといわれている。 この行事は漁業に関する小正月の予祝行事として注目されるものであり、またシオバカリと呼ばれる作り物を海中に立てる儀礼は地域的特色が豊かであることから、早急に記録を作成する必要がある。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)