国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
柿田川
ふりがな
:
かきたがわ
上流部・第1展望台
写真一覧▶
地図表示▶
解説表示▶
種別1
:
天然記念物
種別2
:
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
142
特別区分
:
特別以外
指定年月日
:
2011.09.21(平成23.09.21)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
2014.10.06(平成26.10.06)
指定基準
:
(三)地層の摺曲及び衝上
所在都道府県
:
静岡県
所在地(市区町村)
:
静岡県駿東郡清水町
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
上流部・第1展望台
解説文:
詳細解説
静岡県清水町の狩野川の支流の柿田川(長さ約1.2キロメートル)は,1万年ほど前の富士山の噴火の際に流れ出した三島溶岩流のすき間から湧き出す湧水によって涵養されている。豊富な湧水は日量100万トンにも及び,水質も良好で,そのまま飲用することが可能である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
上流部・第1展望台
最上流部・湧き間
中流部・八つ橋からの展望
水中写真・湧き間
写真一覧
上流部・第1展望台
写真一覧
最上流部・湧き間
写真一覧
中流部・八つ橋からの展望
写真一覧
水中写真・湧き間
Loading
Zeom Level
Zoom Mode
解説文
静岡県清水町の狩野川の支流の柿田川(長さ約1.2キロメートル)は,1万年ほど前の富士山の噴火の際に流れ出した三島溶岩流のすき間から湧き出す湧水によって涵養されている。豊富な湧水は日量100万トンにも及び,水質も良好で,そのまま飲用することが可能である。
詳細解説▶
詳細解説
富士山はおよそ10万年前に誕生し,玄武岩質溶岩と火山砕屑物を繰り返し噴出し,それらが成層してできた円錐形火山で,日本の火山の平均の体積40平方㎞と比べ,1200~1400平方㎞と群を抜いて大きい。この巨大な山体に降る多量の雨や雪は,地下にしみ込んで地下水を涵養し,やがて湧水として湧き出す。 富士山麓には多くの湧水が知られ,その数は100を数える。なかでも,楽寿園の小浜池,湧玉池,白糸の滝,猪之頭湧水,忍野八海などは古くから有名である。 これらのうち規模の大きな湧水は,いずれも今から11,000~8,000年前の大噴火の際に,富士山頂付近から流れ下った新富士旧期溶岩流の末端に位置する。 この溶岩流のうち,南東方向に35㎞にわたって流れ下ったものは,三島溶岩流と呼ばれ,天然記念物及び名勝に指定されている「楽寿園」と柿田川はこの溶岩の末端から湧き出した湧水である。 柿田川は国道1号のすぐ南側の湧水を水源として,狩野川に合流する。川幅30~50m,延長わずか1,2㎞の川であるが,日量100万立米以上の湧出量は,東洋一と言われている。水温は年間を通じて15℃前後と安定していて,長良川・四万十川とともに「日本三大清流」に選ばれている。 柿田川の水源近くの台地上には,「泉頭城跡」は,中世末16世紀の小田原後北条氏の古城跡で,柿田川湧水が長い年月をかけて浸食し作り出した自然の洞を利用し,平坦な部分に木柵を巡らせた曲輪を設けた城郭で,柿田川の流れを利用し狩野川対岸の戸倉城と船を利用し往来をしていた。江戸時代初期には徳川家康の隠居所を造る計画もあった。 水源のすぐ北側で行われたボーリング調査の結果によると,地表から深さ25mまでは沖積砂礫層で,深さ25mから70mまでは,10層の三島溶岩層があり,その下はまた砂礫層になっている。これら溶岩層の間からは,高い水圧をもった地下水が湧き出している。地下水の水質はいずれもよく似ていて,富士山系の地下水と考えられている。 柿田川の安定した湧水は,飲料水,工業用水,農業用水に利用されている。水源付近には,静岡県と沼津市による水道施設が整備され,飲料水は両施設により静岡県東部3市2町に給水されている。 日本の高度成長期,富士山麓の豊富な水に着目し,多くの企業が進出し地下水を汲み上げ,その湧水量は減少した。また,大正末期から昭和にかけて,柿田川の豊富な水源を利用して,製紙会社や紡績工場が操業を開始し,周辺の開発や汚水,製紙かす等の投棄により柿田川の自然破壊が危惧された。戦後には飲料水としても利用されるようになるとともに,1960年代から湧水量の減少が起こり,開発計画等柿田川を取り巻く環境が変化し,住民の柿田川に対する関心が高まりました。(財)柿田川みどりのトラストなどによる柿田川の湧水環境を守る運動が進められ,今日まで保護が図られてきた。天然記念物に指定し,保護を図ろうとするものである。