国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
登録無形民俗文化財
主情報
名称
:
吉野葛の製造技術
ふりがな
:
よしのくずのせいぞうぎじゅつ
乾燥中の吉野葛
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種別1
:
民俗技術
種別2
:
生産・生業
その他参考となるべき事項
:
登録番号
:
9
登録年月日
:
2026.03.24(令和8.03.24)
追加年月日
:
登録基準1
:
登録基準2
:
(二)発生若しくは成立又は変遷の過程を示すもの
登録基準3
:
所在都道府県、地域
:
奈良県
所在地
:
奈良県宇陀市、御所市
保護団体名
:
特定せず
乾燥中の吉野葛
解説文:
詳細解説
吉野葛の製造技術は、奈良県吉野地方に伝承されてきた、クズの根から抽出したデンプンで葛粉を製造する技術である。山中に自生するマメ科のクズは、根にデンプンを蓄積する習性をもっており、我が国では、これを冬季に採取し、精製することで、薬用や食用に利用してきた。
クズの根を細かく砕いてデンプンを取り出し、乾燥させで粗葛とした後、冷水に晒して不純物を丁寧に取り除く「吉野晒し」の工程を経て、白色の葛粉を完成させる。本件は、葛の製造技術の成立を示すものであるとともに、我が国におけるデンプンの採取・精製の技術を考える上で注目される。
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
乾燥中の吉野葛
吉野葛の精製工程
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乾燥中の吉野葛
写真一覧
吉野葛の精製工程
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解説文
吉野葛の製造技術は、奈良県吉野地方に伝承されてきた、クズの根から抽出したデンプンで葛粉を製造する技術である。山中に自生するマメ科のクズは、根にデンプンを蓄積する習性をもっており、我が国では、これを冬季に採取し、精製することで、薬用や食用に利用してきた。 クズの根を細かく砕いてデンプンを取り出し、乾燥させで粗葛とした後、冷水に晒して不純物を丁寧に取り除く「吉野晒し」の工程を経て、白色の葛粉を完成させる。本件は、葛の製造技術の成立を示すものであるとともに、我が国におけるデンプンの採取・精製の技術を考える上で注目される。
詳細解説▶
詳細解説
吉野葛の製造技術は、山林に生えるクズの根を採取し、これに含まれるデンプンを抽出・精製しながら葛粉を製造する技術である。17世紀初めに宇陀で本格的に製造が開始され、奈良県吉野地方を中心に伝承されている。 クズはマメ科のつる性多年草で、冬になると、光合成によって生成したデンプンを根に蓄える習性をもつ。クズの根の名称は、平安時代の『本草和名』にも登場するなど、我が国では古くからその効能への着目がなされてきた。そして根からデンプンを抽出・精製することで葛粉を製造し、薬や料理、菓子に用いてきた。 吉野地方は山林が多く、材料となるクズも豊富に自生している。他方で、クズは樹木にからみつくことで、杉などの生育に悪影響を及ぼす存在でもある。そのため、山に生えているクズを採取することは、山林所有者の利害と一致し、採取の許可も比較的容易に得ることができる。 クズの根の採取時期は、根にデンプンが蓄積される12月から翌年3月頃である。採取に従事する「堀り子」は、クズの生育状況を知り尽くした地元の住民が、農閑期の副業として担ってきた。 吉野葛の製造は、「堀り子」が山中でクズの根を探し出し、掘り起こすことから始まる。その際に好まれるのは、デンプンが多く含まれた、一抱えもある太い根である。採取した根は麓にある加工所に持ち帰り、丁寧に洗浄した後に粉砕機で細かく砕き、水で洗い流しながらデンプンを抽出する。これを集めて乾燥させたものが「粗葛」であり、古くから精製を専門に行ってきた宇陀や御所の製造業者に引き渡される。そして職人が冬期の冷たい水に「粗葛」を溶かし込み、撹拌と静置・沈殿を繰り返し行うことで不純物を分離させていく。この技術は「吉野晒し」と呼ばれ、葛粉が完全に白色になるまで行われる。精製が完了したら葛粉の固まりをレンガ状に切り出し、長期間乾燥させる。乾燥が進み、自然に砕けてくると完成である。