国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財（美術工芸品）
主情報
名称
：
裸婦図〈村上華岳筆／絹本著色〉
ふりがな
：
らふず〈むらかみかがくひつ／けんぽんちゃくしょく〉
裸婦図〈村上華岳筆／絹本著色〉
写真一覧▶
解説表示▶
員数
：
1面
種別
：
絵画
国
：
日本
時代
：
大正
年代
：
大正９年
西暦
：
作者
：
村上華岳
寸法・重量
：
縦１６３．６ｃｍ 横１０９．１ｃｍ
品質・形状
：
絹本著色 額装
ト書
：
画賛・奥書・銘文等
：
伝来・その他参考となるべき事項
：
指定番号（登録番号）
：
2062
枝番
：
国宝・重文区分
：
重要文化財
重文指定年月日
：
2014.08.21(平成26.08.21)
国宝指定年月日
：
追加年月日
：
所在都道府県
：
東京都
所在地
：
保管施設の名称
：
所有者名
：
公益財団法人山種美術財団
管理団体・管理責任者名
：
裸婦図〈村上華岳筆／絹本著色〉
解説文：
詳細解説
国画創作協会を設立し新様式の日本画を描いて活躍した村上華岳の作品。大正９年（１９２０）、第三回国画創作協会展に出品された作品で、薄物を纏った女性の姿を上品に描いている。
インドの仏教美術や西洋の宗教画なども研究した華岳による人体表現の到達点を示す作品であり、我が国大正期の日本画による裸体画の代表作である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
裸婦図〈村上華岳筆／絹本著色〉
写真一覧
裸婦図〈村上華岳筆／絹本著色〉
解説文
国画創作協会を設立し新様式の日本画を描いて活躍した村上華岳の作品。大正９年（１９２０）、第三回国画創作協会展に出品された作品で、薄物を纏った女性の姿を上品に描いている。 インドの仏教美術や西洋の宗教画なども研究した華岳による人体表現の到達点を示す作品であり、我が国大正期の日本画による裸体画の代表作である。
詳細解説▶
詳細解説
明治二十一年（一八八八）に大阪で生まれた村上華岳（一八八八～一九三九）は、初め京都市立美術工芸学校で学び、明治四十二年に、開校したばかりの京都市立絵画専門学校に入学。実技を竹内栖鳳（一八六四～一九四二）らに、理論を中井宗太郎（一八七九～一九六六）に学ぶ。明治四十年から文部省美術展覧会（文展）への出品を行うが、不満を抱いた仲間らに誘われて同展を離れ、大正七年の国画創作協会の設立に加わる。同年第一回展に「聖者の死」（関東大震災で焼失）、翌大正八年第二回展に「日高川清姫図」（重要文化財、東京国立近代美術館）を出品。いずれも高い評価を得て、土田麦僊（一八八七～一九三六）と並ぶ同協会を代表する作家となる。 本図は、その国画創作協会大正九年第三回展の出品作である。画面には、樹木に囲まれた自然景の中、石の台に腰掛ける半裸の女性が描かれる。この女性は、華岳自身の述懐によれば、「肉であると同時に霊であるものの美しさ」を具えた「久遠の女性」を表したものであるという（『画論』）。仏画とも裸体画ともつかない女性の造形は、大正期の華岳が追い求めた、官能と霊性の調和という理念が、本作の主題であることに起因する。 こうした理念を表現するにあたって、華岳はさまざまな作品から着想を得ている。風景表現と女性表現を組み合わせる手法は、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品をはじめとするルネサンス期の人物表現を参照したと考えられている。また、多数の装身具を付けた半裸の女性の姿や、真円に近い形で表された乳房の表現などには、インド方面の絵画の影響を指摘できる。華岳は、インド方面の仏画や細密画への関心について語っており、またアジャンター壁画を題材とした作品も残している。華岳が積極的にそれらの絵画表現を取り入れようとしていたことは間違いない。こうしたさまざまな絵画表現を意欲的に取り入れて一つの画面にまとめ上げ、新たな画風を創造した点において、本図は、華岳の画業の中でも重要な位置を占める。 大正十年以降、喘息の発作に悩まされるようになった華岳は、簡素な筆致の仏画や風景画の小品を多く制作するようになる。さらに国画創作協会第五回展を最後に公募展への積極的な出品もなくなる。本図は、その意味で意欲的に展覧会への出品を行った最後の本格的な大作と評される。発表当時から、崇高な理念と肉感的な女性美を融合したものとして賞賛を浴びており、国画創作協会出品作の中でも、本図の深い精神性と高い画格は際立っているといえよう。華岳の前期画業における集大成といえる作品であり、大正・昭和前期日本画壇に重要な地歩を占めた国画創作協会展の代表的な作例の一つとして、高く評価される。
