国宝・重要文化財(美術工芸品)
 主情報
名称 私家集
ふりがな しかしゅう
私家集 実方中将集
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員数 4巻、83冊、196帖
種別 書跡・典籍
日本
時代 平安
年代
西暦
作者
寸法・重量
品質・形状
ト書
画賛・奥書・銘文等
伝来・その他参考となるべき事項
指定番号(登録番号) 02523
枝番 00
国宝・重文区分 重要文化財
重文指定年月日 2002.06.26(平成14.06.26)
国宝指定年月日
追加年月日
所在都道府県 京都府
所在地
保管施設の名称
所有者名 公益財団法人冷泉家時雨亭文庫
管理団体・管理責任者名
私家集 実方中将集
写真一覧
解説文:
 冷泉家時雨亭文庫の典籍については、平成十二年に勅撰和歌集の一括指定を行い、今回の指定では私家集をまとめたものである。ここでいう私家集は、勅撰集に対する個人の歌集をさす。
 冷泉家は、三代にわたって勅撰撰者を出した家柄である。『千載和歌集』の俊成、『新古今和歌集』『新勅撰和歌集』の定家、『続後撰和歌集』『続古今和歌集』の為家である。為家は為相に、俊成以来の典籍と荘園を遺言状にして譲与した。これらをもとに、為相は冷泉家をおこした。為相の兄為氏(一二二二-八六)は二条家をたて、鎌倉時代後期の歌壇の主流にいた。所領の細川荘では二〇年間、二条家と冷泉家との間で相論があったことはよく知られている。
 本書の伝来過程を大まかに分類すると、①伝来本、②二条家本、③真観本(三井寺本)、④寄贈本に分けられる。
 ①伝来本は俊成・定家以来の典籍である。もとになったのは、定家が自らまとめた私家集目録『集目録』(もと折紙、既指定)に記載されている典籍である。定家が外題を書き付けた『下野集』などがある。
 ②二条家本は為氏系の典籍である。冷泉為邦は二条為明の養子となり、為邦の子で冷泉家当主為尹に為明蔵本を譲与した。さらに、二条家の断絶とともに同家典籍も冷泉家に収蔵された(『冷泉家古文書』)。
 ③真観本(三井寺本)は真観(一二〇三-七六)書写『範永朝臣集』等と三井寺関係僧の歌書である。とくに真観(葉室俊光)本は、真観と為家が勅撰集『続古今和歌集』(一一番目)の同じ撰者として歌壇で争った人物関係書である。真観の子定円が三井寺僧であったことにより、三井寺の理覚院に伝えられた。室町時代後期、理覚院は冷泉為広の子・応猷が院主のときに廃絶した。法統は聖護院に受け継がれたが、歌書類と荘園は冷泉家に収納された(『冷泉家古文書』理覚院関係文書)。
 ④寄贈本は、室町時代から江戸時代まで和歌宗匠として朝廷に仕え、また武家方をも指導した結果、『草根集』をはじめとした家集がもたらされた。
 以上のように、本書は鎌倉時代の歌壇を総括する私家集群である。さらに室町時代以降は、歴代当主の詠草や門人の一人である将軍家継の生母月光院(輝子)の歌集も含んでいる。また、貞享二年(一六八五)に霊元天皇が冷泉家の歌書を禁裏に運び書写したものが、禁裏本私家集の中心として、和歌研究の基本文献となっている。
 本書の冷泉家収蔵本は、私家集伝本のほとんどの祖本であり、和歌史研究の中核となるものである。
関連情報
    (情報の有無)
  附指定 なし
  一つ書 なし
  添付ファイル なし