国宝・重要文化財(美術工芸品)
 主情報
名称 木製漆塗彩色金銅種子装五輪塔(性海双円塔)
ふりがな もくせいうるしぬりさいしきこんどうしゅじそうごりんとう(しょうかいそうえんとう)
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員数 1基
種別 工芸品
日本
時代 鎌倉
年代
西暦
作者
寸法・重量 五輪塔 総高48.7 (㎝)
品質・形状 木製漆塗彩色。下より方、円、三角、半円、宝珠形を重ねた五輪塔。五輪それぞれは別個に作られ、地輪は丈低く、水輪はわずかに扁平、火輪は照り起りが鋭く、風輪の下部は火輪の上部に食い込み、空輪はしたぶくらとなっている。
 表面は、全体に下地として布着せを施し漆塗し、地輪は黄土(種子金物の下に認められる)、水輪は白土を塗布し、火輪は朱漆、風輪は黒漆仕上げとする。なお、空輪の彩色は不明。修理により、これまで油煙等で黒色を呈していた下から、五輪の各部が、地輪-黄(黄土カ)、水輪-白(白土)、火輪-赤(朱漆)、風輪-黒(黒漆)、空輪-青(白群カ)という五大の色で塗漆・彩色されていたことが判明した。
 各輪は上部から壺状の奉籠孔が刳られており、水、火、風、空輪の下部中央には枘が作り出され、各下の栓となり、空輪の頂辺は栓で蓋されている。また各々の内部に納入品がある。
 各輪の正面には大日如来法身真言の各種子を二ヶずつ、地、火輪は向かい合わせ、水、風、空輪は背中合わせに象った金銅金物を鋲止めしている。
ト書
画賛・奥書・銘文等
伝来・その他参考となるべき事項
指定番号(登録番号) 02545
枝番 00
国宝・重文区分 重要文化財
重文指定年月日 1993.06.10(平成5.06.10)
国宝指定年月日
追加年月日
所在都道府県 愛知県
所在地
保管施設の名称
所有者名 性海寺
管理団体・管理責任者名

解説文:
 五輪塔とは、宇宙の根源は地・水・火・風・空により形成されているとの五大思想を象徴的に形象化した塔である。
 修理に伴って解体した水・火輪の奉籠孔から、造立願文をはじめ様々な納入品が発見され、この五輪塔が当寺(性海寺)安穏、仏法興隆、衆生利益等を願い、弘安五年(一二八二)四月から六年四月までの一か年をかけて製作されたことが明らかとなり、その経緯についても詳かとなった。
 納入品の中心となるのは能作生珠で、この表面は塗漆しているがX線写真によれば内に金属製の合子が認められる。これは弘法大師の『御遺告』に記されたその製作法によれば、合子の内に舎利三二粒を納めるという。
 また吽字八万四千は種字の〓字を実際に八万四千字書写した紙である。吽字は密教においてすべての事物の究極の象徴であり、無限の功徳がここから生じ、また願い事が叶うとされており、数の無数なることを意味する八万四千字を書写することによってその完璧を期したことが知られる。
 二枚の天部形図像の典拠は詳かでないが、他の各種の真言・陀羅尼・曼荼羅等が有す護法・祈願の性格が強く感じられる。
 なおこれらを包んでいた錦裂は製作時期の明確な倭錦として貴重である。
 鎌倉時代の豪快な形態の特色をよく示し、工芸的にも完成されたきわめて特異・稀少な木製五輪塔として重要であるばかりでなく、その納入品の数々も仏教信仰資料として他に類が少なくその価値は高い。
関連情報
    (情報の有無)
  附指定
  一つ書
  添付ファイル なし