国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
大歩危小歩危
ふりがな
:
おおぼけこぼけ
大歩危(遠景)
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種別1
:
天然記念物
種別2
:
名勝
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
123771.49 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
32
特別区分
:
特別以外
指定年月日
:
2014.03.18(平成26.03.18)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
2018.02.13(平成30.02.13)
指定基準
:
(一)岩石、鉱物及び化石の産出状態,(三)地層の摺曲及び衝上,(七)岩石の組織,(九)風化及び侵蝕に関する現象
所在都道府県
:
徳島県
所在地(市区町村)
:
徳島県三好市
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
大歩危(遠景)
解説文:
詳細解説
大歩危は,徳島県三好市の一級河川吉野川の中流にあり,河床と河岸には,関東から九州まで日本列島を縦断して分布する三波川変成岩(さんばがわへんせいがん)が典型的にみられる。三波川変成岩は一般に「三波石(さんばせき)」,徳島では「阿波(あわ)の青石(あおいし)」と呼ばれ,共に石材として著名である。三波川結晶片岩は,中生代ジュラ紀から白亜紀にかけての海洋プレートの沈み込みにより大陸側に付加され,地下深くに押し込まれ,高い圧力のもとで再結晶したものである。大歩危付近の三波川変成岩は,ドーム状の背(はい)斜(しゃ)構造(こうぞう)という褶曲(しゅうきょく)構造を示している。今回の指定対象地では,背斜構造の中心部に近い部分に原岩(げんがん)の年代(変成作用前の年代)が新しく変成の程度が弱い砂質(さしつ)片岩(へんがん)や礫質(れきしつ)片岩などが分布し,背斜構造の中心部から離れた部分には泥質(でいしつ)片岩や緑色(りょくしょく)片岩などの変成度の高い古い岩石が分布し,見かけ上新しい岩石と古い岩石の位置関係が逆転している。
大歩危の三波川変成岩は,海洋プレートの沈み込みにより付加された地層から構成されるわが国の成り立ちを知る上で,極めて重要である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
添付ファイル
なし
写真一覧
大歩危(遠景)
大歩危(指定対象地内の砂質片岩で確認された含礫砂質片岩)
大歩危(特異な景観を見せる大歩危の岩肌)
大歩危
大歩危
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大歩危(遠景)
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大歩危(指定対象地内の砂質片岩で確認された含礫砂質片岩)
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大歩危(特異な景観を見せる大歩危の岩肌)
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大歩危
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大歩危
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解説文
大歩危は,徳島県三好市の一級河川吉野川の中流にあり,河床と河岸には,関東から九州まで日本列島を縦断して分布する三波川変成岩(さんばがわへんせいがん)が典型的にみられる。三波川変成岩は一般に「三波石(さんばせき)」,徳島では「阿波(あわ)の青石(あおいし)」と呼ばれ,共に石材として著名である。三波川結晶片岩は,中生代ジュラ紀から白亜紀にかけての海洋プレートの沈み込みにより大陸側に付加され,地下深くに押し込まれ,高い圧力のもとで再結晶したものである。大歩危付近の三波川変成岩は,ドーム状の背(はい)斜(しゃ)構造(こうぞう)という褶曲(しゅうきょく)構造を示している。今回の指定対象地では,背斜構造の中心部に近い部分に原岩(げんがん)の年代(変成作用前の年代)が新しく変成の程度が弱い砂質(さしつ)片岩(へんがん)や礫質(れきしつ)片岩などが分布し,背斜構造の中心部から離れた部分には泥質(でいしつ)片岩や緑色(りょくしょく)片岩などの変成度の高い古い岩石が分布し,見かけ上新しい岩石と古い岩石の位置関係が逆転している。 大歩危の三波川変成岩は,海洋プレートの沈み込みにより付加された地層から構成されるわが国の成り立ちを知る上で,極めて重要である。
詳細解説▶
詳細解説
大歩危は、徳島県三好市の一級河川吉野川(よしのがわ)の中流にある。吉野川は、「四国三郎(しこくさぶろう)」の別名で知られる全長194キロメートル、流域面積3、750平方キロメートルの愛媛―高知県境の瓶ヶ森(かめがもり)(標高1,897メートル)にその源を発し、東流しJR土讃線(どさんせん)豊永駅(とよながえき)付近で北に向きを変え四国山地を横切る。その後阿波池田付近で再び東に向きを変え、中央構造線に沿って徳島平野を流れ紀伊水道に注ぐ。その流路は、四国の地質と密接に関連している。 一般に中央構造線以南の四国の地質構造は東西の走向を持っていることから、四国山地を南北に横切る吉野川上流部では、吉野川の侵食により地質構造の配列が明瞭にみられる。吉野川が峡谷をつくる大歩危付近では、関東から九州まで日本列島を縦断して分布する三波川変成岩が連続的に露出する。三波川変成岩は一般的に「三波石(さんばせき)」と呼ばれ、徳島県では「阿波(あわ)の青石(あおいし)」と呼ばれている。石材としても著名であり、大歩危はその有数の露出地である。 三波川変成岩は、中生代ジュラ紀から白亜紀にかけての海洋プレートの沈み込みにより陸側に付加されて地下深くに押し込まれた地層が、高い圧力のもとで再結晶したものが地殻変動により上昇して、地表へ現れたものである。 大歩危付近の三波川変成岩は、ドーム状の背斜構造(はいしゃこうぞう)という褶曲構造を示している。今回の指定対象地では、背斜構造の中心部に近い部分に原岩(げんがん)の年代(変成作用前の年代)が新しく変成の程度が弱い砂質片岩(さしつへんがん)や礫質片岩(れきしつへんがん)などが分布し、背斜構造の中心部から離れた部分には泥質(でいしつ)片岩や緑色(りょくしょく)片岩などの変成度の高い古い岩石が分布し、見かけ上新しい岩石と古い岩石の位置関係が逆転している。 近年の研究によれば、大歩危を含む三波川変成岩の原岩(げんがん)の年代は、見かけ上上位の変成岩がおよそ1.3億年より古く、見かけ上は下位の変成岩がおよそ0.92億年より新しい年代を示すことが報告され、従来、三波川変成岩として一括されていた中に、より新しい変成作用の時期があったことが提案されている。 この見かけ上の年代の逆転は、次のように理解できる。すなわち、海洋プレートの沈み込みに伴い、次々と新しい地層が低角度の衝上(しょうじょう)断層(だんそう)を境として下位に付加され(底付け)、それが地下深くに押し込まれて、高い圧力により変成岩となる。さらに四国山地を形づくる原動力となる隆起の進行により、見かけ上は上位にあった古い変成岩は浸食され、見かけ上は下位にあった大歩危を構成する新しい変成岩が地表に現れたものと考えられる。 大歩危付近に見られる砂質片岩は比較的変成度が低く,もともとは水流で運ばれたことを示す堆積構造(斜交層理(しゃこうそうり)やチャネル構造)が見られること、またこの地域としては初めてとなる含礫片岩が発見されるなど、当時の海洋プレートの沈み込みに伴う海溝ないしは海溝斜面(かいこうしゃめん)付近で堆積した陸源堆積物を起源としていることを示唆している。 大歩危の三波川変成岩は、海洋プレートの沈み込みにより付加された地層から構成されるわが国の成り立ち、すなわち付加された地層がより以前の地層の見かけ上、下位に付け加わり、地下深くに押し込まれて高い圧力で変成し、やがて地殻変動により上昇し、より古い地層の浸食により地表に現れる、というプロセスを知る上で、重要な地質現象を示すものとして、極めて重要である。
関連情報
指定等後に行った措置
2015.10.07(平成27.10.07)
関連情報
指定等後に行った措置
異動年月日
:
2015.10.07(平成27.10.07)
異動種別1
:
名勝
異動種別2
:
異動種別3
:
異動内容
:
名勝の新指定(天然記念物及び名勝)