国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
五色ノ浜の横浪メランジュ
ふりがな
:
ごしきのはまのよこなみめらんじゅ
伸ばされた砂岩の礫
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種別1
:
天然記念物
種別2
:
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
222532.0 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
13
特別区分
:
特別以外
指定年月日
:
2011.02.07(平成23.02.07)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
指定基準
:
(一)岩石、鉱物及び化石の産出状態,(二)地層の整合及び不整合,(三)地層の摺曲及び衝上,(七)岩石の組織
所在都道府県
:
高知県
所在地(市区町村)
:
高知県土佐市
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
伸ばされた砂岩の礫
解説文:
詳細解説
土佐市横浪半島の五色浜の海岸には,四万十帯とよばれる海洋プレートが日本列島にやってきた際に,日本列島に付け加わった地層(付加体)が,標識的に分布する。わが国のような弧状列島は,海洋プレートとそれに伴った地層の付加により成長してきたことが分かってきたが,横浪半島は,こうした学説が提起・証明された場所として世界的にも重要。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
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伸ばされた砂岩の礫
層状チャート
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伸ばされた砂岩の礫
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解説文
土佐市横浪半島の五色浜の海岸には,四万十帯とよばれる海洋プレートが日本列島にやってきた際に,日本列島に付け加わった地層(付加体)が,標識的に分布する。わが国のような弧状列島は,海洋プレートとそれに伴った地層の付加により成長してきたことが分かってきたが,横浪半島は,こうした学説が提起・証明された場所として世界的にも重要。
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詳細解説
現在の日本列島の骨格は、3億年ほど前からの海洋プレートの沈み込みに伴う地層の付加作用により形成されてきたことが明らかになってきた。高知県土佐市横浪半島の五色ノ浜の海岸には、こうして付加された四万十帯と呼ばれる地層が典型的にみられる。 海嶺で形成された海洋プレートは、やがて日本列島付近に到達し、沈み込みを開始する。この間、海洋プレート上には、プレートの移動に伴い玄武岩・石灰岩・チャート・多色頁岩などの地層が順番に堆積してゆく。さらに、当時の陸地に近づいた海洋プレートの地層の上には、陸側から供給された砂や泥の地層が堆積する。こうした地層の順番は、海洋底層序と呼ばれている。海洋底層序を示す地層群の一部は、プレートが沈み込む際にこそげ取られて、日本列島に付け加わってゆく。こうして付け加わった地層が、付加体である。付加体は,海洋プレートの上に堆積した地層と、陸側から供給された砂岩や泥岩の地層が、複雑に混じり合ったり著しく変形したメランジュと呼ばれる地層と比較的変形の少ない砂岩泥岩の互層(整然層)の部分とがあり、ボリューム的には、砂岩泥岩の互層が多い。 五色ノ浜の海岸では、上述のプロセスで付加された横浪メランジュと、それぞれ断層で接する北側の須崎層,南側の下津井層の整然層からなる典型的な付加体の地層が分布する。 横浪メランジュの黒色の泥岩の基質の中には、海洋底層序を構成する岩石が典型的に含まれているが、五色ノ浜と周辺の地層に含まれる放散虫プランクトンをはじめとする微化石層序や岩石磁気等の詳細な分析によって、これらの地層が、約1億3000万年前に赤道付近の深海底で噴出した溶岩の上に、その後海洋プレートの移動にともなってナノプランクトン石灰岩、チャート、多色貢岩、泥岩、砂岩が、当時の日本列島に近づきながら堆積し、約7000万年前に日本列島に付加された付加体であることが明らかになっている(平ほか、1980)。 横浪メランジュの中には、海洋底層序を構成する様々な岩石が典型的に観察できる。特に赤色の層状チャートは、四国の四万十帯における最大規模のチャート岩体であり、幅約100メートル、高さ約50メートルに達する。玄武岩に接して深海底に堆積した赤褐色のナノプランクトンからなる石灰岩は、海山や海嶺といった深海底のごく限られた環境でしか堆積しない希少なものである。こうした様々な岩石が著しい剪断を受けた黒色の頁岩の基質中に混在しており、ことに引きちぎられたり回転した砂岩のブロックの存在は、海洋プレートが陸の下に沈み込む際の激しい変形作用を窺い知ることができる。 1970年代以降、我が国のような弧状列島は、海洋プレートとそれに伴った地層の付加により成長してきたことが分かってきたが、五色ノ浜の横浪メランジュは、このような考え方が提起され、世界に先駆けて証明された場所として世界的にも重要であることから天然記念物に指定し、保護を図ろうとするものである。