国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
久高島の海岸植物群落
ふりがな
:
くだかじまのかいがんしょくぶつぐんらく
久高島の海岸植物群落(西海岸(ウガン浜)の植物群落)
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種別1
:
天然記念物
種別2
:
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
199779.06 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
70
特別区分
:
特別以外
指定年月日
:
2015.10.07(平成27.10.07)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
指定基準
:
所在都道府県
:
沖縄県
所在地(市区町村)
:
沖縄県南城市
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
久高島の海岸植物群落(西海岸(ウガン浜)の植物群落)
解説文:
詳細解説
久高島は沖縄本島南部にある南城(なんじょう)市(し)知念(ちねん)半島(はんとう)の東方海上5.5kmに位置し,北東から南西方向に長さ3.2km,幅0.6kmほどの低平な島である。地質は新第三紀島尻層群(しまじりそうぐん)を基盤とし,それを更新世(こうしんせい)の琉球層群(りゅうきゅうそうぐん)である琉球石灰岩が覆い,南西部の一部に砂丘地(さきゅうち)が分布する。サンゴ礁は島を囲むように発達しているが,東海岸では礁原(しょうげん)や礁池(しょうち)が発達するものの,西海岸は礁(しょう)の発達が悪く礁原などの形成はみられない。また地形では,島東側の南部から北部にかけての海岸では砂浜が卓越し,島の北部では隆起サンゴ礁,島西側の海岸は崖地と様々な地形が見られる。
久高島は琉球王国時代において最高の聖域と位置づけられ,その後も大きな開発が行われず,人為的攪乱が少なかった。島の様々な地形に対応した植物群落が良好に残され,亜熱帯地域の南西諸島に生育する多様な海岸植物群落を同所的に確認できる。砂浜植生,隆起サンゴ礁上植生,海崖地植生などの海岸植物群落,風衝低木林が一つの島に発達し,非常に良好な環境が残された貴重な地域であり,天然記念物に指定するものである。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
久高島の海岸植物群落(西海岸(ウガン浜)の植物群落)
久高島の海岸植物群落(フボー御嶽の植物群落)
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久高島の海岸植物群落(西海岸(ウガン浜)の植物群落)
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久高島の海岸植物群落(フボー御嶽の植物群落)
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解説文
久高島は沖縄本島南部にある南城(なんじょう)市(し)知念(ちねん)半島(はんとう)の東方海上5.5kmに位置し,北東から南西方向に長さ3.2km,幅0.6kmほどの低平な島である。地質は新第三紀島尻層群(しまじりそうぐん)を基盤とし,それを更新世(こうしんせい)の琉球層群(りゅうきゅうそうぐん)である琉球石灰岩が覆い,南西部の一部に砂丘地(さきゅうち)が分布する。サンゴ礁は島を囲むように発達しているが,東海岸では礁原(しょうげん)や礁池(しょうち)が発達するものの,西海岸は礁(しょう)の発達が悪く礁原などの形成はみられない。また地形では,島東側の南部から北部にかけての海岸では砂浜が卓越し,島の北部では隆起サンゴ礁,島西側の海岸は崖地と様々な地形が見られる。 久高島は琉球王国時代において最高の聖域と位置づけられ,その後も大きな開発が行われず,人為的攪乱が少なかった。島の様々な地形に対応した植物群落が良好に残され,亜熱帯地域の南西諸島に生育する多様な海岸植物群落を同所的に確認できる。砂浜植生,隆起サンゴ礁上植生,海崖地植生などの海岸植物群落,風衝低木林が一つの島に発達し,非常に良好な環境が残された貴重な地域であり,天然記念物に指定するものである。
詳細解説▶
詳細解説
久高島の海岸植物群落は、亜熱帯地域の砂浜、隆起サンゴ礁、海崖地(かいがいち)等の海岸植生から海岸林を含む植物群落である。 久高島は沖縄島南部にある南城市知念半島の東方海上5.5kmに位置し、北東-南西方向に長さ約3.2km、幅約0.6km、面積1.39k㎡、最高標高約18mの低平な島である。地質は新第三紀(しんだいさんき)島尻層群(しまじりそうぐん)を基盤とし、それを更新世(こうしんせい)の琉球層群である琉球石灰岩が覆い、南西部の一部に砂丘地が分布する。サンゴ礁は島を囲むように発達しているが、東海岸では礁原(しょうげん)や礁池(しょうち)が発達するものの、西海岸は礁の発達が悪く礁原の形成は見られない。地形では、東海岸南部から北部にかけてはサンゴ礁が砕けた砂が堆積した砂浜が卓越し、北端部のカベール岬周辺では隆起サンゴ礁、西海岸は急崖地(きゅうがいち)と様々な地形が見られ、それぞれの地形に対応した植物群落が発達する。また、久高島は琉球王国期において最高の聖域と位置づけられ、その後も聖地として大きな開発が行われなかったため、人為的攪乱(かくらん)が少なく亜熱帯・熱帯性の海岸植物群落が良好に残されている。 対象地域は島東海岸南部の集落端付近の地域から、島の北部の内陸と島の西海岸のフボー御嶽を含んだ海岸部分である。島の海岸線の7割と北部の内陸部を含む地域が対象となり、今回の指定範囲は約20haである。 久高島東海岸は伊敷浜と呼ばれ、サンゴ礁が砕けた砂が堆積した砂浜が発達する。砂浜では波浪の影響のある無植生地に続き、ハマアズキ-グンバイヒルガオ群集、ミツバノコマツナギ-シロバナミヤコグサ群集、クロイワザサ-ハマゴウ群集、さらに低木林であるモンパノキ-クサトベラ群集、アダン群集となり、海岸林であるアカテツ-ハマビワ群集の風衝(ふうしょう)低木林(ていぼくりん)となる。 島の北端部はカベール岬と呼ばれ、隆起サンゴ礁地形が発達する。海水の影響を直接受ける無植生の飛沫帯(ひまつたい)から、ウコンイソマツ-モクビャクコウ群集、ミズガンピ群落、砂が堆積したり、乾燥する場合にはソナレムグラ-コウライシバ群集やハリツルマサキ群落が多くなり、さらにモンパノキ-クサトベラ群集、アダン群集、そしてアカテツ-ハマビワ群集と続いている。このうちミズガンピ群落までは荒天時において頻繁に海水によって洗われる立地である。カベール岬の内陸ではアカテツ-ハマビワ群落にビロウが混成した群落を形成している。 島の西海岸も基本的には隆起サンゴにより形成されているが、数mの断崖が発達した海崖(かいがい)地形をなしている。崖地にはソテツ群落が点在し、面積は少ないもののモンパノキ-クサトベラ群集、アダン群集も発達している。フボー御嶽周辺の崖上部の平坦地ではこの地域の風衝地(ふうしょうち)の極相林(きょくそうりん)と考えられるアワダン-ビロウ群落、アカテツ-ハマビワ群集が分布する。 これらの植物群落に、環境省によるレッドリストに掲載される絶滅危惧植物として、イソフジ(EN)、ウコンイソマツ、モクビャクコウ(VU)、ハリツルマサキ(NT)の4種が生育している。 このように、久高島の海岸植物群落は、砂浜植生、隆起サンゴ礁上植生、海崖地植生、それに続く海岸林など、亜熱帯地域である南西諸島の様々なタイプの海岸植物群落が一つの島に発達しており、良好な環境が残された貴重な地域である。よって、天然記念物に指定し保護を図るものである。