国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
日向岬の柱状節理
ふりがな
:
ひゅうがみさきのちゅうじょうせつり
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種別1
:
天然記念物
種別2
:
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
1929123.19 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
特別区分
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指定年月日
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2018.02.13(平成30.02.13)
特別指定年月日
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追加年月日
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指定基準
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所在都道府県
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宮崎県
所在地(市区町村)
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宮崎県日向市
保管施設の名称
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所有者種別
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所有者名
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管理団体・管理責任者名
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解説文:
詳細解説
日向岬は宮崎県日向市の細島(ほそしま)半島に位置する。高さ約50mの断崖を含む複雑なリアス海岸が約4.5kmにわたって連続しており,太平洋からの波による侵食で入り組んだ海岸が形成されている。岩石はかつて発生した大規模な火山活動の痕跡である。
今から約1,500万年前,現在の日向岬沖で火山が形成され,マグマの破片と高温の気体が混合して山の斜面を下る現象である火砕流が発生した。この堆積物は,地表に堆積すると自重と熱によって溶結し,冷却する際に断面が四角形や六角形の亀裂が発達して柱状の形状となった。こうして形成されたのが柱状節理であり,亀裂に沿って岩石が侵食され崩落するため,断崖と入り組んだ海岸が形成された。さらに,日向岬の柱状節理は,尾(お)鈴山(すずやま)火山―深成複合岩体の主要な構成要素であり,現在よりも火山前線が海溝側に位置していたことを示す貴重な標本である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
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解説文
日向岬は宮崎県日向市の細島(ほそしま)半島に位置する。高さ約50mの断崖を含む複雑なリアス海岸が約4.5kmにわたって連続しており,太平洋からの波による侵食で入り組んだ海岸が形成されている。岩石はかつて発生した大規模な火山活動の痕跡である。 今から約1,500万年前,現在の日向岬沖で火山が形成され,マグマの破片と高温の気体が混合して山の斜面を下る現象である火砕流が発生した。この堆積物は,地表に堆積すると自重と熱によって溶結し,冷却する際に断面が四角形や六角形の亀裂が発達して柱状の形状となった。こうして形成されたのが柱状節理であり,亀裂に沿って岩石が侵食され崩落するため,断崖と入り組んだ海岸が形成された。さらに,日向岬の柱状節理は,尾(お)鈴山(すずやま)火山―深成複合岩体の主要な構成要素であり,現在よりも火山前線が海溝側に位置していたことを示す貴重な標本である。
詳細解説▶
詳細解説
日向岬は宮崎県北部の細島(ほそしま)半島東部に位置し、断崖が続く海食崖である。東端の岬から伊勢ヶ浜までの約4.5kmでは、高さ50mの断崖を含む深く複雑なリアス海岸を形成する。断崖を構成する岩石は主にデイサイト質の溶結凝灰岩から形成され、柱を束ねたような亀裂が規則的に発達する柱状節理に特徴づけられる。これらは、かつての大規模な火山活動の痕跡であり、日向灘からの波による侵食を被ることで良好に露出している。 日向岬周辺には、今から約1,500万年前の新第三紀中新世に活発化した大規模な火成活動の痕跡である尾鈴山酸性岩体が分布する。当岩体は、紀伊半島の熊野酸性岩体などとともに、日本海形成時に現在の火山前線よりも海溝側で発生したカルデラ火山活動の産物であること、その露出状況が良いことなどから、その活動の順序や噴火のメカニズムなどについて良く調べられている。中でも、日向岬を構成する溶結凝灰岩は、マグマの破片と高温の気体が混合し、カルデラを埋めた火砕流堆積物であり、尾鈴山酸性岩体を形成した火山活動のうちカルデラの中心部分を構成する噴出物として位置づけられている。 日向岬の柱状節理は、火砕流が地表に堆積した後に自重と熱によって溶結し、冷却する際に収縮し、断面が四角形から六角形の規則的な亀裂が発達して柱状の体を成したもので、細島半島の海岸線で連続的に露出する。一部には、これらを貫入する花崗閃緑斑岩や火山角礫岩も分布する。 さらに、この岩体に東北東―西南西及び北北西―南南東方向の直交する古い小断層が発達する。入り込んだ海岸地形は、この断層に沿って選択的に海岸侵食が進行することで形成されたと考えられる。 以上のように、日向岬の柱状節理は、現在よりも火山前線が海溝側に位置していた中新世の大規模噴火の痕跡である尾鈴山酸性岩体を特徴付けるものであり、その学術上価値は高い。また、その岩石の緻密な性質と海岸侵食によって、海面から50mの高さで屹立する崖が維持され、美しい景観を成している。したがって、天然記念物に指定して保存しようとするものである。