国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要文化的景観
主情報
名称
:
奥飛鳥の文化的景観
ふりがな
:
おくあすかのぶんかてきけいかん
稲渕の棚田
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種別1
:
重要文化的景観
種別2
:
面積
:
その他参考となるべき事項
:
選定番号
:
選定年月日
:
2011.09.21(平成23.09.21)
追加年月日
:
選定基準
:
所在都道府県
:
奈良県
所在地(市区町村)
:
奈良県高市郡明日香村
稲渕の棚田
解説文:
詳細解説
明日香村の中央部を貫流し大和川へ注ぐ飛鳥川の源流域では、スギ・ヒノキ・サワラが卓越する深い植林地の中に集落・農地が営まれている。奥飛鳥地域の記録は皇極天皇元年(642)に遡ることができ、中世末期には入(にゆう)谷(だに)・栢(かやの)森(もり)・稲(いな)渕(ぶち)・畑(はた)の四大字が飛鳥川上流域のムラとして成立したとされる。地域ではハギやヤマブキなどいわゆる万葉植物の植生も卓越しており、豊かな生態系が育まれている。飛鳥川沿いに展開する河岸段丘面上や山裾、山の緩斜面上には、小規模な集落が展開する。いずれも斜面地に平場を造成するために、飛鳥川の川石や山を切り開いた際に出土した石材を用いた石積みを伴う。集落の中には、急傾斜の茅葺き屋根と緩傾斜の瓦葺き屋根を有した落棟とを組み合わせた大和棟の民家が点在しており、石積みと併せて独特の集落景観を形成している。地域では主に農業が営まれており、特に稲渕では地域でも有数の広さを誇る棚田が形成されている。棚田には15世紀に遡るとされる井(い)手(で)によって水が供給されており、最長3.8kmを誇る大井手をはじめ数10本の井手が耕作者によって管理されている。地域では集落から飛鳥川に降りる階段を設えたアライバが現在も機能しており、また盆迎え・盆送りが飛鳥川を通じて行われるなど、飛鳥川と強く結びついた生活が営まれている。
このように、奥飛鳥の文化的景観は、飛鳥川上流域において展開される、地形に即して営まれてきた居住の在り方と、農業を中心とした生業の在り方とを示す価値の高い文化的景観である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
稲渕の棚田
稲渕の棚田
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稲渕の棚田
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稲渕の棚田
解説文
明日香村の中央部を貫流し大和川へ注ぐ飛鳥川の源流域では、スギ・ヒノキ・サワラが卓越する深い植林地の中に集落・農地が営まれている。奥飛鳥地域の記録は皇極天皇元年(642)に遡ることができ、中世末期には入(にゆう)谷(だに)・栢(かやの)森(もり)・稲(いな)渕(ぶち)・畑(はた)の四大字が飛鳥川上流域のムラとして成立したとされる。地域ではハギやヤマブキなどいわゆる万葉植物の植生も卓越しており、豊かな生態系が育まれている。飛鳥川沿いに展開する河岸段丘面上や山裾、山の緩斜面上には、小規模な集落が展開する。いずれも斜面地に平場を造成するために、飛鳥川の川石や山を切り開いた際に出土した石材を用いた石積みを伴う。集落の中には、急傾斜の茅葺き屋根と緩傾斜の瓦葺き屋根を有した落棟とを組み合わせた大和棟の民家が点在しており、石積みと併せて独特の集落景観を形成している。地域では主に農業が営まれており、特に稲渕では地域でも有数の広さを誇る棚田が形成されている。棚田には15世紀に遡るとされる井(い)手(で)によって水が供給されており、最長3.8kmを誇る大井手をはじめ数10本の井手が耕作者によって管理されている。地域では集落から飛鳥川に降りる階段を設えたアライバが現在も機能しており、また盆迎え・盆送りが飛鳥川を通じて行われるなど、飛鳥川と強く結びついた生活が営まれている。 このように、奥飛鳥の文化的景観は、飛鳥川上流域において展開される、地形に即して営まれてきた居住の在り方と、農業を中心とした生業の在り方とを示す価値の高い文化的景観である。
詳細解説▶
詳細解説
明日香村の中央部を貫流し大和川へ注ぐ飛鳥川の源流域では、スギ・ヒノキが卓越する深い植林地の中で集落・農地が営まれている。奥飛鳥地域の記録は皇極天皇元年(642)に遡ることができ、中世末期には入(にゆう)谷(だに)・栢(かやの)森(もり)・稲(いな)渕(ぶち)・畑(はた)の四大字が飛鳥川上流域の「ムラ」として成立していたとされる。地域ではハギやヤマブキなどいわゆる万葉植物の植生も卓越しており、豊かな生態系が育まれている。 飛鳥川沿いに展開する河岸段丘の段丘面上や山の緩斜面上には、小規模な集落が展開する。いずれも斜面地に平場を造成するために、飛鳥川の川石や山を切り開いた際に出土した石材を用いた石積みを伴う。集落の中には、急傾斜の茅葺き屋根と緩傾斜の瓦葺き屋根を有した落棟(おちむね)とを組み合わせた大和(やまと)棟(むね)の民家が点在しており、石積みと併せて独特の集落景観を形成している。 地域では、主に農業が営まれている。特に稲渕では地域でも有数の広さを誇る棚田が形成されており、現在も耕作が継続されている。棚田には、15世紀に遡るとされる井(い)手(で)によって水が供給されており、最長3.8kmを誇る大(おお)井(い)手(で)をはじめ数10本の井手が耕作者によって管理されている。農業に関連してさまざまな神事が飛鳥川を舞台に行われており、また集落から河岸の階段を下りて飛鳥川に設えたアライバで洗いものをするなど、流域における日常的な生活・生業と飛鳥川との結びつきは強い。 このように、奥飛鳥の文化的景観は、飛鳥川上流域において展開される、地形に即して営まれてきた居住の在り方と、農業を中心とした生業の在り方とを示す価値の高い文化的景観である。しかしながら、現在は過疎化による空き家の増加や、後継者不足による耕作放棄地の発生など、地域共同体を維持していく上で課題が生じている。そのため、当該地域における生活・生業を維持し当該文化的景観を保存・活用するため、明日香村は文化的景観保存調査を実施し文化的景観保存計画を策定した。調査では景観単位として、山間の傾斜地に形成された棚田をはじめとする農地及び山林、灌漑のため形成された井手をはじめとする河川及び水路、石積みと大和棟家屋とを特徴とする居住地が析出された。また、保存計画では、重要な構成要素として棚田・石積みなど11件の不動産が特定されている。これらに基づき、今次選定申出が行われた当該文化的景観について重要文化的景観に選定し、その保存・活用を図るものである。