国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
重要無形民俗文化財
主情報
名称
:
本海獅子舞番楽
ふりがな
:
ほんかいししまいばんがく
解説表示▶
種別1
:
民俗芸能
種別2
:
神楽
その他参考となるべき事項
:
公開日:各地区の神社祭礼ほか(指定当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
指定証書番号
:
指定年月日
:
2011.03.09(平成23.03.09)
追加年月日
:
指定基準1
:
(二)芸能の変遷の過程を示すもの
指定基準2
:
(三)地域的特色を示すもの
指定基準3
:
所在都道府県、地域
:
秋田県
所在地
:
保護団体名
:
本海獅子舞番楽伝承者協議会
上百宅(かみももやけ)講中(こうちゅう)
下百宅(しもももやけ)講中
上直根(かみひたね)講中
中直根(なかひたね)講中
前ノ沢(まえのさわ)講中
下直根(しもひたね)講中
猿倉(さるくら)講中
興屋(こうや)講中
二階(にかい)講中
天池(あまいけ)講中
八木山(やきやま)講中
平根(ひらね)講中
提鍋(さげなべ)講中
解説文:
詳細解説
本海獅子舞番楽は、古くから信仰対象になっていた鳥海山山麓の13地区で、それぞれ伝承される。17世紀に、本海行人あるいは本海坊と呼ばれた宗教者によって伝授されたと伝え、本海獅子舞や本海番楽と呼ばれることもある。
特に獅子舞を重視し、地区ごとに毎年1月に幕開きを行って1年間の活動を始め、9月あるいは11月や12月の幕納めで活動を締めくくる。その間、各地区の神社祭礼、8月の盆、秋の豊作祭りに演じ、特別に7月の虫追いや新築の家の火災除けに演じることもある。
獅子舞は、獅子頭を持つ者と、獅子の幕を持つ者の2名で演じ、他の山岳信仰を背景にした獅子舞と比較し、舞の動作は激しく、また歯打ちを何度も繰り返す。獅子舞以外の演目は「鳥舞【とりまい】」「翁【おきな】」などの儀式的な舞や「山の神」「剣之舞」などの神の舞、「曽我【そが】」「八島【やしま】」などの武士舞、「鐘巻【かねまき】」「橋引【はしひき】」などの女舞などと多様である。
本件は、鳥海山に対する信仰を背景に、激しい動作で、繰り返し歯を打ち鳴らす獅子舞を中心に、儀式的な舞や武士舞など多様な演目を伝承し、神社祭礼や盆など地域の人々の生活に深く関わって演じられるところに特色がある。
(※解説は指定当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
解説文
本海獅子舞番楽は、古くから信仰対象になっていた鳥海山山麓の13地区で、それぞれ伝承される。17世紀に、本海行人あるいは本海坊と呼ばれた宗教者によって伝授されたと伝え、本海獅子舞や本海番楽と呼ばれることもある。 特に獅子舞を重視し、地区ごとに毎年1月に幕開きを行って1年間の活動を始め、9月あるいは11月や12月の幕納めで活動を締めくくる。その間、各地区の神社祭礼、8月の盆、秋の豊作祭りに演じ、特別に7月の虫追いや新築の家の火災除けに演じることもある。 獅子舞は、獅子頭を持つ者と、獅子の幕を持つ者の2名で演じ、他の山岳信仰を背景にした獅子舞と比較し、舞の動作は激しく、また歯打ちを何度も繰り返す。獅子舞以外の演目は「鳥舞【とりまい】」「翁【おきな】」などの儀式的な舞や「山の神」「剣之舞」などの神の舞、「曽我【そが】」「八島【やしま】」などの武士舞、「鐘巻【かねまき】」「橋引【はしひき】」などの女舞などと多様である。 本件は、鳥海山に対する信仰を背景に、激しい動作で、繰り返し歯を打ち鳴らす獅子舞を中心に、儀式的な舞や武士舞など多様な演目を伝承し、神社祭礼や盆など地域の人々の生活に深く関わって演じられるところに特色がある。 (※解説は指定当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
本海獅子舞番楽は、秋田県由利本荘市鳥海町の13地区で、それぞれに伝承される神楽で、本海行人(ぎょうにん)と呼ばれる宗教者にちなむとされ、本海獅子舞あるいは本海番楽と呼ばれることもある。本海獅子舞番楽は、鳥海山を中心にした山岳信仰を背景に、特に獅子舞を重要視している。この獅子舞は、他の山岳信仰にかかわる獅子舞に比べて、動作が激しく、上下の歯を打ち合わせる歯打ちが多い。各地区の神社祭礼や盆、新築の家の火災除けなどに演じられる。獅子舞以外に、儀式的な演目や勇壮な武士舞などを伝承するところもある。 由利本荘市鳥海町は、日本海の海岸線から東に30kmほどの位置にあり、秋田県と山形県の県境にそびえる鳥海山の北東山麓にあたる。鳥海山は、出羽富士あるいは秋田富士とも呼ばれ、日本海を航海する船には格好の目印になり、また、たびたび噴火した記録がある活火山でもあって、古くから人々の信仰を集めた。この地の獅子舞番楽は、地元では寛永年間(1624年~1644年)頃に、本海行人あるいは本海坊という宗教者によって伝授されたものと伝える。また明暦4年(1658年)や元禄15年(1702年)の銘を持つ獅子頭が残ることから、現在の獅子舞番楽と同内容とは断定できないものの、この地で古くから獅子舞が行われていたことがうかがえる。 本海獅子舞番楽は、1月に幕開きを行って1年間の活動を始め、地区によって九月あるいは11月や12月に幕納めを行って1年間の活動を締めくくる。幕開きも、幕納めも、それぞれ地区内の家に講中の人々が集まり、獅子を拝した後に、獅子舞を舞う。本海獅子舞番楽は、各地区の神社祭礼で毎年、演じられる。例えば興屋では4月20日の白山神社、提鍋では4月28日の大日宮、上百宅では5月18日の御嶽神社、中直根では旧暦6月16日の神明社、八木山では6月第三日曜日の水神様などである。 また毎年7月に、虫追いとして、獅子をもって、地区から地区へと進み、途中の神社などで獅子舞をしながら、最後に川端までいく地区がある。8月の盆になると、御祓(おはら)い獅子あるいは盆(ぼん)獅子と呼ばれる獅子による健康祈願と家内安全などの祓いが行われる。各講中は、獅子を持って家々を廻り、座敷で獅子舞を舞ったあと、胴幕を肩にかけ、獅子頭(がしら)を構えて、座敷にすわっていならぶ家の人々の頭、肩などと噛んでいく。地区内の全戸をまわるため数日をかける地区があるが、最近は公民館などに地区の人々が集まって、一度にすませるところもある。 8月下旬から9月中旬にかけて、各地区ごとに、集落をあげて作祭りと呼ばれる豊作祭りが行われる。かつては民家が会場になったが、今は公民館などで、獅子舞を演じる。獅子舞に加えて、会場に幕をはって、その前で各種の演目を演じる地区もある。 神宮獅子は、一般に柱がらみと呼ばれている。新築の家の火災除け、いわゆる火伏せを主要な目的に行われる。新築の家の主要な柱に、薦(こも)を巻き付け、獅子が、その周囲を回りながら噛む次第がある。 本海獅子舞番楽は、笛と長胴枠(ちょうどうわく)付き締(しめ)太鼓、銅拍子(どびょうし)を伴奏に、歌にのせて舞われる。獅子舞は、獅子頭を持つ舞手(まいて)と背後で獅子の幕をさばく後(あと)幕とりの二人で演じる。後幕とりは、舞手に幕をくぐらせたり、幕を広げたり、舞手の動きに応じて、常に幕をさばく。獅子舞は、上下の顎(あご)を打ち合わせる歯打ち、獅子頭を左右に激しく振り返す所作、獅子頭を高くかかげて、ややうつむける所作を基本的な動作としている。他の山岳信仰を背景にした獅子舞と比較して、いずれの所作も激しく、歯打ちも何度も繰り返される。 獅子舞以外の演目は、儀式的な舞、神の舞、武士舞、女舞、道化舞に大きく区分される。各講中に伝わる各舞の詞章の記録からみれば、かつては、それぞれが20演目以上を伝承していたと考えられる。現在、最も多い下直根講中で16演目であるが、全体では25余りの演目を伝えている。儀式的な舞には「先(さき)番楽」「鳥舞」「翁(おきな)」「三番叟(さんばそう)」など、神の舞には「山の神」「三人立(だち)」「剣之舞」など、武士舞には「信夫(しのぶ)」「曾我」「熊谷(くまがい)」「八島」など、女舞には「若子(わかご)」「鐘巻(かねまき)」「橋引(はしひき)」「天女」など、道化舞には「もちつき」「番楽太郎」などがある。 (※解説は指定当時のものをもとにしています)