国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
喜屋武海岸及び荒崎海岸
ふりがな
:
きゃんかいがんおよびあらさきかいがん
クガニ岩
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種別1
:
名勝
種別2
:
天然記念物
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
129728.58 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
147
特別区分
:
指定年月日
:
2012.09.19(平成24.09.19)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
指定基準
:
八.砂丘、砂嘴(さし)、海浜、島嶼,(三)代表的高山植物帯、特殊岩石地植物群落,(五)海岸及び沙地植物群落の代表的なもの,(九)風化及び侵蝕に関する現象
所在都道府県
:
沖縄県
所在地(市区町村)
:
沖縄県糸満市
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
クガニ岩
解説文:
詳細解説
沖縄本島最南端にあたり、伝説に関連して信仰の対象となった巨岩があるなど精神的な意義を持つ海岸。琉球石灰岩の海岸段丘及びサーフベンチの海食(かいしょく)地形、海波の影響の程度による植生の帯状分布など、独特の地質・植生が優秀な風致景観を形成しており、貴重である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
クガニ岩
カサカンジャー
サーフベンチ
溶食凹地
クサトベラ
イソフサギ
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クガニ岩
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カサカンジャー
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サーフベンチ
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溶食凹地
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クサトベラ
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解説文
沖縄本島最南端にあたり、伝説に関連して信仰の対象となった巨岩があるなど精神的な意義を持つ海岸。琉球石灰岩の海岸段丘及びサーフベンチの海食(かいしょく)地形、海波の影響の程度による植生の帯状分布など、独特の地質・植生が優秀な風致景観を形成しており、貴重である。
詳細解説▶
詳細解説
沖縄本島最南端の喜屋武及び荒崎の海岸には、琉球(りゅうきゅう)石灰岩(せっかいがん)から成る海岸段丘が発達し、岩石の節理(せつり)と波の浸食により形成された独特の海食(かいしょく)地形が見られる。 特に、海岸段丘の端部に比高約30メートルもの海食崖(かいしょくがい)が連続する喜屋武海岸では、波の浸食によって形成された窪みの天井を成す庇部が崩落し、直径5~10メートルもの岩塊が波打ち際に多数散在している。それらの中には、「クガニ岩(黄金岩(こがねいわ))」と名付けられ、「カタハラグスク」の異名を持つ一辺約30メートルもの大岩があり、倭寇(わこう)が岩体の凹部に財宝を隠したとの逸話が伝えられている。 荒崎海岸にも大きな離岩が残されており、地域の人々が御嶽(うたき)として信仰している。琉球王国の正史である『球陽(きゅうよう)』には、1832年9月10日に台風が来襲し、荒崎海岸に三つの岩塊が打ち上げられたと記されている。現存する離岩は、大きさ及び海岸からの距離が『球陽』に記す三つの岩塊の一つとほぼ一致し、「笠かぶり」を意味する「カサカンジャー」の呼び名の下に広く知られている。 両海岸には、地殻変動による隆起及び海水準変動の複合作用による海岸段丘が発達し、数10万年前以降に形成された琉球石灰岩から成る海岸地形の典型的な特質が見られる。特に喜屋武海岸の海食崖は浸食により後退を続ける形成の過程を良好に示しているほか、サンゴ礁の発達が悪い東部の荒崎海岸では、海食崖の前面の水深が大きいことから、サーフベンチ(波食棚)と呼ばれる平面海食の地形が見られる。海食崖の上の琉球石灰岩の上面には、海波の直接的な浸食ではなく、飛沫又は雨水によって形成された溶食(ようしょく)凹地(おうち)のほか、琉球石灰岩の巨岩も観察できる。このように、喜屋武海岸及び荒崎海岸には、南西諸島の琉球石灰岩から成る海岸地形の様々な特質が典型的に発達している。 また、海岸段丘は面積も広く、安定した植生が発達している。海食崖の比高は大きく、海波の影響を受ける海食崖部には顕著な植生を認めないが、飛沫帯にはイソフサギ群落、飛沫の影響が少なくなる上部にはソナレムグラ・コウライシバ群落が成立する。さらに安定した部分では、ミツバノコマツナギ(ナハエボシグサ)、ハナカモノハシが優占する草本及び矮性低木の群落が展開し、その背後には、段丘面を広く覆うようにクサトベラを中心とする低木群落が広がり、さらに樹高の高いオオハマボウ及びアダンの低木林へと連続する。このように、飛沫帯植生から低木林に至るまで、広い面積にわたって植生の帯状分布が発達し、岩礁海岸植生としての特徴を良好に示している。それは、第二次世界大戦後に地域の人々が植生の回復を目指して地道に続けてきた努力の賜物でもある。 以上のように、沖縄本島最南端に当たる喜屋武海岸及び荒崎海岸は、多くの伝承に彩られた景勝地として広く知られ、現在もなお地域の人々にとって精神的な重要性を持つ。琉球石灰岩から成る海岸段丘及びサーフベンチの海食地形、海波の影響の程度による植生の帯状分布など、独特の地質・植生が類い希なる海浜の風致景観を形成している。その観賞上の価値及び学術上の価値はともに高く、名勝及び天然記念物に指定して保護を図ろうとするものである。