国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
登録記念物
主情報
名称
:
絲原氏庭園
ふりがな
:
いとはらしていえん
解説表示▶
種別1
:
登録記念物(名勝地関係)
種別2
:
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
4195.4 m
2
その他参考となるべき事項
:
登録番号
:
登録年月日
:
2018.10.15(平成30.10.15)
追加年月日
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登録基準
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所在都道府県
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島根県
所在地(市区町村)
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保管施設の名称
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所有者種別
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所有者名
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管理団体・管理責任者名
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解説文:
詳細解説
江戸時代に松江藩の鉄師(てつし)頭取(とうどり)を務めた絲原氏の住宅に,近代に造られた庭園で,奥出雲町の中央部に位置する。絲原氏が現在地に居を構えたのは江戸時代で,庭園がほぼ今の形になったのは,大正末期に主屋(登録有形文化財)が新築された頃と考えられる。部分的な改修はあるものの,空間構成は大きく変わることなく現在まで維持されている。
主屋書院の東面には,二つの短冊石を少しずらして平行に並べ,その近くに飛石として臼石を設置している。これは,近世末以降の出雲地方の他の庭園にもよく見られる意匠である。書院の南面には,右側手前に松江市にある茶室「向月亭(こうげつてい)」の写し「為楽庵(いらくあん)」が建ち,書院とつながる。左手には池泉が奥に向かって伸びる。池泉の右は山の斜面となっているが,この斜面を庭園に取り込み,景石,ツツジ類などの低木,石塔等を配している。斜面下部には,池泉へと注ぐ滝が設けられ,その周辺にキャラボクが植栽されている。キャラボクの植栽も出雲地方の庭園の特色の一つと言える。
絲原氏庭園は出雲地方に大正末期に造られた庭園で,地域の特色ある意匠や植栽が見られ,造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
解説文
江戸時代に松江藩の鉄師(てつし)頭取(とうどり)を務めた絲原氏の住宅に,近代に造られた庭園で,奥出雲町の中央部に位置する。絲原氏が現在地に居を構えたのは江戸時代で,庭園がほぼ今の形になったのは,大正末期に主屋(登録有形文化財)が新築された頃と考えられる。部分的な改修はあるものの,空間構成は大きく変わることなく現在まで維持されている。 主屋書院の東面には,二つの短冊石を少しずらして平行に並べ,その近くに飛石として臼石を設置している。これは,近世末以降の出雲地方の他の庭園にもよく見られる意匠である。書院の南面には,右側手前に松江市にある茶室「向月亭(こうげつてい)」の写し「為楽庵(いらくあん)」が建ち,書院とつながる。左手には池泉が奥に向かって伸びる。池泉の右は山の斜面となっているが,この斜面を庭園に取り込み,景石,ツツジ類などの低木,石塔等を配している。斜面下部には,池泉へと注ぐ滝が設けられ,その周辺にキャラボクが植栽されている。キャラボクの植栽も出雲地方の庭園の特色の一つと言える。 絲原氏庭園は出雲地方に大正末期に造られた庭園で,地域の特色ある意匠や植栽が見られ,造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。
詳細解説▶
詳細解説
絲原氏庭園は江戸時代に松江藩の鉄師頭取を務めた絲原氏の住宅に、近代に造られた庭園である。絲原氏は江戸時代から大正末期まで「湯之廻(ゆのさこ)」の屋号で製鉄業を営んだ。 絲原氏の住宅は奥出雲町のほぼ中央に位置する。絲原氏が現在地に居を構えたのは寛政10年(1798)で、江戸時代の居宅にも庭園が造られていたことが絵図からわかる。絵図には池が描かれているが、後に改修を受けており、ほぼ現在の形になったのは、大正末期に主屋(登録有形文化財)が新築された頃と考えられる。その後昭和8年(1933)に大徳寺真珠庵の茶室「庭玉軒(ていぎょくけん)」の写しが池の奥に建てられた。庭橋の移設や園路の一部変更等の部分的な改修はあるものの、古写真と現況を比べると、空間構成は大きく変わることなく現在まで維持されている。なお、「庭玉軒」の写しは平成になってから庭園の外の高台に移築された。 主屋書院の東面には、2つの短冊石を少しずらして平行に並べ、その近くに飛石として臼石を設置している。これは、近世末以降に作庭された出雲地方の他の庭園にもよく見られる意匠である。書院の南面には、右側手前に松江市にある茶室「向月亭(こうげつてい)」の写し「為楽庵(いらくあん)」が建ち、書院とつながる。左手には池泉が奥に向かって伸びる。池泉の右は山の斜面となっているが、この斜面を庭園に取り込み、景石、ツツジ類などの低木、石塔等を配している。斜面下部には、池泉へと注ぐ滝が設けられ、その周辺にキャラボクが植栽されている。キャラボクの植栽は出雲地方の豪雪地帯に造られた庭園においてよく見受けられ、本地方の庭園の特色の一つと言える。 以上のように、絲原氏庭園は出雲地方に大正末期に造られた庭園で、地域の特色ある意匠や植栽が見られ、造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。