重要無形民俗文化財
 主情報
名称 新島の大踊
ふりがな にいじまのおおおどり
新島の大踊
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種別1 民俗芸能
種別2 風流
その他参考となるべき事項 ※本件は令和4年11月30日に「風流踊」の一つとしてユネスコ無形文化遺産代表一覧表に記載されている。
指定証書番号
指定年月日 2005.02.21(平成17.02.21)
追加年月日
指定基準1
指定基準2
指定基準3
所在都道府県、地域 東京都
所在地
保護団体名 新島大踊保存会、若郷大踊保存会
新島の大踊
写真一覧
解説文:
 新島の大踊は、東京都新島村本村【ほんそん】と若郷【わかごう】に伝承される小歌踊で、それぞれ盆に踊られており、本村では盆祭【ほんさい】祝儀踊、若郷では盆踊などとも称されている。大踊は、本村では八月十五日の夕方から長栄寺の境内で、若郷では八月十四日の晩に妙蓮寺の境内で踊られている。
 新島村は、東京から南方約一五〇キロメートルの太平洋に浮かぶ新島と式根島の二島からなり、本村と若郷はともに新島に位置する。本村は島のほぼ中央西側の海岸一帯を占める集落で、若郷は島の北部西側の海岸沿いに、宝永八年(一七一一)、本村より移住した者によって拓かれた集落である。
 大踊は男性が務めることになっている。踊り手はカバと呼ぶ布を周囲に垂らした笠をかぶり、紋服の着流しに角帯を締め、その上に細い真田紐を結ぶ。カバは本村では紫色、若郷では赤色である。腰には印籠【いんろう】を下げ、頭から背に色の鮮やかな下げ緒を長く垂らす。印籠は踊りの場に入る際の証となるもので、これを身に付けなければ踊りに加わることができない。踊り手以外の者も踊りの場に入る者は皆、必ず身に付ける。履物は履かず、白足袋はだしの姿である。
 本村では、踊りの場となる長栄寺に、長栄寺住職、宮司、村長等が迎えられ、最後に住職が着座すると檀家総代によってお茶が捧げられる。住職が茶碗を手に持つと「はいらっしゃい」と声がかかって、提灯に先導された大踊衆の一行が二列に並び境内へ進み始める。列の右側はカサボーロク(傘ぼーろく)、左側はカマ(鎌)を先頭に、笛、太鼓、歌い手、踊り手が続く。このときには笛と太鼓が囃される。境内には綱が廻らされて円形の踊りの場が設けられており、一行はその中に入ると左右二方向に分かれて場の縁に沿って進み、やがて先頭が出合うと踊り手以外は輪の内側を歩いて所定の位置に着く。踊り手はそのまま輪となり、大踊になる。踊りの場の内側と外側にはそれぞれ見張り役の者が付き、踊りの場へ人が入り込まないように、踊り手に不都合がないようにと注意を払う。一通り踊られると、たとえば「お福の踊りが所望だ」などと声がかかることもあり、このときには所望されたものを再び踊る。
 若郷では、カマを先頭に提灯、カサボーロク、太鼓、歌い手、踊り手の順に入場し、反時計回りに一回り歩いてから踊り手以外は輪を離れて大踊が始まる。踊りの最中は踊り師匠が踊り手の輪の外側にいて、踊り手の衣裳の乱れや輪の乱れを直す役目を負う。
 カサボーロクは、大きな傘の周囲にカバと呼ぶ幕を張り廻らしたもので、踊りの間中、立てておく。傘の内側には布地を細く切ったものや、鏡、鋏、鈴、息災を祈願して奉納された女性の髪を束ねたもの等が吊されている。また、若郷では、女性たちが身を清める意味でカバに自分の名前を書く。カマもカサボーロクと同様に踊りの間中、立てておく。これは長い棒の先に鎌が取り付けられているもので、本村では鎌に縄を巻いているが、若郷では巻かない。カサボーロクとカマは魔除けと考えられている。
 現在、踊られているのは、本村では「役所入り踊」「お福踊」「伊勢踊」の三演目で、若郷では「役所入踊」「備前踊」「青が丸」「伊勢踊」の四演目である。役所入り踊(役所入踊)と伊勢踊は本村と若郷の双方で伝承してきたが、お福踊は本村にのみ、また、備前踊、青が丸は若郷にのみ伝えられている。これらの演目には、室町小歌風の歌詞がみられ、その内容は恋愛を主題にしたものが多い。歌い手は母音を長く延ばした歌い方で歌う。一曲の終わりには太鼓が打ち鳴らされるが、それ以外では伴奏楽器は用いられず、歌い手の歌のみで踊られている。
 伝承されている演目のうち、伊勢踊は手踊であり、その他はすべて扇を手にしての踊りである。扇の骨に人差し指を引っかけるようにし、そこに親指を添えて軽く持つようにすると、扇がゆったりと柔らかく動くのだという。大踊の踊り振りは独特であり、頻繁に出てくる動作には、つき扇、あおぎ、つっ込む、うっちゃる、すて扇、かかえ扇、すくい出し等という名称が付けられており、踊りはこれらの動作を組み合わせることによって構成されている。いずれの動作も歌詞の内容を表現するものではなく、歌詞と連動しない動きの連続となっている。若郷では、膝を曲げ、重心を低くし、大きくゆったりとうねるように踊る。本村では、若郷に比べて腰の位置がやや高く、扇を持っての動作もそれほど大きくはないなど、表現に相違はあるが、基本動作は共通している。踊りは役所入り踊(役所入踊)で始まり、最後は必ず伊勢踊で終わる。
関連情報
    (情報の有無)
  添付ファイル なし