国宝・重要文化財(美術工芸品)
 主情報
名称 灰釉長頸瓶
ふりがな かいゆうちょうけいへい
灰釉長頸瓶
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員数 1口
種別 工芸品
日本
時代 奈良時代
年代
西暦
作者
寸法・重量 高55.0 口径24.2 胴径36.5 高台径24.5(㎝)
品質・形状 底に台状の高台を付けた須恵器の長頸瓶で、素地はやや砂質で灰白色陶胎をなし、紐造り成形後に轆轤整形している。口頸部は大きく外に開いて立ち上がり端部は大きく外反して口縁を丸く仕上げており、二重沈線が三段に巡っている。胴部は肩が強く張って稜を作り出し一条の凸線を巡らしており、その下方に太い櫛歯刺突文を二段に鋸歯状に巡らしている。胴部は箆削り調整を施しているが一部に叩き成形時の平行叩きの痕跡が残されている。底は丸底とし中央が大きく下がっており、強く外に開いて台状の高台を付けている。口頸部から肩全体に褐緑色の自然釉が厚く掛かっている。
ト書 三重県蟹穴古墳出土
画賛・奥書・銘文等
伝来・その他参考となるべき事項
指定番号(登録番号) 02590
枝番 00
国宝・重文区分 重要文化財
重文指定年月日 1999.06.07(平成11.06.07)
国宝指定年月日
追加年月日
所在都道府県 東京都
所在地 東京国立博物館 東京都台東区上野公園13-9
保管施設の名称 東京国立博物館
所有者名 独立行政法人国立文化財機構
管理団体・管理責任者名
灰釉長頸瓶
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解説文:
須恵器の長頸瓶としては最大の作品で、奈良・平安時代の須恵器としても最大級である。大きな焼け歪みもなくわずかに焼成時の亀裂が肩に見られるのみで、肩全体に厚く掛かった自然釉もよく熔けて見事な褐緑色を呈している。
 大正十年二月二十四日に三重県鳥羽市答志町に所在する蟹穴古墳から地元の川原松蔵氏により発見され、同時に出土した七世紀前期に比定される別の長頸瓶と坏とともに大正十二年に帝室博物館に寄贈されたものである。
 なお、蟹穴古墳は径約一一メートル、高さ約一・五メートルの円墳で内部主体は横穴式石室である。
 本作品は、やや砂質で灰白色を呈する胎土や透明感のある自然釉の発色などからみて、現在の岐阜県各務原市から岐阜市にかけて展開する美濃須衛窯で製作されたと推測され、型式的には「美濃国」刻印須恵器を製作した老洞窯(七一〇-三〇年ころ操業)に先行するもので、奈良初期に位置づけられるものである。尾張や美濃では七世紀末から八世紀前期にかけて、本作品のように長頸瓶などの器種できわめて大形の特殊な製品を製作しており、老洞窯においても同様な大型長頸瓶などが製作されている。用途としては本例のように古墳への副葬(追葬)を含めた祭祀等に用いられたと推測される。
 本作品は、大作で堂々とした形姿に自然釉が見事に掛かった奈良・平安時代の須恵器を代表する遺例として貴重である。
関連情報
    (情報の有無)
  附指定 なし
  一つ書 なし
  添付ファイル なし