国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造千手観音立像
ふりがな
:
もくぞうせんじゅかんのんりゅうぞう
解説表示▶
員数
:
1躯
種別
:
彫刻
国
:
時代
:
平安
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
3588
枝番
:
0
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2012.09.06(平成24.09.06)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
福井県
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
高成寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
等身の千手観音像。檜とみられる針葉樹の一木造で、厚みのある太造りの体形や衣に刻まれる翻波式衣文などに、平安時代前期の特色を示している。若狭姫神社伝来と伝えられることから神仏習合に関わる像である可能性がある。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
等身の千手観音像。檜とみられる針葉樹の一木造で、厚みのある太造りの体形や衣に刻まれる翻波式衣文などに、平安時代前期の特色を示している。若狭姫神社伝来と伝えられることから神仏習合に関わる像である可能性がある。
詳細解説▶
詳細解説
等身、十一面十二臂【ひ】の千手観音立像である。その構造は髻頂【けいちょう】より地付【ぢつき】に至る頭躰幹部を、合掌手の過半と天衣【てんね】遊離部を含み木心を込めた一材より彫り出し内刳は施さず、これに頭上面や合掌手の手先、宝鉢手【ほうはつしゅ】、脇手等を矧ぐ。像容は腰まわりが太く、腹部がせり出すなど豊満な肉付けを施し、頭部をややうつむけ、裙裾を後方に引く動きのある側面観を示している。著衣には翻波式衣文【ほんばしきえもん】を表し、両脚間を深く彫り込んで大腿部の量感を強調している。これらの点には平安時代前期彫像の特徴がよく表れている。その一方で腹部に比べれば胸部は厚みを減じ、また翻波式衣文は間隔を均等にし、幾分形式的に整えられている。以上の特徴からその製作年代は九世紀半ばから後半におくべきかと考えられる。耳輪に髪がかかるのは大阪・孝恩寺跋難陀【ばなんだ】竜王像(重要文化財)にもみられ、幅の狭い眼や厚い上唇等の面貌表現に大阪・四天王寺阿弥陀如来及両脇侍像(重要文化財)の脇侍像に共通点を見出せる。 『若狭郡県志』等の近世の地誌類によればかつて若狭姫【わかさひめ】神社(若狭二宮)の付近に安置されていたものとされる。同社には同じく平安前期の書写になる『大般若経』(現遠敷一区所有・重要文化財)が伝来した。若狭姫神社の本地仏は千手観音であり、このことは本像の存在とかかわりがあるものと考えられる。また大般若経との組み合わせは、やや降るが『貞信公記【ていしんこうき】』天慶元年(九三八)八月九日条に観音と同経が造写されたなどの例がある。 頭上面、脇手、両足先等が後補となっているものの、脇手は一部に平安後期のものが残るほか過半が中世までに遡るものとみられ、千手観音としての尊容はおおむね保たれている。古像の優品が数多く遺る若狭地域においても、平安前期に遡る千手観音像の優作として評価される。