国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
勝山恐竜化石群及び産地
ふりがな
:
かつやまきょうりゅうかせきぐんおよびさんち
勝山恐竜化石群及び産地(展示の様子 フクイラプトル復元骨格模型)
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種別1
:
天然記念物
種別2
:
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
4557.83 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
10
特別区分
:
指定年月日
:
2017.02.09(平成29.02.09)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
指定基準
:
所在都道府県
:
福井県
所在地(市区町村)
:
福井県勝山市
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
勝山恐竜化石群及び産地(展示の様子 フクイラプトル復元骨格模型)
解説文:
詳細解説
福井県勝山市北谷町で産出した恐竜化石と,その産地である手取層群北谷層に設けられた恐竜発掘露頭である。手取層群は福井県,石川県,富山県,岐阜県に分布し,中生代ジュラ紀中期から白亜紀前期(1億7千万年~1億年前)にかけての地層から成る。中生代の化石が良好な保存状態で産出することで知られ,中でも勝山市の恐竜発掘露頭は日本有数の恐竜化石産地である。福井県では,平成元年(1989)から本格的な化石調査を開始した。恐竜化石(フクイラプトル,フクイサウルス,フクイティタン,コシサウルス,フクイベナートル)は,その調査によって発見されたもので,現在は福井県立恐竜博物館で所蔵されている。標本はいずれも新種記載されたもので,全身の約70%以上の骨格化石がそろう標本があるなど,保存状態が極めて良好であり,産出種と保存状態は日本を代表するものである。またその産地から得られた動植物の化石などから,恐竜時代の環境も明らかにされており,学術上重要な標本とその産地として貴重である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
勝山恐竜化石群及び産地(展示の様子 フクイラプトル復元骨格模型)
勝山恐竜化石群及び産地(産地)
勝山恐竜化石群及び産地(フクイティタン上腕骨産状)
勝山恐竜化石群及び産地(展示の様子 フクイラプトル骨格化石)
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勝山恐竜化石群及び産地(展示の様子 フクイラプトル復元骨格模型)
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勝山恐竜化石群及び産地(産地)
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勝山恐竜化石群及び産地(フクイティタン上腕骨産状)
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勝山恐竜化石群及び産地(展示の様子 フクイラプトル骨格化石)
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解説文
福井県勝山市北谷町で産出した恐竜化石と,その産地である手取層群北谷層に設けられた恐竜発掘露頭である。手取層群は福井県,石川県,富山県,岐阜県に分布し,中生代ジュラ紀中期から白亜紀前期(1億7千万年~1億年前)にかけての地層から成る。中生代の化石が良好な保存状態で産出することで知られ,中でも勝山市の恐竜発掘露頭は日本有数の恐竜化石産地である。福井県では,平成元年(1989)から本格的な化石調査を開始した。恐竜化石(フクイラプトル,フクイサウルス,フクイティタン,コシサウルス,フクイベナートル)は,その調査によって発見されたもので,現在は福井県立恐竜博物館で所蔵されている。標本はいずれも新種記載されたもので,全身の約70%以上の骨格化石がそろう標本があるなど,保存状態が極めて良好であり,産出種と保存状態は日本を代表するものである。またその産地から得られた動植物の化石などから,恐竜時代の環境も明らかにされており,学術上重要な標本とその産地として貴重である。
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詳細解説
勝山恐竜化石群及び産地は、福井県勝山市北谷で産出した恐竜化石と、その産地である手取層群北谷層に設けられた恐竜発掘露頭である。手取層群は福井県、石川県、富山県、岐阜県に分布し、中生代ジュラ紀中期から白亜紀前期(1億7千万~1億年前)にかけての地層から成り、中生代の化石が良好な保存状態で産出することで知られる。石川県白山市桑島の位置する天然記念物手取川流域の珪化木産地から恐竜の歯の化石が発見されたことをきっかけとして、同じ手取層群が分布する福井県勝山市北谷においても調査が開始された。そして、平成元年(1989)から始まった本格的な発掘調査によって、恐竜化石(フクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタン、コシサウルス、フクイベナートル)をはじめ多くの恐竜時代の化石が相次いで見つかり、現在では勝山市の恐竜発掘露頭は日本有数の恐竜化石産地となった。 日本国内における中生代の陸生動物化石の数は少なく、脊椎動物化石においてはウタツサウルス(歌津魚竜)など海生爬虫類が中心である。それは、当時まだ日本列島は無く、海域であったためである。一方、勝山市北谷に露出する手取層群北谷層は、約1億2千万年前にアジア大陸の東縁にあった蛇行河川やその氾濫原の堆積層と考えられており、恐竜のほかにワニ類、カメ類、魚類などの骨格化石が多数発見されている。特に顕著なのは800点を超えるカメ類化石で、3科4属のスッポン上科が確認されている。また、足跡化石から鳥類や翼竜類の存在が確認されており、多量の植物化石から蛇行河川の周囲に広大な森林があったことが推定されている。このような、豊かな生物群集の中で生息していたのが、陸生大型爬虫類の恐竜である。そのうち、すでに新種として記載されていることや保存状態が良好であることなど、条件が整ったのは次の5体である。 「フクイラプトル Fukuiraptor kitadaniensis」は、大腿骨の大きさから全長4.2mと推定されている獣脚類である。前肢や後肢の骨には、ジュラ紀のアロサウルスや白亜紀のドロマエオサウルス類の特徴があり、新しい種類の恐竜として位置付けされた。肉食恐竜としては日本で初めて全身骨格が復元された標本である。1988年10月に発見された。 「フクイサウルス Fukuisaurus tetoriensis」は、イグアノドン類の草食恐竜で、全長4.7mと推定されている。歯の特徴はモンゴルから発見されたアルティヌスと類似している。化石の保存状態が良い標本である。1989年に福井県勝山市で発見された。 「フクイティタン Fukuititan nipponensis」は、竜脚類で原始的なティタノサウルス形類の大型草食恐竜である。中手骨が長く橈骨の約48%で、坐骨の先端がやや広がっていることなど、他の竜脚類と異なる特徴がある。 「コシサウルス Koshisaurus katsuyama」は、イグアノドン類の草食恐竜の幼体で、全長3m程度と推定されている。上顎骨の歯の舌側(内側)が角張っていることが特徴の一つで、フクイサウルスから進化したと考えられている。コシサウルスの存在はアジア大陸東縁にも多くのイグアノドン類が生息していた重要な証拠とされている。 「フクイベナートル Fukuivenator paradoxus」は、小型の獣脚類で全長2.5mであり、体重25kgと推定される。頭骨を含む全体の約70%にあたる骨が見つかった。原始的なマニラプトル形類の一種である。歯が円錐形で鋸歯が無いなどの特徴から、雑食性であったと考えられている。また、CTスキャンによる脳函の解析と内耳の復元から、平衡感覚は非鳥型獣脚類ほどで、聴力は鳥類並みだったと推定されている。 以上のように、勝山恐竜化石群はいずれも新種として記載された標本であり、産出種と保存状態は日本を代表するものである。また、その産地から得られた他の化石などから、恐竜時代の環境も明らかにされており、学術上の価値が高い。したがって、5体の恐竜化石標本とともにその産地を天然記念物に指定し保護を図ろうとするものである。