国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
ティンダバナ
ふりがな
:
てぃんだばな
ティンダバナ遠景
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種別1
:
名勝
種別2
:
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
44010.77 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
138
特別区分
:
特別以外
指定年月日
:
2014.10.06(平成26.10.06)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
指定基準
:
五.岩石、洞穴
所在都道府県
:
沖縄県
所在地(市区町村)
:
沖縄県八重山郡与那国町
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
ティンダバナ遠景
解説文:
詳細解説
我が国最西端の与那国(よなぐに)島(じま)のほぼ中央に位置するティンダバナは,断層(だんそう)崖(がい)が交叉して形成された突端部の地名で,与那国島に固有の伝承・儀礼に彩られた岩石・洞穴などから成る風致景観である。頂部の標高は85m,垂直に切り立った琉球石灰岩層の厚さは約20mにも及ぶ。下層の緻密な八重山(やえやま)層群と上層の多孔質の琉球石灰岩との間から湧き出る豊かな地下水が,八重山層群を浸食して随所に凹地形(ノッチ)を形成し,その天井部には八重山層群が脱水(だっすい)固結(こけつ)して形成された直径1m以上もの巨大な岩塊も見られる。
ティンダバナには,15世紀末期に与那国島を統治したとされる女傑サンアイ・イソバの居住地であったとの伝承があるほか,イヌガンと呼ぶ凹地形には,久米島から那覇の首里王府へと向かった貢納船が無人島であった与那国島に漂着し,乗船者のうち生き残った1人の女性と同乗の1匹の雄犬が棲んでいたとの犬(けん)祖(そ)伝説(でんせつ)も伝わる。
古来,清浄で豊富な湧水を生む岩壁とその周辺は島民の重要な儀礼の場となってきた。その独特の風致景観は与那国島の精神文化を語る上で重要な意義を持ち,観賞上の価値及び学術上の価値が高い。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
ティンダバナ遠景
ティンダバナ遠景
ティンダバナ近景
ティンダバナ(浸食された部分)
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ティンダバナ遠景
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ティンダバナ遠景
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ティンダバナ近景
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ティンダバナ(浸食された部分)
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解説文
我が国最西端の与那国(よなぐに)島(じま)のほぼ中央に位置するティンダバナは,断層(だんそう)崖(がい)が交叉して形成された突端部の地名で,与那国島に固有の伝承・儀礼に彩られた岩石・洞穴などから成る風致景観である。頂部の標高は85m,垂直に切り立った琉球石灰岩層の厚さは約20mにも及ぶ。下層の緻密な八重山(やえやま)層群と上層の多孔質の琉球石灰岩との間から湧き出る豊かな地下水が,八重山層群を浸食して随所に凹地形(ノッチ)を形成し,その天井部には八重山層群が脱水(だっすい)固結(こけつ)して形成された直径1m以上もの巨大な岩塊も見られる。 ティンダバナには,15世紀末期に与那国島を統治したとされる女傑サンアイ・イソバの居住地であったとの伝承があるほか,イヌガンと呼ぶ凹地形には,久米島から那覇の首里王府へと向かった貢納船が無人島であった与那国島に漂着し,乗船者のうち生き残った1人の女性と同乗の1匹の雄犬が棲んでいたとの犬(けん)祖(そ)伝説(でんせつ)も伝わる。 古来,清浄で豊富な湧水を生む岩壁とその周辺は島民の重要な儀礼の場となってきた。その独特の風致景観は与那国島の精神文化を語る上で重要な意義を持ち,観賞上の価値及び学術上の価値が高い。
詳細解説▶
詳細解説
我が国の最西端に位置する与那国(よなぐに)島(じま)は平面形が東西方向に細長い六角形を呈し、その海岸線は主として断層崖の絶壁から成る。島内の随所にも、海岸線と平行して北東方向から南西方向へ向かうもの、北西方向から南東方向へ向かうものなど、複数の断層線が交錯している。急崖を成す断層崖では、砂岩と泥岩が互層を成す新第三紀中新世の八重山層群の上部を第四紀更新世の琉球石灰岩が覆う与那国島に独特の地質の成り立ちを確認することができる。それらの断層崖の中でも最も大規模なものが島の中央やや北東部に位置するティンダバナで、与那国島に固有の伝承・儀礼に彩られた岩石・洞穴などから成る風致景観として広く知られてきた。 ティンダバナは、北西及び北東に面する2面の断層崖が交叉して形成された突端部の地名で、そのうちの「バナ(ハナ)」は「岬又は岩の突端」を意味する。頂部の標高は85mで、断層崖の上部を成す垂直に切り立った琉球石灰岩層の厚さは約20mにも及ぶ。下層の緻密な八重山(やえやま)層群と上層の多孔質の琉球石灰岩との間から湧き出る豊かな地下水が、八重山層群の砂岩・泥岩層を浸食して随所に凹地形(ノッチ)を形成している。庇のように迫り出したノッチの天井部には、海底に堆積した泥(八重山層群)が断層活動による隆起の過程で脱水固結し、浸食を免れて残された直径1m以上にも及ぶ巨大な岩塊が見られる。 ティンダバナには、15世紀末期に与那国島を統治したとされる女傑サンアイ・イソバの居住地であったとの伝承が残されている。また、特にティンダバナのイヌガンと呼ぶ凹地形には、久米島から那覇の首里王府へと向かった貢納船が無人島であった与那国島に漂着し、乗船者のうち生き残った1人の女性と同乗の1匹の雄犬が棲んでいたとの犬祖伝説も伝わる。 北東の海岸沿いの祖(そ)納(ない)の集落から見上げるティンダバナの形姿は極めて迫力に満ちており、与那国島の発祥に関わる様々な伝承に彩られた岩石・洞穴から成るその風致景観は独特かつ傑出している。 また、水の霊所のひとつとされてきたティンダバナの一帯はヌク(野底)の地名を持ち、古来、その豊かな湧水がヌクヌミン(野底の水)と呼ばれて尊重されてきた。毎年、旧暦の8月に行われるアラミディ(新水)の祭祀では、祖納の集落の各家庭の主婦がティンダバナの東半部に位置する霊所からヌクヌミンの新しい水を汲み、自らのカンディン(守り神)に祀って家内の安泰と家族の健康を祈願してきた。清浄で豊富な湧水を生む岩壁とその周辺は島民の重要な儀礼の場となっており、その風致景観とともに与那国島の精神文化を語る上で重要な意義を持つ。 以上のように、砂岩・琉球石灰岩の急峻な断層崖及び洞穴から成るティンダバナは、与那国島に固有の伝承及び儀礼に彩られた独特の岩石・洞穴から成る風致景観である。その観賞上の価値及び学術上の価値は高く、名勝に指定し保護を図るものである。