国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
重要文化的景観
主情報
名称
:
五島列島における瀬戸を介した久賀島及び奈留島の集落景観
ふりがな
:
ごとうれっとうにおけるせとをかいしたひさかじまおよびなるしまのしゅうらくけいかん
田ノ浦集落:石積み護岸
写真一覧▶
地図表示▶
解説表示▶
種別1
:
重要文化的景観
種別2
:
面積
:
その他参考となるべき事項
:
選定番号
:
選定年月日
:
2011.09.21(平成23.09.21)
追加年月日
:
2022.03.15(令和4.03.15)
選定基準
:
所在都道府県
:
長崎県
所在地(市区町村)
:
長崎県五島市
田ノ浦集落:石積み護岸
解説文:
詳細解説
五島列島中南部に位置する久賀島では、島の外延部を形成する標高2~300m級の山々から中央部の久賀湾に流入する河川が下流域に緩やかな傾斜の沖積地を形成しており、五島列島では珍しい棚田が営まれている。一方、島の外周は急峻な山々がそのまま海に沈み込む地形となっており、特に海流や季節風の影響を受けやすい島の西側には、急峻な海食崖が発達している。久賀湾に面した緩傾斜地には棚田耕作を生業とする比較的規模の大きい集落が形成される一方、急傾斜地が卓越する外海側には小規模な集落が形成され、段々畑での耕作や漁業が営まれてきた。また、外海に面し季節風が当たる地域を中心にヤブツバキの自生地が卓越している。現在も島内に2箇所のヤブツバキ原始林が展開するほか、集落から離れた自生地とは別に居住地近傍や耕作地の周辺にヤブツバキが植栽され、古くから利用されてきた。ヤブツバキの木質は堅く緻密で均質であり、木目はあまり目立たず摩耗に強い特質から、工芸品・細工物に使われてるほか、日本酒製造用の木灰、含有アルミニウム分を活用した染色、高品質の木炭、整髪用・美容食用・燃料用の油など様々な利用が行われてきた。
このように、五島久賀島の文化的景観は、地形条件に応じて形成された集落及びその生活・生業の在り方、また島内に2箇所のヤブツバキ原始林をはじめ、外海側に発達するヤブツバキ林・集落近傍に植栽されたツバキ樹とその利用によって特徴付けられる、価値の高い文化的景観である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
田ノ浦集落:石積み護岸
蕨集落全景
カンコロ棚
写真一覧
田ノ浦集落:石積み護岸
写真一覧
蕨集落全景
写真一覧
カンコロ棚
Loading
Zeom Level
Zoom Mode
解説文
五島列島中南部に位置する久賀島では、島の外延部を形成する標高2~300m級の山々から中央部の久賀湾に流入する河川が下流域に緩やかな傾斜の沖積地を形成しており、五島列島では珍しい棚田が営まれている。一方、島の外周は急峻な山々がそのまま海に沈み込む地形となっており、特に海流や季節風の影響を受けやすい島の西側には、急峻な海食崖が発達している。久賀湾に面した緩傾斜地には棚田耕作を生業とする比較的規模の大きい集落が形成される一方、急傾斜地が卓越する外海側には小規模な集落が形成され、段々畑での耕作や漁業が営まれてきた。また、外海に面し季節風が当たる地域を中心にヤブツバキの自生地が卓越している。現在も島内に2箇所のヤブツバキ原始林が展開するほか、集落から離れた自生地とは別に居住地近傍や耕作地の周辺にヤブツバキが植栽され、古くから利用されてきた。ヤブツバキの木質は堅く緻密で均質であり、木目はあまり目立たず摩耗に強い特質から、工芸品・細工物に使われてるほか、日本酒製造用の木灰、含有アルミニウム分を活用した染色、高品質の木炭、整髪用・美容食用・燃料用の油など様々な利用が行われてきた。 このように、五島久賀島の文化的景観は、地形条件に応じて形成された集落及びその生活・生業の在り方、また島内に2箇所のヤブツバキ原始林をはじめ、外海側に発達するヤブツバキ林・集落近傍に植栽されたツバキ樹とその利用によって特徴付けられる、価値の高い文化的景観である。
詳細解説▶
詳細解説
五島列島中南部に位置する久賀島は、湾口を北に開いた久賀湾が島の中央部まで食い込んだ馬蹄形を成している。島の外延部を形成する標高2~300m級の山々から久賀湾に流入する河川は下流域に緩やかな傾斜の沖積地を形成しており、五島列島では珍しい棚田が営まれている。一方、島の外周は急峻な山々がそのまま海に沈み込む地形となっており、特に海流や季節風の影響を受けやすい島の西側には、急峻な海食崖が発達している。こうした独特の地形条件は、久賀島の集落における居住地形成に大きく影響した。久賀湾に面した緩傾斜地には棚田耕作を生業とする比較的規模の大きい集落が形成される一方、急傾斜地が卓越する外海側には小規模な集落が形成され、段々畑での耕作や漁業が営まれてきた。 久賀島では、外海に面し季節風が当たる地域を中心にヤブツバキの自生地が卓越している。現在も島内に2箇所のヤブツバキ原始林が展開するほか、集落から離れた自生地とは別に居住地近傍や耕作地の周辺にヤブツバキが植栽され、古くから利用されてきた。ヤブツバキの木質は堅く緻密で均質であり、木目はあまり目立たず摩耗に強い特質から、工芸品・細工物に使われている。また、日本酒製造用の木灰・含有アルミニウム分を活用した染色・高品質の木炭など様々な利用が行われてきたほか、実から採取される良質の油は整髪用・美容食用・燃料用など現在でも利用価値は高い。久賀島では古くから豊富なヤブツバキ資源を活用しており、村制時代のヤブツバキの伐採を制限する条例制定、「クチアケ」と呼ばれる採取日設定による集落の共同作業、「ドンザ」と呼ばれる作業着など、ツバキ生産に関わる伝統的な生業の在り方が現在も継続されている。 このように、五島市久賀島の文化的景観は、地形条件に応じて形成された集落及びその生活・生業の在り方、また島内に2箇所展開するヤブツバキ原始林をはじめ、外海側に発達するヤブツバキ林・集落近傍に自生するツバキ樹とその利用によって特徴付けられる、価値の高い文化的景観である。しかしながら、過疎化・高齢化により地域における生活・生業が徐々に変容しつつあるなど、問題も生じている。そのため、当該地域における生活・生業を維持し当該文化的景観を保存・活用するため、五島市は文化的景観保存調査を実施し文化的景観保存計画を策定した。調査では景観単位として、久賀島における生業の重要な位置を占めるツバキ林と、地形に応じて漁業・農業の生業選択を行った居住地が析出された。また、保存計画において、重要な構成要素として集落・ツバキ林など38件の不動産が特定されている。これらに基づき、今次選定申出が行われた当該文化的景観について重要文化的景観に選定し、その保存・活用を図るものである。