国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造無学祖元坐像
ふりがな
:
もくぞうむがくそげんざぞう
解説表示▶
員数
:
1躯
種別
:
彫刻
国
:
時代
:
鎌倉
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
3559
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2009.07.10(平成21.07.10)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
栃木県
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
雲巌寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
雲巌寺開山、高峰顕日の師である中国僧、無学祖元(1226~86)の像。その像容は円覚寺開山堂像(重要文化財)に倣いながら、それより一回り大きく造り、和らいだ表情などにも独自性が認められる。堅実な作行をみせる鎌倉時代肖像彫刻の秀作である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
雲巌寺開山、高峰顕日の師である中国僧、無学祖元(1226~86)の像。その像容は円覚寺開山堂像(重要文化財)に倣いながら、それより一回り大きく造り、和らいだ表情などにも独自性が認められる。堅実な作行をみせる鎌倉時代肖像彫刻の秀作である。
詳細解説▶
詳細解説
無学祖元(仏光国師、一二二六~八六)の頂相彫刻で、法嗣である雲巌寺中興開山、高峰顕日【こうほうけんにち】(仏国国師)像(今回、同時に重要文化財に指定)および同二世太平妙準(仏応禅師)像(室町時代)とともに本寺三仏堂に安置される。 檜材の寄木造で、玉眼を嵌入する。頭体別材製で、頭部は耳前を通る線で前後矧になり、襟際で体部に差し込む。体幹部は背面襟を通る線で前後矧。両肩外側部各一材。両足部横一材。衣垂下部(正面大略一材、左側面大略三材、右側面は大略二材)ほかを寄せる。体部内刳は像底に抜け、底板を張る。表面は布貼錆下地黒漆塗彩色仕上。彩色文様は上衣襟に金泥の五弁花の折枝文散らし、縁に沿い金泥で半切花菱文。袈裟は田相部のところどころに雲文(色不明)を認める。 その像容は、無学祖元の生前ないし没後間もない時期の製作とみられる神奈川・円覚寺開山堂像(重要文化財)とよく似ている。すなわち、その目鼻立ちや後頭部の出っ張るさま、やや特徴的な耳の形はもとより、右手に握り持った払子を左手で承け、背筋を深く屈した体勢が共通し、正面観での衣文【えもん】構成も、小異はあるものの大略一致する。このことから本像は円覚寺像を規範として造られたとみられる。ただしその表現は、拝者に向かってくるような迫力に満ちた円覚寺像に比べてよほど穏やかなものとなっている。たとえば円覚寺像の著衣が襞に肉をもたせ、変化のある力強い表現をみせるのに対し、本像ではより均質で単純化された面構成を行っている。技分かれする稜線を主体とする衣文表現は高峰顕日像とも共通し、鎌倉地方を中心とする鎌倉時代から南北朝時代の彫像によくみられるものであることから、両像ともに東国で活動した仏師の手になると思われる。 高峰顕日像とほぼ像高を同じくするが、上体を深く前傾させているため体軀は一まわり大きい。これは高峰顕日が師の姿を自身の像より大きく造らせたと想像され、このことは製作時期の下限を同人没年の正和五年(一三一六)に置く理由となろう。 円覚寺像に倣っての造像という性格もあってか、迫真性において高峰顕日像に及ばぬものの、堅実な作行【さくゆき】をみせる鎌倉時代肖像彫刻の佳品である。