国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
絹本著色春日鹿曼荼羅図
ふりがな
:
けんぽんちゃくしょくかすがしかまんだらず
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員数
:
1幅
種別
:
絵画
国
:
日本
時代
:
鎌倉
年代
:
14世紀
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
縦76.6 横40.4
品質・形状
:
絹本著色・掛幅装
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
2100
枝番
:
0
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2019.07.23(令和1.07.23)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
奈良県
所在地
:
奈良県奈良市登大路町50
保管施設の名称
:
奈良国立博物館
所有者名
:
独立行政法人国立文化財機構
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
御蓋山の麓にひろがる春日大社の境内を、大きな鹿を描くことで象徴的にあらわした作例。鹿の背中には神の依り代である榊を描き、その枝先に春日の神々の仏菩薩としての姿をあらわす。とくに鹿や自然景に対する細やかで引き締まった描写に優れた佳品である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
御蓋山の麓にひろがる春日大社の境内を、大きな鹿を描くことで象徴的にあらわした作例。鹿の背中には神の依り代である榊を描き、その枝先に春日の神々の仏菩薩としての姿をあらわす。とくに鹿や自然景に対する細やかで引き締まった描写に優れた佳品である。
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詳細解説
鎌倉時代に盛行した本地垂迹説に基づく垂迹画の佳品で、春日神の使いとされる白鹿が金銀に輝く雲に乗って浮かぶさまが幻想的に描かれる。鹿の手前には春日社の一ノ鳥居、背後には御蓋山と隣接する若草山の山裾、その奥には春日山が描かれる。鹿の鞍の上には金色の円相を背景として藤のからまった榊の枝が描かれ、その枝先には春日社の一宮から四宮および若宮に祀られる神々の本地仏五尊(一宮=釈迦如来、二宮=薬師如来、三宮=地蔵菩薩、四宮=十一面観音菩薩、若宮=文殊菩薩)が実際の社殿の配置に沿うように配される。神護景雲二年(七六八)に武甕槌神が白鹿に乗って常陸国鹿島から大和国御蓋山に移座したという伝説に基づきながら、榊を背負った鹿と本地仏五尊で一ノ鳥居より先の春日社の境内全体を象徴的にあらわすような趣向となっている。 類例としては「絹本著色春日鹿曼荼羅図」(重要文化財、京都・陽明文庫)が十三世紀にさかのぼる作として知られる。これが一ノ鳥居と本地仏をあらわさず、榊につけられた紙垂を風になびかせることで神の影向を暗示する、春日明神影向図とも称しうる趣向であるのに対し、本図では春日社と本地仏五尊が明示され、春日曼荼羅図としての性格がより明確になっている。その点では数ある南北朝時代以降の鹿曼荼羅図に近い。しかし、南北朝時代以降の作例では榊に円鏡を掛ける形式が一般的で、本図のように金の円相が榊および本地仏五尊の光背のように描かれることは類例をみない。本図は円鏡を掛ける形式が一般化する以前の過渡的な様相を示しているとも考えられよう。 本図の鹿や榊、背景の自然の細やかで引き締まった描写や、本地仏に見られる端正で精緻な表現を勘案すると、本図の制作は鎌倉時代後期・十四世紀と考えられ、三十件以上が知られる春日鹿曼荼羅図の中で鎌倉時代にさかのぼる数少ない古作と評価することができる。