国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
星ヶ森(ほしがもり)(横峰寺石鎚山遥拝所)
ふりがな
:
ほしがもりよこみねじいしづちさんようはいじょ
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種別1
:
名勝
種別2
:
時代
:
江戸~現代
年代
:
西暦
:
面積
:
1767.68 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
特別区分
:
指定年月日
:
2017.10.13(平成29.10.13)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
指定基準
:
十一.展望地点
所在都道府県
:
愛媛県
所在地(市区町村)
:
愛媛県西条市
保管施設の名称
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所有者種別
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所有者名
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管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
横峰寺境内地の南西端に位置する星ヶ森は,霊峰石鎚山を北側から南方に向かって遥拝する固有の展望地点として江戸時代以来の名所で,石積みを伴って形成された平場には鉄(かね)の鳥居や石龕(せきがん)などが設えられており,信仰に関連する優れた風致景観を観賞する場として重要である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
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解説文
横峰寺境内地の南西端に位置する星ヶ森は,霊峰石鎚山を北側から南方に向かって遥拝する固有の展望地点として江戸時代以来の名所で,石積みを伴って形成された平場には鉄(かね)の鳥居や石龕(せきがん)などが設えられており,信仰に関連する優れた風致景観を観賞する場として重要である。
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詳細解説
石(いし)鈇(づち)山(さん)横峰寺は四国霊場第60番札所で、霊峰石鎚山に続く山地の北側中腹(標高約750m)に位置する。星ヶ森は、横峰寺境内地の南西端、加茂川によって開析された石鎚山北側の谷を挟んで石鎚山脈とほぼ並走する尾根稜線の鞍部(標高約820m)に所在する霊峰石鎚山の遥拝所である。石鎚山は、最高所の天狗岳(標高1,982m)を中心とし、西の弥山(みせん)(標高1,972m)、東の南尖峰(なんせんぽう)(標高1,982m)を併せた山々の総称である。星ヶ森から天狗岳までは、ほぼ真南に約7.5km、標高差1,160mを測る。 石鎚山の名は、平安時代初期に成立した『日本霊異記』に見られ、石鎚の神の居所として浄行の者のみが登り到ることができる山とされており、この頃には山岳信仰の対象となっていたことが窺われる。この石鎚信仰を代表する寺院が横峰寺と前神寺(まえがみじ)であり、弘法大師空海と石鎚山の密接な関係からいずれも四国霊場の札所となっている。横峰寺は、戦国時代の永禄年間(1558-1570)には「石(いし)鈇(づち)別当」と称していた。江戸時代には、横峰寺と前神寺とで別当職を巡って争われ、前神寺がこれを勝ち取るが、明治時代になって前神寺は神仏分離、廃仏毀釈の流れの中で廃寺となり、後にその子院の医王院の地に復興し、前神寺跡地には石鎚神社が開かれた。横峰寺も明治4年(1871)に廃寺となるが、地元の請願によって明治41年に現地で再興された。その間、星ヶ森は「石鎚神社西遥拝所」の一部として存続した。 「星ヶ森」の名称は、空海がこの地で星に除災求福を祈る法会の星供養を行ったことに由来すると伝えられている。『四国遍路道指南(みちしるべ)』(貞享4年〈1687〉)に「いしづち山の前札所鉄(かね)のとりゐ」の記載がみられることから、遅くとも江戸時代前期には鉄の鳥居が設けられていたことが窺われる。『四国遍路名所図会』(寛政12年〈1800〉)には、石鎚山に向かって尾根の鞍部に鳥居が描かれ「石鈇山遥拝」と記されており、また、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した探険家の松浦武四郎(1818-1888)が天保7年(1836)に四国八十八箇所霊場を巡った旅を記した紀行文『四国遍路道中雑誌』(弘化元年〈1844〉)にも「横峯山眺望」と題する挿絵の中に同様の構図を描いている。 星ヶ森は、石積みによって南北方向14.8m、東西方向11.6mの平場を成し、石鎚山を望む南辺には鉄の鳥居、西辺には東向きに石龕(せきがん)を配置する。鳥居の鉄の柱は径5.5cm、石鎚山に向かって右側で高さ159.2cm、左側で143.8cm、幅133.5cmを測り、やや右上に伸びるような特徴的な意匠を呈している。平たい石を積み重ねてつくられた石龕には、石造の弘法大師坐像が安置され、いまも拝所として存続している。石鎚山遥拝所として築かれてきたこうした設えは、信仰に関連する展望地点としての優れた風情を際立たせている。 以上のように、星ヶ森(横峰寺石鎚山遥拝所)は、霊峰石鎚山を北側から南方に向かって遥拝する固有の展望地点として江戸時代以来の名所で、石積みを伴って形成された平場には鉄の鳥居や石龕などが設えられており、信仰に関連する優れた風致景観を観賞する場として重要であり、名勝に指定して保護を図ろうとするものである。